フィギュアスケート全日本選手権開幕!魅力的なカップルが多数出場のアイスダンスを紹介!

東海ウォーカー

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昨日、開幕したフィギュアスケート全日本選手権。とりわけオリンピックシーズンの全日本は異様な熱気を帯びるものだが、今回も例にもれず、初日から大きな盛り上がりを見せている。そして今日からはアイスダンスの競技が開催される。オリンピック、世界選手権、そして四大陸選手権の代表選考がかかる重要なイベントだ。今季はジュニアから昇格したカップルも加わり、例年にも増して白熱した試合が予想される。直前の情報も交えて、以下にご紹介したい。

日本のエース!村元哉中&クリス・リード組


村元・リード組、NHK杯のエキジビションでの演技


日本のアイスダンス界をけん引するエースだ。ただ昨シーズンは、10位を目標に掲げていた世界選手権でまさかのショート落ち。その時点でのオリンピック出場枠の獲得を果たせなかった。雪辱を期して臨んだ今季、ネーベルホルン杯では見事、出場枠を獲得することができた。率直な思いとして言わせてもらうと、このカップルはもっと高く評価されてしかるべきだ。間違いなく上達しているにもかかわらず、国際的な評価が追い付かないもどかしさがあるのだが、それは採点競技の宿命でもある。今後の日本のアイスダンスの発展のためにも、世界選手権で10位に入り、代表枠を2枠に増やす活躍を期待したい。

今季の二人のフリーダンスは素晴らしい出来栄えだ。オリンピックの舞台で演じることを意識し、日本に縁の深い曲を、との思いから坂本龍一の音楽を選んだそうだが、厳しい冬を乗り越え、桜の蕾が花開く様を見事に表現している。特にステーショナルリフト(その場に留まって行うリフト)の部分が、プログラムのテーマを表現する上で欠かせないパートだと捉えているそうで、「とても難しいけれど頑張ります」と二人が声を揃える。このアピールポイントには注目したい。

結婚してますます息の合った演技!小松原美里&ティモシー・コレト組


小松原・コレト組、東日本選手権でのショートダンスの演技


昨シーズンからカップルを組んだ小松原・コレト組。カップルを組む前のシーズンに二人とも他の国の所属で大会に出場していたため、昨シーズンは日本代表として国際大会に出ることができなかったのだが、今季は晴れてジャパンジャージを着て国際舞台に立つことができた。そして二人は今年、結婚というニュースでファンを驚かせてくれた。結婚して変わったことは?との問いには、

小松原:「私としてはそんなに変わってないです。連絡を取りやすかったり、時間の流れが一緒だったり、いいことだらけです。たまにスケートのことで喧嘩をしても、プライベートには持ち込まない。それが大切だと二人で話しています」

と自然体で過ごしているようだ。

二人がカップルを組むきっかけとなったのは昨年行ったトライアウトだが、当初、コレト選手の靴がロストバゲージで届かず、最初の二日間は氷上での練習ができなかった。だがその間、将来の目標、好きな選手の話などで盛り上がり、意気投合したのだという。「ロストバゲージがなければ、ひょっとしたらカップルを組まなかったかも知れない」とのエピソードを聞かせてもらったが、その後、二人は結婚することになるのだから、縁とは不思議なものだ。

コレト選手は日本国籍の取得を真剣に考えている。弁護士とも相談し、日にちの計算をしているそうだ。居住実績として1年の70%を日本で暮らす必要があるのだが、それには試合などでの海外遠征も含まれるため、慎重に計算をして海外での練習のスケジュールを組まなければならないのだという。来年からは日本を拠点にする予定であり、名古屋に住み、中京大学のリンクで練習しつつ、岡山の有川コーチのところにも通うプランを考えているようだ。

小松原:「有川先生のところのアイスダンスを志す子供達に、目標にしてもらえるようになりたい。有川先生に少しでも恩返しがしたいんです」

小松原選手は、当初、横浜でアイスダンスを始め、2名の日本人とカップルを組んだのだが、カップル解消後、スケートを辞めるつもりで岡山に帰郷した。だがそこで有川コーチと出会い、もう一度アイスダンスに取り組もうと決め、1年間、パートナーのいない状態で基礎を鍛えてもらったのだという。その恩返しをしたいのだと語る。

そして今季、世界選手権が彼らのホームリンクで開催される。

コレト:「今季の世界選手権は私達のホーム、ミラノで開催されます。もしも可能であれば、是非出場したい」

小松原:「ミラノには3つリンクがあるんですが、そのうちの私達のホームリンクで世界選手権が開催されるんです。だからどうしても出たいんです」

現状、村元・リード組とは力量の差があり、なかなか難しい目標なのだが、諦めずに頑張りたい、とのことだった。

ちなみに今季のエキジビションナンバーは、クリストファー・ディーンに振り付けてもらったという。エキジビションにもかかわらず「めっちゃ難しい」とのこと。メダリスト・オン・アイスで観られることを楽しみに待ちたい

シニアデビューのシーズン。アピールを期待したい。深瀬理香子&立野在組


深瀬・立野組、東日本選手権でのショートダンスの演技


昨シーズンは日本のジュニアのエースとして世界ジュニアに出場したカップル。深瀬選手がジュニアの年齢制限を超えたため、今季からシニアに参戦している。将来を嘱望される存在なのだが、今季は苦労しているようだ。NHK杯の選考を兼ねていたロンバルディア杯では良いアピールができず、東日本選手権でも思うようにレベルを取ることができなかった。特にショートダンスでの取りこぼしがひどく、

