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2006.1.20(金)更新
【関西シネマのぞき見隊】息の合った小泉堯史監督+寺尾聰の
「博士の愛した数式」試写会場にベストメンバーが集結!
【関西シネマのぞき見隊】息の合った小泉堯史監督+寺尾聰の「博士の愛した数式」試写会場にベストメンバーが集結!
原作に惚れ込み、映像化に臨んだ小泉堯史(右)。その監督に絶大な信頼を寄せており、最近は、15分の記憶を持たせるのも大変(?)だという寺尾聰(中央)。彼は、小泉監督から「もう、お前要らない」と言われるまで、へばりついていく覚悟を決めているそうだ。そして、実は数学の知識はあまりないと告白した小川洋子(左)は、今の気持ちを「自分の作品が、映画として目の前にあるのを幸福に感じている」と表現した
【関西シネマのぞき見隊】息の合った小泉堯史監督+寺尾聰の「博士の愛した数式」試写会場にベストメンバーが集結!
「ぜーったい、(本作を)子供に観せろ」と自分の娘にも強力プッシュした川藤幸三(左)。「人間という生き物、そして自然、素直な数字。そういうものがうまく絡み合っている」と本作を評した江夏豊は、劇中の季節の変わり目や、自然の美しさに目を奪われたそうだ
【関西シネマのぞき見隊】息の合った小泉堯史監督+寺尾聰の「博士の愛した数式」試写会場にベストメンバーが集結!
5名のゲストが登場したことにも驚きだが、上映終了後には、小泉監督、寺尾、小川の3名による観客からの質問タイムが設けられるというオマケ付き。博士の記憶維持時間について「なぜ、80分なのか」という問いに対して、小川は、「たいした意味はありません。切の良い数字より、意味がありそうな雰囲気を漂わせるために選びました」とのこと。ちょっぴり訝しがってたみなさん、すっきりしました?
【関西シネマのぞき見隊】息の合った小泉堯史監督+寺尾聰の「博士の愛した数式」試写会場にベストメンバーが集結!
「小説の空気が、映画の内容にも反映されていた」と小川女史も認める「博士の愛した数式」は、梅田ブルク7、道頓堀東映パラス劇場、神戸国際松竹、MOVIX京都ほかにて1月21日(土)より上映
[c]2006「博士の愛した数式」製作委員会
【STAFF&CAST】
監督・脚本:小泉堯史 原作:小川洋子 出演:寺尾聰  深津絵里 齋藤隆成 吉岡秀隆  浅丘ルリ子  井川比佐志  頭師佳孝  伊東紘(2005/アスミック・エース)117分

【小泉堯史プロフィール】
1944年、茨城県生まれ。1970年に黒澤明、木下恵介、市川崑、小林正樹の4巨匠によって作られた“四騎の会”に所属。「影武者」('80)以降、黒澤監督の全作品へ助監督として参加。黒澤監督の遺稿脚本をもとに「雨上がる」('00)で監督デビューを果たし、第56回ベネチア映画祭で緑の獅子賞を受賞するなど、国内外での高い評価を得る。その後、第2作目「阿弥陀堂だより」('02)で日本中を感動に包み込んだ

【小川洋子プロフィール】
1962年、岡山県生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、1988年にデビュー作「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を、1991年には「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞する。今回、映画化された「博士の愛した数式」('03)では、第55回読売文学賞に加え、第1回本屋大賞に輝く。主な著書に「ホテル・アイリス」('98)、「貴婦人Aの蘇生」('05)などがある

【寺尾聰プロフィール】
1947年、神奈川県生まれ。1968年に熊井啓監督作「黒部の太陽」で映画デビュー。山田洋次監督「同胞」('76)、黒澤明監督の「乱」('85)、「夢」('90)や、「まあだだよ」('93)などに出演し、「半落ち」('04)では、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に選ばれた。小泉堯史監督とは、「雨上がる」('00)、「阿弥陀堂だより」('02)につづけて、本作で3度目のコンビを組む

【江夏豊プロフィール】
1948年、大阪府生まれ。1967年に阪神タイガースへ入団し、日本球界に名を残す大投手として活躍。引退後は野球評論家業の傍ら、山下耕作監督「最後の博徒」('85)や、杉森秀則監督「水の女」('02)などの映画へ出演し、俳優としても活動している

【川藤幸三プロフィール】
1949年、福井県生まれ。1968年に阪神タイガースへ入団。“代打の切り札”として活躍し、ユニークなキャラクターから“浪花の春団治”の愛称で親しまれる。現在は、プロ野球解説者として活動中


