連載第7回「大阪インバウンド最前線」日本旅行の清水さんに聞いた「訪日外国人観光客がお得キップで行く場所とは?」

関西ウォーカー

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この連載は、大阪で激増するインバウンド(訪日外国人観光客)の最前線を人気施設や旅行・観光に詳しい業界関係者などキーパーソンに話を伺うインタビュー企画。第7回は日本旅行・清水究吾さんに、大阪のインバウンドの現状や、インバウンドが増えて変わったこと、今後の展望などを聞いた。

日本旅行 清水究吾さん


大阪のインバウンドの現状は?


―インバウンドの方が増えていると思いますが、いつからどのくらい増えていますか?

私どもは大阪駅構内に、2017年3月にインバウンドカウンターを設けて、大阪に来られた外国のお客様をお迎えしてますが、本年3、4、5月の3が月は昨年と比べて、120%から130%ぐらいの伸びがありますね。

【写真を見る】2017年、大阪駅構内にインバウンドカウンターが新設された


――国別の内訳はいかがですか?

大阪と言うと東アジア(中国・韓国・香港・台湾)のお客様が多い印象があると思うのですが、梅田では想像以上に欧米のお客様が多いですね。半分が東アジアであと半分は、欧米と東南アジア。東南アジアのお客様はすごく増えています。

――梅田に来られる外国人は何を求められていますか?

梅田はアクセスがよく、大阪駅を拠点に関西一円に列車で行けるので、外国人向けの安価なレールパスを購入される方が非常に多くなっています。

――JRが出されているお得きっぷのような?

そうですね。TiS大阪では数多くのJRパスを販売しておりまして、売れ筋は、北は福井県の敦賀、西は姫路や赤穂まで一日乗り放題で2200円の「関西エリアパス」です。片道1100円なので、ものすごく安い。姫路に行くだけでも、もとがとれてしまう。もう一つの売れ筋が、関西に加えて、人気の倉敷や城崎温泉まで足を延ばせて、さらに特急や新幹線にも乗車可能な「関西ワイドエリアパス」。5日間有効で1万円。めちゃくちゃ安いです。大阪だけでなく、交通至便な大阪の利点を生かして、関西全域を楽しまれる方が非常に増えていますね。

――みなさん、どこで情報を得ているのですか?

JRパスは、外国のお客様にとっては非常にポピュラーな商品なんです。個人旅行で来られる方は、どの国の方でも概ねJRパスを知っていると思います。全国のJRに乗れて約3万円というきっぷもあります。何度も関西に来ている方は、いかに安く色々なところを行ってやろうかと、非常によく調べられています。5日間1万円で、関西一円に行けるなんて羨ましすぎますよね!私も買いたい(笑)! しかし残念ながら、日本人は買えません…。

――JRパスを購入した外国人はどこに行っているのでしょうか?

本当にいろいろなのですが、安いきっぷがあると、一番遠くに行ってみたいと思うのが常ですね。もとをとってやろうという気持ちは関西人に通じるところがあって、関西が好きな外国の方はそういう気質があるみたいです。関西限定のきっぷですと、姫路や和歌山、滋賀に行かれる方も多いです。例えば、和歌山電鉄の「たま電車」が台湾でも非常に人気があったり、はたまた日本人でも知らないような、滋賀県マキノのメタセコイア並木も人気があります。彼らはSNSやブロガーなどの口コミを参考にして、地元の路線バスの時間までしっかりと調べて来られますね。大阪からだと日帰りで行けるので、行き先で宿をとる必要がなくて、朝から晩まで楽しめますからね。

大阪、京都の人気スポットの情報源


――何回も来ている人が多くなって、いろいろなところに行っているのでしょうか?

アジアの方は4泊5日というパターンが多く、2日ぐらいは大阪で買い物に行かれます。その後2日は、行ったことがないところに行ってみようという人が非常に多いですね。いろいろな方のブログなどを参考にして、ほかの人が行ったことがない所を探していますね。

――逆に、大阪ではどこが人気とか、どういう商品が売れていますか?

やはり、大阪周遊パスは非常によく売れますね。費用対効果もいいですし。東南アジアはファミリーで来られる方が多く、圧倒的に人気なのはユニバーサル・スタジオ・ジャパンですね。それと買い物は絶対にはずせません。やはりドラッグストアは非常に人気があります。

――日本旅行で行われているツアーもあるのでしょうか?

