「元々、レースが好きだったこともあるんですけど……」
幼なじみや同級生からはカペタと呼ばれるクルマ好きの小学校4年生が、カートと出会い、レースの世界へと足を踏み入れていく。前作「昴」で新境地を描いた曽田正人の新作「capeta」は、意外にも正統派の少年漫画だった。
「自分がそのジャンルを好きだからといって漫画で描こうとは思わない方なんです。じゃあ、どうしてレースなのかと言えば、今まで漫画を描いてきて、初期のころはホントに自分ひとりと編集者だけでやっているという感じだったんですね。ところが、この前に描いていた『昴』は特にそうなんですけど、バレエという僕にはよくわからない世界のことなので。いろいろな人の協力がなければ描けないわけです。で、そうやって描いていくうちに、『自分は協力してくれた人に恩を返せているのかな』と。最近、そういうことをすごく考えるようになってきたんです」
そんな時、気になったのが、レーサー達の姿だったという。
「ミハエル・シューマッハをはじめ、活躍しているレーサーを見ていると、車を作ってくれる人、お金を出してくれる人、そういった周囲の人たちにカッチリ結果を出して返しているんですよね。その姿がすごくかっこよく見えて。ジャンルは違うけど、自分もそうなれたら、と。そんな風に考えたら、これをそのまま漫画にしたらおもしろいかなと(笑)。でも、今までで一番冷静に描いてます。舞い上がってガーッと描く方が僕は楽なんですけど。勢いだけじゃだめだ。“上手く”ならないと、と思って」
父が組み立てたカートで初めてサーキットを走るカペタ。エンジンは発電機のものを利用。トラブルを抱えたマシンを巧みに操り、秘めた才能の片鱗をかいま見せる。
「ヘンな言い方ですけど、運転の才能はあって当たり前。F1に乗ってもおかしくないようなレベルの人はたくさんいると思うんですよ。でも、ほとんどの人が乗れないまま現役を終える。それは、なぜなんだろう、と。そっちの方に興味があるんです。だから、運転はもうずば抜けていてくれないと話にならない。初めて乗ったコースでトップタイムが出せないような人は、元々F1に乗れないので。問題はそこからさらに上。たくさんの候補の中で、コイツを乗せたいと思わせる何か。それが僕にはまだわかんないんですけど。その『何か』を追求していく漫画にしたいなと思っています」
才能がしのぎを削る世界。「昴」にも相通じるテーマのようだが…。
「すばるはバレエ以外まったく何もできない、やるべきことを神様に決められちゃっているような人。ちょっとかわいそうですけど、そういうヤツを描きたかった。逆に、レーサーのトップレベルの人間ってのはもっとパーフェクトさが求められているというか。結局、今まで僕は『本当にトップに立つ人はどういうヤツだ』ってことを真剣に考えたことがなかったんですね。『シャカリキ!』なんかは気合いと根性で上に行くみたいな感じでしたし。あの作品が日本国内のシーンで終わったのは、世界に勝つ方法があの当時の僕にはわからなかったから。『capeta』では、そこを真剣にやりたい。どうやったらミハエル・シューマッハみたいなヤツが育つのかを」
