湘南の鬼と恐れられ、喧嘩上等、元ヤンキー。鬼塚英吉、22歳。訳あって教師、それもグレートなティーチャーを目指します。97年からスタートした「GTO」が、100ページを超える加筆を加えた24、25巻の同時発売でついに完結。
「ひと言で言えば、完全燃焼。やっぱり鬼塚を描けなくなったのは寂しいけど、連載終了からまったく絵は描いてない。完全休養ですね」
ビールを片手に笑う藤沢とおる。鬼塚英吉の10代を描いた「湘南純愛組!」(全31巻)から数えると11年に及ぶ長期連載だった。
「実際、キャラクターに自分が育てられたってところもあります。常に『鬼塚ならどうするかな?』と意識することで、今の子供たちに僕は何を言えるんだろうって考えてきました」
鬼爆コンビの鬼塚英吉と弾間龍二のうち、鬼塚を主人公に。しかも、教師という設定にしたのは?
「龍二を大人として描くことで、英吉の一本気なところを見せたかった。教師を選んだのは、今まで先生を嫌いだったやつが逆の立場に立ったらおもしろいかも。ひと味違った教師になってくれるんじゃないかって思って」
この選択はズバリ狙いどおり。とにかくキャラの立った生徒や教師が次々と登場するのだ。
「うれしかったのは、内山田教頭人気。少年誌ではオヤジキャラは人気が出ないっていうジンクスがあったんで、ハゲでオヤジで団塊の世代っていうキャラで人気を取るのは当初の野望だったんですよ(笑)。『教頭をイジメないでください』っていう中高生からのファンレターもたくさんいただきました」
数多くのエピソードも魅力的。
「個人的に好きなエピソードは、麗美の話とトロ子の話かな」
麗美は、出生に大きな問題を抱え、周囲を寄せつけぬ冷ややかな天才であり、トロ子こと朋子は無器用ゆえにイジメられていた。それが鬼塚の登場によって、表情が生き生きと変化していく。
「『その人がもっているまったく違った面が引き出されることで人生がひらけていく』っていう話が好きなんですよ」。笑いとキャラクターの成長。それを見守る、たまにシリアスな教師・鬼塚。それぞれのキャラクターが懸命に生きる姿が胸を打つ。読後感のさわやかさ保証付き、最上級のエンタテインメントだ。
