映画 情報 新作 試写会 上映スケジュール
ようこそ!   メンバーページ
占い
グルメWalker WeddingWalker 宅配 /  エンタメ /  ショッピング /  ケータイ /  占い
関東エリア映画館リスト東京都23区東京都有楽町日比谷銀座東銀座新宿新宿歌舞伎町
渋谷池袋お台場六本木恵比寿吉祥寺神奈川県千葉県埼玉県茨城県群馬県栃木県
RSS配信一覧
2004.2.17(火)更新
【東京シネマのぞき見隊】(17)
有楽町の個性派ミニシアター、銀座シネ・ラ・セット閉館…
その最後の姿を捉えるべく、“サヨナラ興行”に潜入!

【東京シネマのぞき見隊】(17)有楽町の個性派ミニシアター、銀座シネ・ラ・セット閉館…その最後の姿を捉えるべく、“サヨナラ興行”に潜入!
「アメリ」「ブラス!」に続き、歴代興行収入ベスト5にランキングされた韓国ドラマ「シュリ」('99)、異色時代劇「SF サムライ・フィクション」('98)、パペットアニメ「ウォレスとグルミット」('89〜'95)など、多彩な20作品を上映した<閉館特集>。『有楽シネマ』『シネマ有楽町』時代を含む、興行収入ベスト20作品のなかからピックアップしたという珠玉のセレクトだ
【東京シネマのぞき見隊】(17)有楽町の個性派ミニシアター、銀座シネ・ラ・セット閉館…その最後の姿を捉えるべく、“サヨナラ興行”に潜入!
満員御礼続出!の大盛況となった、今回の特集。このあまりの混雑には、劇場スタッフも整理券を配布して対応するという“てんてこまい”な忙しさ…。休憩中には、ロビーに飾られたこれまでの上映作品のパネル(104枚!)を眺めたり、特集で上映された旧作のパンフレットを買い求めたりする来場者の姿を多く見かけた
【東京シネマのぞき見隊】(17)有楽町の個性派ミニシアター、銀座シネ・ラ・セット閉館…その最後の姿を捉えるべく、“サヨナラ興行”に潜入!
瀬々敬久監督(写真右)と、ピンク映画界イチの人気俳優、川瀬陽太(写真左)。ATG作品を訳も分からず背伸びして見た覚えがあるという『有楽シネマ』でのエピソード(川瀬)や、瀬々監督曰く「無名であることが力にできる場所」というピンク映画ならではの製作秘話などが次々と明かされた
【東京シネマのぞき見隊】(17)有楽町の個性派ミニシアター、銀座シネ・ラ・セット閉館…その最後の姿を捉えるべく、“サヨナラ興行”に潜入!
劇場を取り仕切るスタッフの松永さん。周防正行監督の「変態家族 兄貴の嫁さん」('84※小津安ニ郎作品のパロディとしてカルト的な人気を誇るピンク映画)と、「シコふんじゃった。」('91)の2本立て興行などを実現させたという『シネマ有楽町』時代の貴重なエピソードもタップリ聞かせて頂きました!
【東京シネマのぞき見隊】(17)有楽町の個性派ミニシアター、銀座シネ・ラ・セット閉館…その最後の姿を捉えるべく、“サヨナラ興行”に潜入!
最後の作品となった「ブラス!」の上映を終え、半世紀の歴史に幕を下ろした『銀座シネ・ラ・セット』…。最後のお客さんを送り出して閉められた劇場の入口前には、名残惜しげにカメラのシャッターを押すファンの姿がありました
※注)ピンク四天王:
80年代後半のピンク混迷期にデビューを飾った佐藤寿保・サトウトシキ・瀬々敬久・佐野和宏の4名の監督を指す。この呼称は“濡れ場”が必須のピンク映画にあって、肝心要の絡みのシーンが少ない為に成人映画館に嫌われた“興行不振の元凶である4名の監督”とひと括りにされたのがきっかけ。作家性が強く業界でも異端であった彼らへはバッシングもあったようで、映画館から上映拒否も受けたことも。その状況打破として、監督自らが売り込みをして実現した四天王の連続特集<新・日本作家主義列伝>('93/アテネ・フランセ文化センター開催)での大盛況が、この四天王の名を定着させ、なおかつ映画のいちジャンルとしてのムーヴメントを生みだしたと言われている
MovieWalkerレポート TOPへ
半世紀の歴史についに幕が…!
銀座シネ・ラ・セットが1/31をもって閉館


 JR有楽町駅の中央口を出てすぐ、果物屋や薬局、コーヒーショップなどが軒を連ねる商店街に位置する個性派ミニシアター『銀座シネ・ラ・セット』。96年8月にオープンした同館が、7年半の歴史にピリオドを打ち、閉館することになってしまった。有楽町地区の再開発のためと聞いたが、どんな理由にせよ、自分の“お気に入りの映画館”が消えてゆくのは寂しいもの…。ましてや有楽町のこの場所に、銀座シネ・ラ・セットの前身である映画館が地を構えたのは、東宝の直営館『有楽シネマ』としてスタートした55年(昭和30年)。何と半世紀も前に遡るという! その後94年12月まで続いた『有楽シネマ』が閉館し、95年6月に再オープンした新東宝による成人映画専門館『シネマ有楽町』時代を経て、配給会社シネカノン(「シュリ」('99)のメガヒットで知られる)の直営館として再出発したのが『銀座シネ・ラ・セット』という訳だ。まさに映画館に歴史アリ。
 そして閉館を1/31に控えた『銀座シネ・ラ・セット』が、その終幕を前に特集上映を組むことになった。しかも『有楽シネマ』時代のATG(=アートシアターギルド)作品「遠雷」('81)や、『シネマ有楽町』でも上映された滝田洋二郎監督(「陰陽師」('01))の伝説的なピンク映画「痴漢電車 下着検札」('84※竹中直人の映画デビュー作!)など、半世紀の歴史を振り返るに相応しいラインナップ! しかしながら8日間で20作品を網羅するという強行スケジュール、これでは我々ファンは目移りしてしまいます…。
8日間で20作品を上映する<閉館特集>
我々が選んだのは、ピンク映画の希少作!