立野:「レベルが全然取れませんでした。自分達では取れるつもりだったんですが、ステップのターン、パターンダンスのキーポイントが取れていませんでした。ただただ実力不足です」

その反省を生かし、フリーダンスは特に細かなところまで気を付けて演技をしたという。

深瀬:「フリーはロンバルディア杯から変更したところが多かったんですが、それも良い結果につながりました」

ロンバルディア杯での悔しさから、フリープログラムは大幅な改善を図ったそうだ。

立野:「全日本での目標は、四大陸選手権への派遣です。まだ世界選手権を考えられる段階ではありません」

今季からシニアに上がったが、壁のようなものを感じることはあるのだろうか?

深瀬:「テレビで観るような凄い選手達と一緒に試合に出るとき、シニアに上がったことを実感します」

立野:「僕は周りの人達のことは気になりません。ただ体力面の壁はあります。あと採点基準がジュニアとは違います。それは順応していくしかない」

ジュニアの頃は認定してもらえていたようなステップ、ターンが今季は認定してもらえない。より高い精度を求められることがシニアの壁なのだろう。ただ彼らの場合、身近に素晴らしいお手本が沢山いる。特に、パパダキス・シゼロン組と練習を共にする機会があることはとても良い経験になっているようだ。

深瀬:「同じ氷の上に立って見るだけで勉強になります。エッジワークも素晴らしいですし、表現面でも、こんな風に踊るのかと勉強になります」

立野:「ランスルーするときは圧倒されます。彼らの世界観は凄い。ただ、まずは自分達の世界観をしっかり確立したいと思います」

東日本選手権からどこまで改善され、どこまで世界観を確立できているか、全日本選手権の演技に期待したい。

この数か月で長足の進歩!折原裕香&森望組


折原・森組、都民体育大会でのフリーダンスの演技。見せ場だというストレートラインリフト


昨シーズンからカップルを組んだ二人。当初はカップルを継続するかどうか決めかねていた。大きな理由として、森望選手がジュニアの年齢制限を超えてしまうため、まだアイスダンスの経験が乏しい中、今季からシニアに上がらなければならない、という問題があったのだ。だが昨年の秋には心を決め、シニアに上がって北京オリンピックを目指す、という明確な目標を掲げるに至った。そして今年、彼らは別の形でも注目を集めることとなった。フィギュアスケート選手では初めて、活動資金をクラウドファンディングで募るという試みを実施したのだ。これにより、カナダ、バンクーバーへの遠征資金を獲得することができ、より意を強くしてシーズンに臨むことができた。森望選手はこの秋まではシングル選手としても活動していたのだが、東京ブロックを最後にシングル競技を引退。二人でアイスダンスに専念することとなった。

東日本選手権では、初めてのシニアの選手権大会ということで緊張してしまったようだ。ショートダンスは細かなミスがあった程度だったのだが、フリーダンスではツイズルで森選手がバランスを崩し転倒する大きなミスをしてしまった。

森:「ツイズルは流れでやっているので、毎回感覚が違うんです。不安はちょっとあるんですが、それが試合で出てしまいました」

フリーダンスでの見せ場は?と尋ねると、

森:「ストレートラインリフトの、曲とぴったり合っている感じが好きなので、観てもらいたい。本当はツイズルも見どころなんですけど」

と、失敗したツイズルも見どころに挙げた。実はこの試合の後、都民体育大会という東京のローカル大会で、彼らのフリーダンスを再び観る機会があったのだが、その時はツイズルを含め、素晴らしい演技を披露してくれた。夏にも彼らの演技を観ているのだが、それからわずか数か月での進歩は見事だ。東日本選手権でのミスは極度の緊張のせいもあったようだ。

二人とも、シニアの全日本にはシングル時代を含めて出たことがないそうだ。二人とも「楽しみです」と声を揃えるが、森選手は緊張が心配なところ。逆に折原選手は緊張するシチュエーションも楽しめそうだ。今季の二人のフリーダンス、とても素敵なプログラムに仕上がっているので、是非注目してもらいたい。今季、大流行の“ララ・ランド”だが、一味違う演出になっている。

折原:「映画と違って、最後はハッピーエンドなので、ハッピーな感じが伝わればいいな、と思います」

森:「もし、結婚する方を選んだなら、という方を演じているんです」

映画“ララ・ランド”をご覧になった方ならご存じだろうが、主人公の二人は愛し合うも結ばれず、ヒロインは他の男性と結婚する。だが本当のラストシーンの前に、もしも二人が結ばれていたのなら、という空想のシーンが存在する。そちらを演じているのだという。儚い、幻のハッピーエンド。それを銀盤で表現したい、という二人の思いが伝わってくる。そして今後の目標として、二人は国際大会への出場を挙げる。

森:「B級大会でもいいから、ジャパンジャージを着たい。そのためにも全日本でアピールしたいと思います」

素敵な“ララ・ランド”を演じ、目標を叶えてもらいたいものだ。

12月22日、直前の公式練習では、前述の4組に加え、飯田澪&石橋健太組を含めた5組のカップルが最終調整を行った。5組中3組が既に国際大会の舞台で戦う、レベルの高い試合となる。見どころ満載のアイスダンスに是非注目していただきたい。

中村康一(Image Works)

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