540日間寝かせた「奇跡のジャガイモ」を味わってきました!

北海道ウォーカー

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「ジャガイモは寝かせた方が甘みが増す」といいますが、自宅でやってみるのはなかなか難しいもの。ひんやりした床下でしっかり保存したつもりでも、気がついたら芽が出ていた……なんてこと結構ありますよね? ところが倶知安町(くっちゃんちょう)のとあるジャガイモ卸問屋が、540日もの間熟成させたジャガイモをリリースしたという情報をキャッチ。というワケで、1年半も寝かせたジャガイモは一体どんな味なのか、さっそく取材してきました。

羊蹄山の麓に広がる倶知安町。町のいたる所にジャガイモ畑が広がっている


やってきたのは羊蹄山の北側に広がる倶知安町。ここは国内でも有数のジャガイモの生産地なのです。町の耕地面積約4200万平方メートルの内、なんと3分の1近くにあたる約1200万平方メートル(東京ドーム256個分)がジャガイモ畑というから驚き。羊蹄山が育んだきれいな水と肥沃な黒ボク土、寒暖差のあるさわやかな気候がおいしいイモを作るのだそうです。初夏に車を走らせれば、町のいたる所に白や薄赤紫色のジャガイモの花の絨毯が広がる美しい光景を見ることができます。雄大な羊蹄の姿とのコントラストも見事です。

こちらがジャガイモの卸売問屋「本間松藏商店」の倉庫


情報を聞こうとお邪魔したのが、倶知安町に店を構えるジャガイモの卸売問屋「本間松藏(ほんままつぞう)商店」。540日間寝かせたイモ「倶知安じゃが五四〇(ゴーヨンマル)」は、こちらで取り扱っています。今回話をうかがったのは同社の専務である本間浩規さん。人懐っこい笑顔が印象的なこの方こそ、何を隠そう「倶知安じゃが五四〇」の仕掛け人なのです。「ようこそ、遠いところまでお越しくださいました。せっかくですから、ジャガイモ倉庫の中を見ながらお話しましょうか」

こちらがジャガイモ倉庫の内部。室温2度に保たれており、夏場でもひんやり


本間専務に案内されたのは市内にあるジャガイモ倉庫。天井が体育館みたいにめちゃめちゃ高い! 外の暑さとは完全に隔絶されていて、中はとっても涼しい……というよりも寒い。

「倉庫内は一年中室温2度、湿度80%に保たれているんです。『倶知安じゃが五四〇』もここで寝かせています」なるほど、芽が出たり、傷ませないためには室温と湿度が大事なんですね。

「それももちろん重要ですが、一番大切なのはジャガイモの品質です。『五四〇』のベースとなっている『倶知安じゃが』というのは、農薬などの使用を一定量に制限する特別栽培で育てられたイモのみに与えられるブランドなんです。農家の皆さんが品質にこだわって育ててきたイモだから、長期保存が利くんです」。つまり、「五四〇」の誕生の裏には、地元農家さんの努力があったワケかぁ。でも、なんでまた540日も寝かそうと思ったんです?

「その誕生は、実は偶然だったんです」

昔ながらの雪室貯蔵と先端の冷蔵技術のハイブリッド冷蔵で、厳密に温度と湿度が調整されている


「ある日、ウチの取引先である札幌の料亭『すすきの浪花亭』の社長と料理長を訪ねた際に、売れ残って倉庫で1年半以上眠っていた『倶知安じゃが』をみやげに持参したんです。話のネタにと思いまして。するとお二人が、『一年半も寝かせたイモなんてどんな味がするのだろう』と、その場で蒸して食べてみることになりまして。でき上ったイモを食べたお二人はあまりのおいしさに驚かれ、その場で買いたいと仰られたんです。売れ残ったイモは、これまで身内で食べていたので、味が良いのは知っていました。でも、そこに商品価値があることに、そこで初めて気付かされたんです」

出荷の時期を迎えた「倶知安じゃが五四〇」。見た目は普通のジャガイモとさほど変わらないかも


確かに新ジャガはもてはやされますけど、古いジャガイモが珍重されることってありませんよね。ん~、ますます食べたくなってきました。本間常務、僕にも「五四〇」を売ってください!

「残念ながら、保存の問題もありますので、一般向けの販売は行っていないんです。ただ、倶知安に『五四〇』を使った料理を味わえる店がありますのでご案内しましょう」

ニセコアンヌプリのすそ野に建つ黒いお洒落な建物が「炉ばた ニセコ浪花亭」


案内して頂いたのは倶知安町の市街地の外れにある「炉ばた ニセコ浪花亭」。ニセコ近郊の新鮮な食材を使った和食と会席料理の店です。四季折々の食材を贅沢に使った料理をコースで味わえます。こちらのディナーコース(1万円~)には、「倶知安じゃが五四〇」を使った料理が付いてくるということで、さっそくオーダーしてみましょう。

豪華絢爛なディナーコース(写真は1万円コース。メニュー内容は季節によって変更)。炭火で焼いた「五四〇」をはじめ、ニセコの旬の食材がズラリと並ぶ


ニセコの旬の食材を使った料理はどれも見た目鮮やか! コースに含まれる料理は季節ごとに変わりますが、「炭焼き五四〇」は通年付くそうです。では、お目当ての「炭焼き五四〇」をいただきます。うん、うまい! でんぷん質が糖分に変化しているせいか、食感はふっくらというよりは口の中でとろける感じ。やさしい甘さが口の中に広がります。寝かせることでジャガイモはこんなに甘くなるものかと思わず感動! ちなみに「倶知安じゃが五四〇」は、札幌とニセコエリアの他の一部飲食店でも味わうことが可能です。詳しくは「本間松藏商店」さんにお問合せを。おいしい料理、ごちそうさまでした。

本間松蔵商店 ■電話:0136・22・0121

炉ばた ニセコ浪花亭 ■住所:倶知安町樺山259 ハックルベリーファーム内 ■電話:0136・22・3388 ■時間:11:30~最終入店14:00(木・金曜日はランチは休み)、17:30~最終入店20:30※冬季の予約については要電話確認 ■休み:不定 ■座席:30席(禁煙)

プランB(菅原雄一)

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