高校野球連載 第11回/“高校球児の姉”長島三奈さんが感じた甲子園の重さ、印象的な球児

関西ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

“高校野球大好き”な著名人が甲子園の魅力を語るスペシャル連載「”ワタシ”が語る甲子園~100年の熱狂ストーリー~」。情報誌「関西ウォーカー」と連動してスタートしたWEB版連載では、誌面に掲載しきれなかった未公開トークを含むスペシャル版を前後編で掲載。

連載第11回目は、高校野球取材歴20年。“高校球児の姉”とも称される長島三奈さんのインタビュー(前編)をお届け!

数多くの球児に取材をしてきた長島三奈さんに、高校球児の魅力を語ってもらった


“甲子園の重さ”を知った『熱闘甲子園』初キャスター時代


—長島さんが初めて『熱闘甲子園』のキャスターを務めたのが1998年で、ちょうど20年前の松坂世代の年だとか。当時の取材で特に思い出深いことは?

長島「初めての高校野球取材は栃木県の小山西高校だったんですが、県大会の3回戦でサヨナラ負け。その試合後、球場の照明が消える中で監督さんが『おまえたち、最後にもう一度、自分の守備位置で土のニオイと空気を味わってこい!』と声をかけたんです。そして、自分のポジションで泣いたり、たたずんだり、真っ黒な空を見上げたりする選手たち……」

一つの質問に対し、次々とエピソードを語ってくださる長島さん。高校野球への思いは人一倍、否…三倍は強し


—なんとも言えないシーンですね。

長島「そうなんです。20年たった今でもあの光景を思い出すと涙が出そうになります。もし、初めて取材した学校がすんなりと県大会を勝ち上がったら、“甲子園に出ることのすごさ”を知らないまま甲子園取材に臨んでいたかもしれません。小山西のみんなに出会えたことで、あんなに悔しがるほど行きたい甲子園ってどんな存在なの?という“甲子園の重さ”を学ぶことができたんです」

—そして、その甲子園で待っていたのが、松坂大輔(横浜高校)を筆頭とする「松坂世代」のスター球児たちでした。特に印象深い選手というと?

長島「たくさんいますが、1998年の沖縄水産のエースで、のちにプロでも活躍した新垣 渚投手。松坂投手と並ぶ豪腕と注目されていて、私も沖縄へ取材に行きました。でも、甲子園では初戦敗退。その試合後、新垣投手は涙を流しながら取材を受けてくれたんですが、涙をぬぐう手が泥だらけで顔も涙も真っ黒に。『球児って涙まで泥んこなんだ!』と思ったのを覚えています。あの世代は松坂大輔投手に村田修一選手、杉内俊哉投手と、のちにプロでも活躍する選手ばかり。『甲子園はなんてすごい場所なんだ!』と思いましたね。でも、あとで毎年取材しているディレクターに『こんな年はそうそうあるもんじゃないよ』と言われて。1年目にたくさんの選手たちから甲子園にかける気持ちを教えてもらったなぁと思います」

—長島さんは選手たちとあだ名で呼び合うこともあるとか。その関係性はどうやって築いたんでしょうか?

長島「私にとって、球児は今でも宇宙で一番尊敬できる存在。リスペクトの気持ちはあるんですけども、会った瞬間に球児が懐に飛び込んできてくれるので、私もまた、尊敬しながらもあだ名や下の名前で呼んだり、会って数十分後には『なんで朝ご飯食べないの?ダメでしょ』と心配でつい怒っちゃうんです(笑)。特に98年の球児って、たまたま私とひと回り違うんです。その絶妙な年齢差も大きかったと思います。以前、巨人時代の村田選手に高校時代からのあだ名で呼びかけたら「ムラッチョって呼ぶの、今は三奈さんだけですよ」って言われちゃいました(笑)。あとは、私が野球について詳しくないから、という部分もあると思います」

—というと?

長島「『熱闘甲子園』という番組のテーマでもありますが、球児としてのすごさを伝える一方で、高校生らしさだったり、試合とは別の部分、野球以外のことにも着目することが大事だからです。そして私も、野球について詳しくないと自覚しているからこそ、控え選手やスタンドで応援している選手たち、背番号の有無に関係なく『球児』と話をしたくて。だから私は取材時間も仕事と言うより球児たちとのトークを純粋に楽しんでいます。時々『三奈さん、取材しなくていいんですか!?』って、つっこまれたりしてますけど(笑)。でも球児が素のままで話してくれたエピソードが『熱闘甲子園』の企画につながることがよくあるんです」

—そういった球児との関係性は、高校卒業後も続いているんですか?

長島「卒業したあとでも、『結婚した』と連絡が来たりします。『子どもが生まれた。三奈おばあちゃん見にきて』とか、もうおばあちゃん呼ばわりで、私も私で「じゃあ、孫見に行くわ」って(笑)。オリンピックも含め、さまざまな取材をしてきましたが、そういう関係性を築けたのは高校野球だけなんです。甲子園が出合わせてくれた、本当に大切な出会いだなと思います」

元球児たちから結婚したという報告のほかにも「最近は 赤ちゃんの写真を送られてきたりもします(笑)」という




〈今回の語り部〉

長島三奈(スポーツキャスター)…1968年6月3日生まれ。98~99、01~13年に「熱闘甲子園」(ABC)に出演。現在は「With~チャレンジド・アスリート 未来を拓くキズナ~」(BS朝日)に出演中

オグマナオト

この記事の画像一覧(全3枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

お花見ガイド2024

お花見ガイド2024

全国1300カ所のお花見スポットの人気ランキングから桜祭りや夜桜ライトアップイベントまで、お花見に役立つ情報が満載!

CHECK!今が見頃の花見スポットはこちら

ページ上部へ戻る