2006.3.22 VOL.20
ミニシアター九条大宮

京都/京都みなみ会館

京都府京都市南区西九条東比永城町79パチンコラスベガス2F TEL.075(661)3993 駐車場あり
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段差が設けられていて、前の人の頭が気にならず、安心して映画が楽しめる。また、ふかふかのソファーなので、オールナイト上映で長時間座っていても、お尻が痛くならず、むしろ快適!

過去の大入り袋ベスト3
2006.3.15現在
1位「ピンポン」
2002年7月27日〜10月22日公開

2位「ジョゼと虎と魚たち」
2003年12月27日〜2004年3月19日公開

3位「東京日和」
1997年11月3日〜21日公開
1997年12月27日〜1998年1月16日公開




見よ!大量の近日公開作品ポスターを!! この他にも所狭しとびっしり貼られていた。全部お見せできないのが非常に残念


過去の上映作品のグッズやパンフレットがズラリと並ぶ売店。買いそびれた作品のパンフレットがここにあるかも!? この他にもお菓子やドリンク(関西名物冷やしあめ(¥100)がありました!)なども充実している


「このタイムスケジュール表、リニューアル当時から全く変わっていないんです」と、佐藤支配人。こうした手作り感が所々にあって、庶民的で誰でも気軽に立ち寄れる感じが魅力。まさに“ほっこり”できる劇場なのだ
支配人が語る、京都みなみ会館

営業支配人 佐藤 英明さん

1961年、神戸市生まれ。近所にあった3本立て上映館の影響を受け、中学時代から映画ファンに。大学時代から京都で過ごし、自主制作や上映活動にも参加。大学卒業後、地元の広告代理店に勤務し、1986年9月に開催した関西初レイト・ロードショーの好評を受け上映を定期化。これを機に映画会社RCSを設立。以来、京都を拠点に京阪神の映画館やホールでの企画上映、またミニシアター系映画の配給と宣伝も行っている。現在は、「京都みなみ会館」、「滋賀会館シネマホール」、「千里セルシーシアター」の番組を編成。個性的なプログラムで注目を集めている
●好きな映画 「大陸横断超特急」「ミュラー探偵事務所」
●好きな監督 アキ・カウリスマキ、フランシス・ベベェール
●好きな俳優 ♂チャウ・シンチー ♀篠原涼子

「全国的にシネコン化が進むなか、単独スクリーンで営業を続けることは冒険かもしれません。今後も超・個性派ラインナップで、『京都にはこんな一風変わった映画館が存在するのか』と、思わず口をポカンと空けてしまうような番組を、お届けし続けたいと考えています。古くても新しくても、観ていない映画は、永遠の新作でもあるのです。今のシネコン時代にはない劇場空間だと思いますので、意表をつかれるかもしれません。最新の設備があるわけではないですが、ちょっと他にないスタイルで、心からおもてなしします。是非お越しください!」

年間上映365本以上(!)
京都みなみ会館オリジナル・イベントも充実


 関西で上映されるミニシアター系の作品の多くは、少し遅れての公開となったり、もしくは残念ながら公開されなかったりする。そんな時、「ここだったら上映するかも」と、映画好きな人なら真っ先に浮かぶ劇場が京都みなみ会館ではないだろうか。
 この劇場の上映作品は年間365本以上(!)といった膨大な数で、ここでは拡大系から単館系まで、様々なジャンルを問わず楽しめるという、映画ファンにはたまらない空間を提供している。また、毎月定期的にオールナイト上映を開催しているが、なかでも覆面上映会“ポップコーン・ナイト”といったここだけしか味わえない、魅力的なイベントも実施。
 そんな過密で“こだわりの上映スケジュール”を立てているのが、宣伝会社RCS 営業支配人 佐藤英明さん。京都みなみ会館の館長とは別に、佐藤支配人が担当するという、ちょっと他に例をみないスタイルを確立している。そこで今回、どういった経緯で京都みなみ会館の上映スケジュールを担当するようになったのか、佐藤支配人に話を伺った。

「1980年代まで京都みなみ会館は、ロードショーが終わった映画を、後でまとめて3本立て上映する2番館として営業していました。例えば、今の時代でいうと『ドラえもん』は3月、『しんちゃん』は4月と公開の流れが決まっていますが、そうした作品を上映終了後に組み合わせて一度に観られるお得セット番組を提供していたのです。東宝、松竹、東映など大手映画会社の直営映画館では、決められたロードショー作品をその通りに公開するだけで済みますが、独立経営の映画館は上映番組自体を独自に考え編成しなくてはなりません。そこで封切りでヒットした映画を後から集めて組んで上映すれば、ある程度の集客があったんです。しかし時代が変わり、1980年代から急速に普及し始めたレンタルビデオの影響で観客の映画館離れが進み、これまでの様に単に再上映するだけではお客さんが映画館に足を運んでくれなくなりました。そこで、集客を図れる何らかのアイデアが必要、かつ重要になってきたんです。その頃(1989年)、京都みなみ会館の持ち主も今後難しくなる番組編成をどうすれば良いかで悩んでおられたんですね。一方、僕はサラリーマンとして広告代理店で働きながら、京都駅前にあったルネサンスホールで定期上映会を主催していたんです。当時、僕たちは“既存の映画館ともっと一緒に仕事がしたい”と思っていて、京都みなみ会館にもイベントの企画書を持ち込んだんですが、それと同時に経営者の方からも相談を受けたんですよ」

