バンドが新しいステージに到達したことを強く印象づける、開放感に満ちあふれた、とてもポジティブなアルバムですね。
「毎回考えてるのは、前のアルバムと同じようなものは作らないってこと。それで今回は、もう少し外に開かれたものにしたいと思いまして」(後藤)
「モードが変わった感じですね。いままで結構難しい方向に行こうとしてたんだけど、今回はそうじゃなくて、シンプルながらも音楽的にいろんなことをやって、メロディはポップっていう、そういう方向にバンドがシフトしたように思います」(伊地知)
すごくポップなんだけど、エッジがあって、ライブ感もあって、聴くほどにアンサンブルの多彩さも見えてくるという、この絶妙なバランス感は、どうやって生まれたのでしょうか?
「実際、いままでより聴きやすいアルバムになってると思うんですよ。でも僕ら、毎回この4人しかいないんで(笑)。メンバーがほかのメンバーをプロデュースするような感じで、みんなで考えてやった結果なんです」(喜多)
歌詞もよりダイレクトになって、すごく入っていきやすいですよね。
「どう見てもいままでに比べてシンプルですよね。感覚的な歌詞じゃなくて、ちゃんと言葉で表現したいっていう意識が芽生えたのかも。昔は感覚とか響き先行でしたから。シュールな方がいいと思ってたところもあるし。でもいまは、逃げないでちゃんと書こうという意識がある。照れがなくなったっていうのもありますね。昔なら恥ずかしいと思うようなことでも、そう思わなくなったっていう」(後藤)
アルバム1枚で70分超えが珍しくないこの時代に、全編で45分弱という短さも痛快です。
「要は、好きなんですよ、短いのが。全曲ちゃんと聴いてほしいですし。最近の70分とかの作品だと、なかなか通して聴けないですよね。1枚のアルバムというよりは、分厚い短編集みたいな感じになっちゃうんで」(後藤)
後藤さんは、なにか一つの境地に達したように見えますね。迷いが一切なくなったような感じで。
「確かにそういうのはあります。人がなんと言おうと、オレはやりたいことをやりますね、いまは。やりたいことをやるし、作りたい音楽をやるし、イヤなことにはイヤだって言う。それで鼻つまみ者になるんなら、それでもいいと思うし(笑)」(後藤)
ライブバンドとしての魅力を凝縮しつつ、ソングライティングと演奏の高いスキルが存分に示されているという意味で、これは傑作と呼んでもいいと思うのですが。
「ありがとうございます」(後藤)
「こんなご時世の中、ちゃんと一枚通して聴くことができるアルバムができたと思います。聴きながらガッツポーズしたりとか(笑)、単純にギターロックとして楽しめると思うので、ぜひいろんな人に聴いてもらいたいです」(喜多)
「昔から自分が好きになるのは、一曲一曲がよくて、ダラダラしないで流れがよくて、押しつけがましいコンセプトがないアルバムで、そういう作品に対するあこがれがあった。今回は理想型に近いものができたと思ってます。すごくポップだし、歌詞の世界観にしてもわかりやすいし、本当に楽しめる作品になったなって」(山田)
