松下奈緒、“ゲゲゲの女房”から10年目「注目されても私は何も変らなかった」 女優活動支えた音楽への想いとは

東京ウォーカー(全国版)

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女優業とミュージシャンの2軸で活動を続ける松下奈緒


2004年女優デビュー後、数々のドラマ・映画で主演を務める、松下奈緒。現在、11月9日(土)から始まる東京・大阪のBillboard LIVEでのステージと、11月15日より公開される映像と音楽のみでストーリーが展開される映画『エンジェルサイン』の公開を控えている。女優として活動する松下だが、彼女には幼少期から今に至るまで30年以上続けているピアノとの切っても切り離せない関係性がある。女優とミュージシャンの2軸で活躍し続ける理由はなぜなのか。また、両立の苦労なども、本人に語ってもらった。

「BillboardでのLIVEとホールコンサートは全くの別モノ」


【写真】ピアノを弾く松下奈緒、過去のライブの様子


――11月9日からビルボードライブ東京、ビルボードライブ大阪、名古屋ブルーノートでの公演「松下奈緒 prime nights 〜 2019」を控えているとのことですが、今回はどのようなLIVEにしようと考えていますか?

【松下奈緒】ビルボードでのライブは、ここ数年毎年ステージに立たせていただいていますが、2006年から続けているホールツアーとは別モノだと考えています。だから、自分が描く“ビルボード感”…夜の大人の特別な時間を表現したくてカバー曲や、洋楽はセットリストに組み込みますね。そうはいっても、昨年はクリスマスの時期に開催したので決めやすかったのですが、今年は11月、秋か…何がいいのかな…。

――絶賛悩んでいるところなんですね。先ほどの「ビルボードでのライブとホールツアーとは別モノだと考えている」とはどういうことでしょうか?

【松下奈緒】やっぱりビルボードのあの空気感って、独特なんですよね。演者にピンスポットが当たり、生音にこだわっているステージはとてもおしゃれで特別感がある…その一方で、お客さんとの距離感が近くて…。なんというか身近だけど客席から見たステージに立っている人は雲の上の存在のような遠さを感じさせる不思議な場所だなと思うんです。

――なるほど。場所も意識して演出を変えたりもしているんですね。

【松下奈緒】そうですね。距離の近さでいうと、MCは、ホールツアーよりも身近に感じていただけるような内容や、ドラマや映画の撮影時の裏話を盛り込むようにしています。こんなに近くにいて、こちらも客席のグルーブ感はひしひしと感じているので、テレビの中でしか見られない、というイメージは一度捨ていただきたくて。

――そこまで意識されているんですね。音楽への考えという面ではビルボードに立ったことによる変化はありましたか?

【松下奈緒】ビルボードでライブをするときには、常に今までの自分にはなかったものにトライするようにはしています。なので、単純に自分自身の音楽の幅が広がったのではないかなと。ビルボードに立つようになって以来、「次にビルボードでライブをやるときは、どんな音楽をやりたいか」を考えて、ジャズやポップス感が強めの曲を書いたりするようになりましたから。あとは、ジャズが得意なバンドメンバーがサポートしてくれるので「サックスを立たせるには」みたいなところを意識するようにもなりました。

女優デビューの1年後に果たした、ミュージシャンデビュー。音楽への熱い思いとは


世界の「サイレントマンガオーディション」から選び抜かれたアジア・ヨーロッパの受賞作品を実写化した映画『エンジェルサイン』は、11月15日公開。


――過去を振り返ると女優デビューとほぼ同時、1年後にはミュージシャンとしてデビューされてますよね。音楽はずっとやりたかったんですか?

【松下奈緒】そうですね。女優デビューした当初は、音大に通っていて、「音大に入ったからには卒業したい」「卒業したからには、何か音楽をやりたい」と思っていたので、幼少期から約30年間、当然のように続けています。

――世間的には女優のイメージが強い一方、実は定期的にライブを行い、かつ7枚のアルバムを出しているんですよね。それって並大抵の意気込みじゃできない気がします。音楽への想いがすごくあるんだなと思うのですが…

【松下奈緒】そうですね、実は音楽への想いはかなり強いんですよ(笑)。 “女優としての松下奈緒”のイメージが強いのかもしれないのですが、私は、「芝居か音楽かどちらに絞る」とは考えたことは全くないんですよ。よく自分では“2つのこと”と言ってます。

――“2つのこと”というのは?