 もちろん、映画への熱い情熱が強いだけでは仕事に繋がらない。広告代理店で仕事をしながら趣味を楽しむことは、容易でないこと。佐藤支配人も「映画が好きな人は、誰でも映画に携わる仕事がしたいって思うでしょう?」と、さらに詳しく話を進めていった。
「一時は配給会社へ就職も考えたのですが、道は険しく、ならば、広告代理店に入って、CM制作や試写会のプロデュースをしたりと、映像産業に関わる仕事ができればと思ったんです。でも、結局仕事が忙しくなり、ますます映画から離れてしまう。観たい映画も観ることができない…。そんなときに出会った作品が『ストップ・メイキング・センス』。この映画はどうしても観たいと思って、東京まで観に行き、凄く良かったから、この作品を関西の皆に観てもらいたいという思いが湧いてきたんです。それで、以前から入っていた自主映画グループ『シネマルネサンス』で、この映画の京都公開を企画し、苦労を重ねたものの、大成功のもと上映ができました」

 当時の映画業界は、最終回が19時頃で21時以降の上映は行われておらず、土曜日のみオールナイト上映を行っていた。だが、佐藤支配人は「仕事をしていたら、19時になんてなかなか終わりませんから、それで映画が観られなくなった。そんな思いをしている人は俺だけじゃないはず!」と、それを証明すべく手探りの自主上映会を行い、関西初の3週間連日レイト・ロードショーを見事やり遂げた。
「貸しホール規約によると、21時半までしか貸さないことになってましたが、ルネサンスホールの支配人から『こういう面白い発想を待っていたんです』ってOKが出ましてね。最初は動員も厳しく苦労はハンパじゃなかったですが、映画への情熱があれば必ず伝わる、叶うってことが証明できたと思います」
 こうして佐藤支配人は、京都みなみ会館に今までの実績が認められ、上映スケジュールや営業を任されることになる。さらに、現在のような新作、名作を提供するために自身の映画宣伝会社RCSを設立。新たな人生の第一歩を踏み出した。


13年続く“ポップコーン・ナイト”で
”食わず嫌い”を克服計画


 さて、この会社名RCS。パッと見てシンプルな会社名だが、“どんな意味があるのだろう”と、なぜか引きつけられる。
「自身の出発点である上映会の名前をそのまま頂き、ルネサンス(R)、シネマ(C)、ステーション(S)という意味が込められています。他にもこの3文字に、ロック、コミュニティ、スペシャル、ソサエティーといった無数の意味があってね。表に説明しない裏の意味も色々入れているんです」

 全てにおいて一筋縄ではいかない“こだわり”を持つ佐藤支配人。もともと映画好きだったそうだが、さらに大人になるにつれて、様々な映画を観るようになり、特に家の近所にあった名画劇場では、色の三原色のようなプログラムもあれば、グラデーション的変化で攻めてくる3本立ての上映作品を楽しんだという。
「学生時代から、もし自分が映画館でプログラムを作るとしたら、“こんな企画で、こう組み合わせよう”って既に楽しんでいたんですよ(笑)。そんな当時の経験が、現在のスケジュール作成に大いに役立っていますね。10代の頃に描いていた夢に今、行きついているなあって思っています」

 名画座ではジャンルに偏らず、あらゆる作品を見せてくれる。それは、観る人に権利が与えられるので、興味のない作品は観に行かなくても良い。だが、そんな「食わず嫌い的な映画鑑賞は基本的に観れば治せる」と佐藤支配人は考え、覆面上映を計画。町の映画食堂のような気持ちで、美味しくてお得なメニューを考案する。そんな店主の「食わず嫌いはあきませんで!」という願いを込めて生まれたのが、<アホ・バカ・ファンキー! ポップでキッチュでブラボーな映画を見ようよ!>をキャッチフレーズとする“ポップコーン・ナイト”。
「情報過多な現代で、何の予備知識を入れずに、全く白紙の状態で映画に向き合える、ホントに楽しめる鑑賞機会を作りたかったんです。洋画好き、邦画好き、アジア好きなど、色々と好みがあると思います。でも本当に映画好であれば、映画を選り好みしないし、面白い映画は何でも観たいものです。それを証明してあげようと思って、和・洋・中・エスニックとジャンルを問わず、『やっぱりスクリーンで観たいのだ!』という映画を中心にプログラムを組んでいます。これに参加すると、興味のなかったジャンルの味も偶然に楽しめ、好き嫌いがきっと減るはず」

