現在大ヒット中のシングル「雲は白リンゴは赤」を含む、aikoの7枚目のアルバム「彼女」がリリースされる。昨年11月に30歳を迎えたことで、臨み方になにか変化はあったのだろうか。
「それがまったくないんです。デビューからほぼ同じスタッフと、いつも特に締め切りを意識することなく『そろそろ新曲録ろか?』と、ここまでやってこれた。実は私の気付かないうちに、スタッフが優しくレールを敷いて導いてくれてたのかもしれないですね。これからもこの形を維持する努力を続けていきたいと思ってます」
いつにも増して恋愛の一瞬の切り取り方が絶妙。特に女の子のダメダメな部分が痛かったり、せつなかったり。恋愛教祖という異名を持つaikoならではである。
「私自身がダメな人なんです。人を好きになるとその幸せと同じくらい、別れがきたらどうしようってドッとネガティブ思考になっちゃう。肯定していたのを否定したり、許せてたのが許せなくなったり、忙しくてヤになります(苦笑)」
だからこそ、微妙に揺らぐ女心が描けるのだろう。今回は珍しく男性以外に向けた気持ちを書いた曲もある。花王「ハミング」のCMに使われていた「瞳」がそれ。日だまりのような静かなまなざしで死生観を捉えた感動的な曲だ。
「妊娠してた友達から破水したというメールが来た時、ほかにどうしていいかわからずに曲を贈ろうと思ったんです。もちろん無事生まれて、いまは私の名前を呼べるくらい大きくなったんですよ。私自身もすごく虚弱な子だったんで、きっと両親も毎日一喜一憂してたはず。だから両親に聴いてもらいたいなと思ってるんです。aikoもこんなこと考える大人になれたよって伝えたいなと」
ベスト盤真っ盛りの中、9年目に入るキャリアでいまだベスト盤バージンでいるのは奇跡的なことだ。創造性の枯渇など問題外なのだろう。ディレクターもaikoが歌詞を書けない、ということを一度も想定したことがないらしい。
「たぶん不安症だから多産型なんです(笑)。ほめられたり驚かしたりも大好き。身近なスタッフの喜ぶ顔、驚く顔を見たいから頑張れる。その楽しさがみんなにまで届くはずだって信じてます」