【松下奈緒】女優をやっているときの自分と、ライブでステージに立っている自分は全く違う人格なんです。女優をやるときは役柄があって演じるという女優としての顔があります。その一方で、音楽をやるときは、すべてセルフプロデュースで自分を出せる場所。ある意味、松下奈緒の素に近い状態、自分自身が表現できる場所なんです。それってどちらが楽しいとかではなくて、あくまでも自分に欠かせない“2つのことだな”って。

――でも、女優と音楽業、どちらかをやるだけでも大変なものだと思います。両立するのは大変じゃないんですか?

【松下奈緒】たしかに大学に通いながらお芝居と音楽を両立していたころは大変でした(笑)。大学の課題を練習しなきゃいけない、授業に出なきゃいけない、セリフを覚えなきゃいけない…って単純に時間が足りなくて、てんやわんやしてましたね。でも、今はミスなくパーフェクトに演奏するための練習を抜け出して、人と合わせるために自分の感覚を確かめる感じになったので、そんなに大変じゃありません。ライブでお客さんの前に立つようになって、あまりにキメて行くと現場で変わる空気を前に動けなくなってしまう自分に気づいたので、現場の雰囲気を優先することの大切さ、自分自身が楽しいと思えるピアノとの向き合い方を知ったんです。

“ゲゲゲ”から10年目「世間から注目されても、私は何も変わらなかった」


――松下さんのターニングポイントの1つにNHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』のヒロインがあったかと思います。世間から注目されたときも、女優だけで行こうとは思わなかったのでしょうか?

【松下奈緒】まったく考えませんでしたね。たしかに朝ドラをやっていたころは、全然音楽に触れられる時間はありませんでしたが。そのときでも「女優の仕事が終わったら音楽をやろう」って思っていて、2つのことを同時進行するのは難しい時期でも、音楽への想いだけは動いていようという感覚でした。

――そこまで音楽が大切なものだったんですね。

【松下奈緒】『ゲゲゲの女房』でヒロインを演じさせていただき、多くの方から「あ、ゲゲゲの子や」と声をかけていただくことも増えましたし、本当にありがたいことですよね。私自身、他の作品と変わらず、目の前にあることを「全力でやりきったな」って気持ちでした。だから、世の中の人がたくさん見たからといって、結局は自分自身との向き合い方なんだなってそのときに思いましたね。

――なるほど。世間から女優として注目されたときに、「ピアニストとしても注目してほしい」みたいな葛藤もなかったのでしょうか?

【松下奈緒】それは思ったことがないですね。女優としての姿を見て、「ライブも観てみようかな」と思っていただけたら嬉しいな、と(笑)。音楽への思いは強いですけど「認められたい」というものではなくて、自分の中では続けることが1つ目標なので、その過程を聴いてくださる皆さんに楽しんでいただけたらいいんです。

音楽があるから、芝居も100%でやれる


映画『エンジェルサイン』(11月15日公開)


【松下奈緒】たぶんお芝居と音楽、両方やることでバランスが取れている気もするんです。ずっとこのスタイルで10年以上やってきているので、忙しかったら「今は両立は無理だ。終わったらやろう」って思えます。でも心の深いところではつながっていたと思います。

――両立することが大変なのではなくて、両立することで松下さんご自身が心地よく活動できているんですね。

【松下奈緒】そうですね。別に逃げ道を作っているというつもりはないんですけど、自分の中に音楽という一つ芯があったとして、それと同じように女優として演じる楽しさもある。3カ月演じ切って、終わると無になっちゃうと見せかけて、今度はミュージシャンとしての活動に戻る、そこからまたセリフを覚える日々が始まって…という繰り返しが日常になっているので、順番をつけることも、割合に差をつけることもできないんです。常に100%の状態でお芝居と音楽を行き来しているような。だから、これからもうまくバランスを取りながら続けていきたいです。

於ありさ

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