 入場者全員にポップコーンのサービスがあり、ユニークな作品たちをポップコーン片手に楽しむことができるこのイベントは、今年で13年目を迎える名物企画で、年に2回行われている。
「例えば『チャウ・シンチー主演の作品は昔から何本も上映しているんですが、ある時お客さんが、チャウ・シンチーって世界のスターになりましたね。私、昔の“ポップコーン・ナイト”で初めて観たんです。この機会がなかったら香港映画なんて観ることはありませんでしたし、まさかハマるとは思いませんでした』って話してくれたんです。他にもお客さんの反応を聞けば、『面白い!』って言ってくれますし、常連客だっている。でも、何が映るか分からないんで、なかなか足を踏み出せない人が多いのも事実。ただ、僕がお客として観に行っても、絶対に満足して帰ってもらえる内容にと、取り組んでいます」

 映画のシェフが素材を厳選した“映画”を上映している京都みなみ会館に通える人がとても羨ましくて仕方ない。また、なかにはわざわざ劇場の近くへ引越してきた人というファンもいるというから驚きだ。
 次回の“ポップコーン・ナイト”は、夏休み時期の8月に開催を予定しているとのこと。一度ハマってしまったら、二度と抜け出せない“シェフご自慢のひととき”を、いまだ味わっていない人は是非堪能してみて欲しい。


今後のオススメ作品

 オールナイト上映では、前回行われた<オダギリジョー・オトコ前ナイト>(完売)の好評を受け、さらに4月29日(祝)、5月2日(木)に<続・オダギリジョー・オトコ前ナイト>が決定している。上映作品は、4月29日(祝)、5月2日(木)共に、「アカルイミライ」(インターナショナル・バージョン)、「夢の中へ」、「メゾン・ド・ヒミコ」、「パッチギ!」の計4作品。特に「アカルイミライ」(インターナショナル・バージョン)は、オリジナルとは異なる編集のもので、シーンを入れ替えることによって、同じストーリー展開でも、全く異なる解釈ができる。
 またロードショー作品では、映画史上に残る大傑作として、男の死体とともに旅する2人の男の姿を描く「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」('05)を、ゴールデン・ウィークに自信を持ってお届けする。
「最近は映画館で男が奪い立つ状況が少ないんです。90年代にレディースデーで代表されるように、映画業界が女性客にシフトしすぎたんですよ。男女共に一律1000円ならば、こんなに嬉しいことはないのに、性別で分けることをしちゃったから。だから、男たちを熱くさせる映画をもっと上映したい。男たちがもう一度元気になって、映画業界を盛り上げて、何かしらアクションを起こして欲しいですね」

(取材・文/Moviewalker編集部 須藤民子)

割引&システム
●サービスデー&タイム
高校生3人以上で1人¥1000
(同一作品に限る/要学生証)
いずれかが50歳以上の夫婦ペア
2人で¥2000(年齢は要証明)
火曜ペア¥2000(男女関係なし)
サービスデー(毎月1日)¥1000
関西ウォーカー最新号持参者
割引あり(作品による)
身障者付添者(2名まで)¥1000
チラシ・半券持参者割引あり
(作品による)

●会員システム
会員(RCSメンバーシップ)割引あり
●定員制:無 入替制:無
設備DATA
●スクリーン・サイズ
スクリーン:縦3.6m×横8.2m

●座席
フードDATA
●MENU
COMOパン(デニッシュ) ¥120
都こんぶ ¥120
アイスモナカ ¥120
アーモンドグリコ ¥120
できたてのポップコーン 1リットルサイズ¥200 2リットルサイズ¥350

映画館外からの飲食物持ち込み:可
座席での飲食:可
軽食:有 アルコール:有
自動販売機:有 ドリンク:有
バリアフリーDATA
劇場までの段差:有
バリアフリー席:無
バリアフリートイレ:無
観たい映画のリクエストが叶うかも!?

 観たい映画をリクエストをしても都合で上映できない劇場が多いなか、京都みなみ会館は、もしかしたら希望する映画が観られるかもしれないという、“夢のような映画館”。
「基本は僕が観たい作品を選んでいますが、お客さんのリクエストも参考にしています。何でこんな作品を上映するの?って聞かれることもありますが、それはお客さんのリクエストが効いているからこそであって、なるべくお客さんの希望に合わせたいんです。注目されている作品が上映されないのは残念ですからね」(佐藤支配人)
 リクエストをせずに“あの作品観たいなあ”と、心の中で悶々としているアナタ、劇場に設置してあるアンケート用紙にその思いをガツーン!とぶつけてみてはいかが?


「お客さんがチラシを取りやすいように、スタッフ手製のチラシボックスを作ったんです」と、佐藤支配人。休憩時間はチラシを手にしながら、観たい作品をアンケート用紙に書いているお客さんの姿が印象的だった