>> 公式サイト
>> 「博士の愛した数式」作品紹介・上映スケジュール
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「今日ほど小説を書いて
『良かった』と思ったことはない」(小川洋子)


 事故の後遺症により、80分ごとに記憶がリセットしてしまう天才数学博士、彼のもとに派遣された家政婦と、彼女の息子の交流を和やかに描いた「博士の愛した数式」(1月21日(土)〜・梅田ブルク7ほか)。「雨上がる」('00)、「阿弥陀堂だより」('02)と、良質な作品を世に送り出してきた小泉堯史監督の第3作目となる感動の人間ドラマだ。
 間もなくの公開を控え、開催された大阪の試写会場へ、小泉監督、主演の寺尾聰、原作者の小川洋子が来場すると聞き、早速、現場リポートを開始!

 観客の熱い拍手に迎えられ、姿を現した小泉監督に続き、“80分しか記憶がもたない”博士を演じた寺尾聰が出てくると、彼のオーラを感じたのか、 「おぉー」と、客席から低くうなり声が上がり、最後に原作者の小川洋子が登場。
 さらに、ここからが大阪ならではの試写会。このゲスト3名に、なんと元阪神タイガースの選手の江夏豊と、川藤幸三の両名が加わる! 物語上に、現役時代の江夏の姿が描かれ、原作者の小川が大のタイガースファンであることから、この2人の“登板”が実現したのだ。憧れの江夏を横に、
「私、今日ほどこの小説を書いていて『良かった』と思ったことはございません」
と、顔を真っ赤にして、嬉しさを押さえ切れないようであった。
「ごちゃごちゃ言うより、観て欲しい」(川藤幸三)
「改めて“幸せ者”と感じた」(江夏豊)


 司会者から、作品へのエールを求められた川藤幸三は、
「(これまで)ワシには数学や、数字とかは、ほんまに無縁のもんだった。この映画を一足早く観させてもらったけど、はじめは眠くて、眠くて仕方がなかった(笑)」と、独特なトーンで彼の率直な気持ちを述べ、場内の笑いを誘った。
「ワシがごちゃごちゃ言うよりも、みなさんそれぞれの中で感じて欲しい。最後の方は、“ぐーっ”と上がってくるもんがあります」

 そして、本作では博士の記憶の“キーパーソン”とも言える江夏豊は、当時の活躍ぶりが劇中で映し出されるのを、
「ほんとに懐かしい。『素晴らしい諸先輩や、仲間たちと野球をやってこれたんだな』と、自分の思い出にはなりますね。改めて『(自分は)“幸せ者”なんだな』と感じました」
と、感慨深げに語り、喜びをかみしめ、
「ほんとに『ありがたい』の一言ですよね」

 日本プロ野球界で数々の前人未到の記録を打ち出し、大勢のファンから愛されたスター選手は、どっしりとした体格から、謙虚な発言を残した。
「原作ファンの期待を裏切らない」(小泉監督)
「役に対して、誠実な演技で応えた」(寺尾聰)


 「原作ファンの期待を裏切りたくない」と心に決めていた小泉監督は、“原作に出来るだけ寄り添った”映画作りに徹し、時系列に沿った撮影方法を選択したそう。そこへ、
「小泉監督が考えているであろうことを想像しながら、誠実に演じた」
という寺尾聰の確かな演技が加わる。監督と、役者の作り方を求める方向が“合致”したことで、機微を丁寧に描写した、豊かな作品「博士の愛した数式」が完成したのだ。

 最後に寺尾は、“寺尾流”映画の口こみ方法を観客に伝授。
「今日、(観て)気に入った方は、明日から是非」
 ここで一旦ことばを止め、肘で相手の脇腹を軽く、小突くようにしながら、
「『おい、あれ観て来いよ』と(周囲の人に)言って頂けるのを、とっても強く希望します」

 去り際に深々とお辞儀し、袖口前でも小泉監督と寺尾は2人揃って、寸分違わぬタイミングで客席に頭を下げた。律儀で、これだけ息の合う者同士が作り上げたからこそ、素敵な作品が出来上がったのだと確信できた。

 明日にでも劇場へ赴き、あの感動を目にしたら、すぐにでも知人に勧めて欲しい。伝えるときには、もちろん“寺尾流”を活用して下さい。

(取材・文/MovieWalker編集部・北川友恵)
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