【第34回】家庭の味が恋しくて。働く男たちが憩う場所「日光橋食堂」

2017年10月5日 19:41更新

東海ウォーカー 須崎條子(エディマート)

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のんびりとした田園地帯と、多くの企業が集う臨海工業地帯が共存する愛知県海部郡飛島村。その国道23号名四バイパス沿い付近に立ち、トラック運転手たちの憩いの場となっているのが、朝6:30から営業する「日光橋食堂」だ。

父の後を継ぎ、家族で支え合う

現在店を切り盛りするのは、2代目店主・伊藤光利さん、そしてその父、母、妻、さらに初代のころから勤めているパートさん。「日光橋食堂」は光利さんの両親が、1965(昭和40)年に始めた店だ。光利さんが初代である父の後を継いだのは今から20年ほど前。東京で料理人をしていたが、初代が身体を壊して店を続けるのが困難になったことをきっかけに、東京の仕事を辞めて戻ることに決めたのだそう。

後を継いだ当初は、東京でも作っていた洋食などを出していたが、お客さんから家庭料理が食べたいと言われてメニューを考え直すことに。「うちに来るのはトラックの運転手さんが多いので、『働いている人にはスタミナが付くものがいいかな』っていう発想から、肉も野菜もとれてバランスよく、ということを頭に置いてメニューを増やしてきた」と光利さん。豊富にそろうメニューは、スタッフの全員が作れるように徹底してあるという。

おかずを選ぶ創業時からのスタイル

「日光橋食堂」の特徴は、店内の棚に10数種類ほど並べられたおかず。ここから自由に選んで、ご飯と汁とセットにするのが創業時から続くスタイルだ。おかずの内容は季節の食材を使ったサラダや煮物、魚料理などで、1皿200円台、300円台のものがほとんど。昼時に合わせて11:00にズラッと並べ、13:30ごろには売切れに。作り置きスタイルは、時間のない人もさっと食事ができるので喜ばれているようだ。ご飯は小(160円)、中(170円)、大(180円)から、汁はみそ汁、貝汁、豚汁(各130円)から選べる。

なかでも、人気の「さば煮」(280円)と「どて焼き」(320円)はどちらも創業時からの継ぎ足しのタレで作る定番メニューだ。「ポテトサラダ」(250円)など野菜メニューも常時あり、できるだけ自家栽培した野菜を使う。店のすぐ近くに畑があるので、現在は初代が主に野菜作りに励んでいるという。

どこか懐かしい味と“お母さん”の存在

「うちは若い時に苦労した叩き上げの社長さんなんかもよう来てくれるよ」と話すのは、創業時から店を支え続けている光利さんのお母さん。「たまに昔食べた質素なものとか、おふくろの味みたいなものが食べたくなるんでしょう。長距離トラックの人たちも北海道から九州まで遠方から何度も来てくれる。ゆっくりできるから家に帰ってきたような気がするんだって。私が店におらんと『どこ行ったー?』ってよう言われる」と笑う。

「おかあちゃんは昭和の人だから、40代、50代くらいのお客さんからすると気兼ねなく話せる“お母さん”っていう感じなのかもしれんね」と光利さんもつられて笑う、その顔が2人ともそっくりで温かい気持ちになる。

「いっぱい食べて、満足してもらいたい」

創業時のメニューは棚に並べた作り置きのおかずのみだったが、光利さんが後を継いでから新しく始めたのが定食メニュー。特に「スタミナ定食」(800円)は、豚肉やニンニクの芽などを甘辛の味噌で炒めた、間違いなくご飯が進むがっつりメニューで、働く人たちに大好評だ。「うちは男性客がメインだから、満足して帰ってもらいたいと思って量も多くしてあるよ」という通り、定食メニューに付くご飯も汁も驚くほど大きい。

「カラ揚定食」(800円)を見るとさらにボリュームに驚く。鶏肉はタレに漬け込んでから揚げてあり、柔らかくてジューシー。味がしっかりとしていて、またしてもご飯が手放せないので、ご飯の量が多いのはありがたい。たとえ「ご飯は少なめで」と注文しても、「いっぱい食べなかん!」とおかまいなしに多めに盛られることもあるので、それはご愛嬌。

「月曜から土曜まで毎日来てくれる人もいるよ。トラックの運転手さんたちは家に帰れないことも多いから、ここがうちみたいなもんだね」と、お母さん。初めて訪れても、まるで実家に帰ってきたような気持ちにさせてくれる「日光橋食堂」は、今日も“おかえり”と私たちを迎え入れてくれるに違いない。【東海ウォーカー/須崎條子(エディマート)】

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