ネタのうまさを引き立てる
創意と工夫に満ちた味わい
06年12月に桜坂から西中洲へ移転。この店の店主が握る独創性あふれる寿司は全国的にも評価が高く、福岡のみならず、関東・関西方面からも多くの客が頻繁に訪れている。
テンポよく出される握りは、全てそのまま食べられる。軽く炙ったトリガイには岩塩とスダチ、鯛には梅とタタキオクラをのせるなど、どれもひと手間かかったものばかり。一見普通に見える握りも、中にユズが忍ばせてあったりと、うれしい工夫が凝らされている。「いつも新しい寿司の創作を考えている」と語る店主は、市場でナスを見れば、どうすればうまい握りになるか、江戸前・博多前などの寿司の手法にとらわれることなく、日本料理や洋食のレシピにまで思いを巡らせるという。そのため、目の前に並ぶ握りとも一期一会になるかもしれず、また食べるのが楽しくなってくる。
酢飯のうまさも特筆ものだ。産地は秘密ということだが、独自のルートで仕入れた米に、3種類の酢・塩・砂糖で作った合わせ酢を混ぜた酢飯は、すっきりとした味わい。甘さも抑えられており、和牛や野菜にまでおよぶ多彩なネタをしっかり支えながら、素材のうま味を引き立てている。もちろん、シャリの大きさは、そのネタによって最適な大きさに調整されている。また、刺身などをつけるためにカウンターに置かれたムラサキ(つけ醤油)は、数種類の醤油をブレンドした特製と、どこまでも抜かりがない。
これほどの技を見せながらも、店主はことさら、寿司を握るのに大切なのは“気持ち”であることを強調する。「お酒をよく飲む方にはシャリの量を普段より減らしたり、寿司を食べ慣れている方にはボラの白子のような珍しいネタをおすすめしてみる」。客それぞれが心地よく食べられる気遣いこそ、包丁に勝る職人の技ということだろう。
九州大人のウォーカー(3月)
2005年1月28日 発売
九州流儀が宿る極上の寿司 掲載
最終データ更新日:2008年2月21日
*掲載内容は雑誌掲載時のデータをもとに構成しています。
定期的に更新を行っておりますが、
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