欧米人向けに、英語ガイドと同行するウォーキングツアーやバスツアーを設定しています。こちらも人気ですが、アジアのお客様は必ずしも英語が得意ではないので、交通チケットのみを買うお客様が多いです。やはり、安くて便利で、どこでも行けてますしね。

――大阪発のバスツアーだと、どういうのが人気ですか?

やはり京都は外せません。アジアの方って、あまりお寺に興味がない方が多いのですが、とはいえ京都は有名ですから一回は行っておこうと。ただ、何回も行くのは面倒なので、1回で有名なところを全部行きたいと。大阪を7:30くらいに出て、清水寺から伏見稲荷大社、嵐山、金閣寺と全部行って帰ってくるツアーが人気です。1万4千円と少し高めの設定ですが、嵐山で京都らしい和食が付いていますからね。

――あと、梅田だとどういうところに行かれますか?

やはりスカイビルですね、台湾や韓国の方だけでなく、欧米の方にも人気です。ただ、やっぱり梅田よりも心斎橋の方が人気がありますね。我々は宿泊についても各国から依頼を受けるのですが、みなさん宿泊は心斎橋って言いますね。ただ、心斎橋は大きいホテルが少なく、ビジネスホテルでシングルメインの部屋が多いんです。だから「心斎橋で広いツインの部屋がいい!」と言われたら、「ホテルがないから梅田にしてください」とよく言います。日本のことを知らない方が東南アジアにはまだ多いので、「梅田も心斎橋から地下鉄で3つだから、便利ですよ」と言ったら、「分かった」と。それぐらい、心斎橋のブランド力が高い。買い物、飲食、何をするにしても便利。梅田は少し複雑だという印象があるみたいですね。地下街が難しい、電車もいろいろある。心斎橋は通りが一本なので、非常に分かりやすくて、安心感があると。東南アジアの方も東京よりも大阪の方がいいという声が多い。コンパクトにまとまっていて、食べるところ、遊ぶところが集積しているということで、大阪のミナミを望まれる方が多いですね。

―すごいんですね、心斎橋。

心斎橋というキーワードは圧倒的に知られています。道頓堀も非常にポピュラーです。難波ももちろん知られていて、逆に梅田はそこまでではないんです。不思議ですよね。ただ実際、街を歩くとその通りになっています。梅田はまだ外国人だらけってことはないですけど、ミナミを歩くと「どこの国だろうなっ」て感じになってます。もうちょっと梅田に来てほしいです。駅前ビルとか最高ですけどね。梅田の地下街も素晴らしくて、私は売り出したいと思っています。

「もうちょっと梅田にも来てほしい」と清水さん


大阪ならではの新たなコンテンツ作りを


――今後、東京五輪にラグビーのワールドカップ、G20、IRなどありますが…。

イベントを契機に全世界の方々が間違いなく増えます。五輪は東京なので微妙ですけど、アジア以外のお客様も必ず増えていきます。欧米ではラグビーはサッカーよりも上品なスポーツなので、お客さんは上品でお金もちです。ただ、大阪は安くておいしいがメインのコンテンツなんですけど、お金を持っている方は何を楽しんだらよいのか。この情報がこれが大阪は不足しています。例えば、京都だと3万円の料理を食べるとか色々な選択肢があり、お金を使いやすい。だけど大阪でお金を使うとなると、ホテル以外で、お金を持っている人が楽しめるコンテンツが少ないというのが現状ですよね。世界のVIPが集うイベントに向けて、新しいコンテンツを開発していかないといけないかなと。関西空港もプライベートジェット用のスペースを確保したそうですから、そこから大阪を素通りして京都に行ってしまうと、ちょっと大阪には寂しいところがありますので、大阪ならではで、お金持ち向けのコンテンツがあった方がいいかもしれないですね。世界のお金持ちの人たちって10万円が100円ぐらいの感覚で使える方々なので(笑)。だからそこが難しい課題かなと。IRもひとつの選択肢と、いろいろな方が思っているみたいですからね。

※本企画は、情報誌「関西ウォーカー」2018年8/28発売号の大阪インバウンド特集「YOUは何しに大阪へ?」との連動企画です。

関西ウォーカー編集部

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