【竹中直人プロフィール】

竹中直人

●56年神奈川県生まれ。83年TV番組「テレビ演芸」でタレントとしてデビュー。以後TV、映画、舞台と多方面で活躍。91年にカルト漫画家つげ義春の同名作を映画化した「無能の人」で監督デビュー。同作がベネチア映画祭国際批評家連盟賞を受賞し、監督としても注目を集める。18年間火事の起こらない町の消防士を描いた「119」('94)、中山美穂出演のラブ・ストーリー「東京日和」('97)、天海祐希と夫婦を演じたホームドラマ「連弾」('00)と今まで4作の監督作がある。ほかの出演作に、「RED SHADOW 赤影」('01)、「ウォーターボーイズ」('01)、「ピンポン」('02)、「マッスルヒート」(上映中)など。今後の公開待機作は「トリック 劇場版」(11月9日より)、「スパイゾルゲ」(2003年公開予定)など。
 
 
―金子修介監督はエンタテインメント要素の強い作品をつくられる方ですが、事前にどういう映画を撮りたいか話し合われましたか?

竹中:撮影に入る前に1回だけお茶を飲みましたけど、作品に関しての話はなかったな。監督は照れ屋なんじゃないですか。金子監督の「ガメラ」シリーズとかは見てたし、同年代というのもあって、怪獣映画の話をしたりして盛り上がりましたけどね。

―魔法使いということで、魔術のシーンが見ものだと思うんですけど、CG相手の演技はいかがでしたか? 後で見て驚いたシーンはありますか?

竹中:僕、CGは初めてだったんですよ。ですから、できあがるのが楽しみでした。演技としては「うわー」とか言ってただけなので、何の問題もなかったですね。で、できあがった映像を見て驚いたのは、自分が壷から飛び出して空を飛ぶシーンが全部CGなんですけど、ちゃんと僕の動きを分かっている人がCGをつくってくれたみたいで、飛んでる、飛んでるって驚きました。

―魔法をかけるシーンの指の動きが、「天国から来た男たち」('01)でも見たことのある動きだったんですが…。

竹中:手話でしゃべっているやつですよね。この動きは「RED SHADOW 赤影」('01)や、「ウォーターボーイズ」('01)とか、いろんな映画でやってるんですよ。いわば僕にとっては定番なんです。「あ、あの動きやってる」って喜んでくれる人と、「またやってるよ」ってあきれる人がいるでしょうね。別に狙ってるわけじゃないけど、どうしてもこの動きが好きでやっちゃうんですよ。

―ダンスのシーンでは竹中さんのいつもの動きが出ていましたが、振り付けはきちんと決められていなかったのですか?

竹中:なんにも指示がないので、どうしたらいいのかなと思ってたら、「竹中さんは適当に」って(笑)。しょうがないなとは思いましたけど、後で見たら、ちゃんと振り付けされた古田新太(長老役)クンは踊りがうまいんですよ。それを見て落ち込んじゃいました。

―アドリブはあったんですか?

竹中:ありましたよ。その場の雰囲気で生まれてくるものは大事だと思うし、やっぱりテストと同じことを本番でやってもつまらないでしょ。後は監督の選択だから、監督がおもしろいと思ったら使うだろうし、あまりおもしろくないと思ったら使わないだろうし。魔法使いなんで、呪文を唱えるときに変な言葉を言ったほうがいいかなと思って、いろんなバージョンの呪文を言ってみてました。そうしたら監督が3番目のやつとか、もうちょっと声のトーン小さくしてとか言って、そんなかんじでした。監督もそういうやり方を望んでましたしね。

―共演された優香さんの印象はいかがでしたか?

竹中:かわいくて本当に華があって、彼女が来ると現場が明るくなりました。で、夜遅くまで撮影が続いて、ロケバスで帰るときに一番後ろの席に一緒に座ったんですよ。彼女が「カンガルー出て来ないかな」ってずっと窓の外を見てて、僕は口笛吹いたりしてたんだけど、ふと気付いたらすぐそばで眠っていてかわいかったですね。もう寝てるのかって、しばらくお父さんのような気持ちで見ていました。

―今回は出演だけでしたが、監督をされるようになってから撮影の際に意識するようになったことはありますか?

竹中:以前よりスタッフたちに意識がいくようになって、彼らひとりひとりの顔が見えてくるようになりました。それと監督がどういう絵作りをしているかが気になりますね。ただこれは、監督をやる前から感じていたことで、役者としてどういうふうに撮られているかを考えるのは当然のことだと思うんです。このセリフのときは言っている人間じゃなくて聞いてる人間から何かを感じるから、これは2ショットの方がおもしろいなとか。そう思っていて、ずっとセリフを言っている人間のアップだけだったらショックですけど。それは役者だから監督だからというんじゃなくて、いろいろな価値観があるってことで。

―ミュージカル映画を撮りたいなと思いましたか?

竹中:撮れたら楽しいなとは思いますね。今度、渋谷シアターコクーンでミュージカルをやるので打ち合わせしています。

―今後監督作のご予定は?

竹中:来年秋頃に1本予定してます。構想も固まりつつあって、普通の家族のドラマです。それと、大学時代からの知り合いでもあるしりあがり寿さん(漫画家)の「真夜中の弥次さん喜多さん」をずっと企画としてあたためています。こちらの完成は2005年くらいかな? 東京スカパラダイスオーケストラのメンバーも出たいと言ってくれていて、彼らの演奏をそのまま流したりしたら、楽しくなると思います。

―最後に「恋に唄えば♪」にちなんでベタな質問なんですが、どんな願いでも叶うとしたら 何を願いますか?

竹中:最近よく言っているんですよ、チャーリズ・セロンと材木座海岸を歩きたいなって。いつか「竹中、チャーリズ・セロンと材木座海岸歩きたいらしいじゃないか」って友達が言ってきてくれるぐらい定着するように期待してます。彼女は日本のCMにも出てるし、ふと気付いたらチャーリズ・セロンと材木座海岸でCM共演してることってないかな。あとダニエル・デイ=ルイスと一緒にお茶飲みたいというのもプラスしておこうかな(笑)。