比べてみると面白い、旭山動物園の在来種と外来種

北海道ウォーカー

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北海道で暮らす動物を展示している「北海道産動物舎」。キタキツネやエゾユキウサギなど、北海道民以外の方には真新しい動物たちが見られる施設ですが、もうひとつのポイントは「比較展示」。エゾタヌキとアライグマ、エゾクロテンとアメリカミンクといった一見似ているけれど違う、在来種と外来種を隣り合わせで展示しているんです。

旭山動物園/冬の寒さに備え、秋に蓄えた皮下脂肪でまるまると太り、毛もふかふかになるエゾタヌキ(C)旭川市旭山動物園


まずはエゾタヌキ。「エゾ」と名前につく通り北海道に生息するタヌキで、在来種です。耳の縁は黒色で尻尾は短く、手先は不器用。放飼場に木が設置されていますが、これは森や原野で暮らすエゾタヌキの生息環境を再現したもので、登ったりはしません。木登りは苦手なんです。

旭山動物園/生息環境を再現しているエゾタヌキの放飼場(C)旭川市旭山動物園


一方、ぱっと見はエゾタヌキと似ていますが、もともと北海道には生息していなかったのがアライグマ。外来種にあたる動物です。

旭山動物園/アライグマ(C)旭川市旭山動物園


耳の縁は白く、尻尾に黒い縞模様があります。また、エゾタヌキと違って手先がとても器用で、木登りが上手。成長するにつれて気性が荒くなるのも特徴です。

旭山動物園/アライグマの放飼場にある木(C)旭川市旭山動物園


旭山動物園/放飼場にある木に登るアライグマ(C)旭川市旭山動物園


放飼場には、高い木にもスイスイと登るアライグマの能力が分かるよう、木が設置されています。登る姿を見て欲しいため、葉っぱなどはすべて伐採されているそう! 確かに、手先をどう使って登るのか、これだと分かりやすいですねぇ。

エゾタヌキとアライグマの放飼場は隣り合わせになっていますが、横並びで比較展示を行っているのが、エゾクロテンとアメリカミンク。

旭山動物園/向かって右側がエゾクロテン、左側がアメリカミンクの放飼場(C)旭川市旭山動物園


エゾクロテンという名前ですから、もちろん在来種。アメリカミンクは昔、毛皮をとるために養殖していたものが野生化した、外来種です。

旭山動物園/エゾクロテン(C)旭川市旭山動物園


旭山動物園/アメリカミンク(C)旭川市旭山動物園


エゾクロテンはおもに樹上で活動するため、木登りが得意。一方、アメリカミンクは河川沿いなどがおもな生息地で泳ぐのが得意。それぞれの生息環境を再現し、エゾクロテンの放飼場には木が、アメリカミンクにはプール(冬場、水が凍ると雪を詰めます)が設置されているので、ぜひ見比べてみてください!

ちなみに在来種と外来種でいうと、「北海道の野鳥」コーナーで一緒に展示されているキジバトとカワラバトも該当します。

旭山動物園/キジバト(C)旭川市旭山動物園


旭山動物園/カワラバト(ドバト)(C)旭川市旭山動物園


2種のうち、在来種はキジバト。本州・沖縄では留鳥、北海道では春から夏にやってくる夏鳥で、単独かペアで行動します。

一方、外来種にあたるのがカワラバト。公園でよく群れているハトで、ドバトとも呼ばれます。ドバトとは、ユーラシア大陸に生息するカワラバトを元に人間が品種改良し、それが野生化したものを総称する呼び名なのだそう。

もともと北海道にはいなかったアライグマですが、ペットとして飼われていたものが放され、野外に定着。現在では、北海道のほぼ全域で生息が確認されています。生息場所が同じため、エゾタヌキはアライグマに生息域をおびやかされているという現状があるそう。このように在来種との競合のほか、病気の伝播、食害などさまざまな問題を抱えている外来種。比較展示を見ながら、自分たちにできることを考えてみるのもいいかもしれませんね。

※写真提供:旭川市旭山動物園

【北海道ウォーカー/出村聖子】

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