 『銀座シネ・ラ・セット』のこじんまりとした佇まいはいつものままだったが、幅1メートル足らずの狭い入口には、大きく掲げられた閉館のお知らせが…。ロビーにも、これまでに同館で公開された映画のパネル100枚以上がズラリと飾られ、否が応にも閉館のムードが漂っている。そしてそんな歴史ある同館の特集ラインナップのなかから、我々のぞき見隊が選んだ映画は「すけべてんこもり」! 何とも強烈なタイトルだが、同作はGacktとHYDE共演で話題を呼んだ「MOON CHILD」('02)の瀬々敬久監督が手がけたピンク映画で、ピンク四天王(※注)と称された彼の代表作だ。『シネマ有楽町』時代に封切りロードショーされたというこの「すけべてんこもり」は、“世界の終末とその再生”をテーマにしたちょっと前衛的な作品(瀬々監督がロケにこだわったという、荒涼とした三宅島の異質な風景がとにかく印象的!)なのだが、当時同館で公開されたピンク映画の中では一番ヒットした作品なんだとか。
 上映された日(1/28)も、平日のレイトショーながら7〜8割の入りで、なおかつ若い女性が多いことにビックリ! これは公開された95年当時としても同様だったらしく、濡れ場(=セックスシーン)が少なく作家性が強いと言われた瀬々監督らピンク四天王の作品は、逆に若い女性にも人気が高かったのだという。上映前には瀬々監督と主演の川瀬陽太によるトークショーが開催され、瀬々監督は「強烈なタイトルですが、実は『エンド・オブ・ザ・ワールド』という立派な(!?)原題もあるんです(笑)。この映画館も閉館を迎えるそうですが、この映画から“例え終わりがきても、また始まりはある”というテーマを感じ取って欲しいですね」とコメント。今回の閉館については名残惜しい思いが監督自身もあるようで、それを聞いたのぞき見隊もしんみりしてしまいます…。
閉館を迎える劇場スタッフの本音とは?
映画メガヒットの影に隠れた
映画館の苦労話にも花が咲く…!


 そう、我々はどうしても感傷に浸りがちだが、長年勤めてきたスタッフはまたそれも格別ではないだろうか…。「銀座シネ・ラ・セットといえば、ケン・ローチやマイケル・ウィンターボトムなど、それまで日本公開されていなかった名匠の初期作品を紹介してきたなっていう自負があります。ウィンターボトムの初監督作『バタフライ・キス』('95)にはちょっとした思い出もありまして…」と答えてくれたのは、『シネマ有楽町』がオープンした95年から10年に渡り勤めているというスタッフの松永さん。「淀川長治さんに『バタフライ・キス』の評論を書いてもらえることになって、試写会場までお連れしたことがあったんですよ。今思えば淀川さんと一緒に試写を見れて、良い思い出ですよね。『谷崎潤一郎やオスカー・ワイルドを髣髴(ほうふつ)とさせる』なんて賛辞の言葉も頂けましたし」と同作には個人的な想いがあるようだ。
 1/28、営業終了後のロビーで話を伺ったのだが、劇場担当として長い間勤めてきた松永さんの口からは、貴重なエピソードが出てくる!出てくる! また今回の特集でも上映された歴代興行収入ベスト1作品「アメリ」('99)の時は大変な思いをしたようで、「“アメリ現象”を生み出した…なんて言われていますけど、あの時は確かに凄かった。整理券を配布していましたが、それでも来場者を捌ききれなくて、平日でも昼の時点で夜までの全ての回が売り切れ…なんて毎日でしたからね」。そうカラカラと笑いながら語る松永さんの明るい声を聞いていると、閉館の暗い影なんて微塵も感じないが、さすがに最終日はグッと込み上げるものがあるのでは???
最終日はファンが劇場に殺到!
劇場側から思わぬプレゼントも…


 そうして迎えた最終日(1/31)の最終回。何だか名残惜しくて、いちファンとして銀座シネ・ラ・セットを再び訪れると、ロビーは押すな!押すな!の大混雑!! 最終日が近くなるに従って右肩上がりに来場者が増えていったというが、上映開始前からデジタルカメラやカメラ付き携帯で、ロビーやら場内やらを写真撮影している数多くの来場者に遭遇。老若男女が入り混じった場内は、最後の姿をその目に焼き付けようとするファンの熱意でムンムンだ。やがて大トリに選ばれたイギリスの感動作「ブラス!」('96※歴代興行収入ベスト2作品)が上映されると、鼻水をすする音がそこかしこから聞こえ出したクライマックスには、シネマのぞき見隊も涙ボロボロに…。そしてエンドロールが流れても誰一人として席を立つことなく、最後の上映が終了。自然と場内から拍手が巻き起こり、何となく席を離れ難い雰囲気が場内に充満していた、まさにその時…。赤ワインを手にした劇場スタッフがドヤドヤ〜と入ってきた!
 突然の展開に戸惑っている観客たちを前に、「皆さん、本当に長い間有難うございました」と松永さんが音頭を取り、皆で乾杯〜!(後で聞けば、最終回が始まってからあまりの盛況振りに急遽決定したイベントだったそう)。最後の瞬間を共に分かち合いたいという劇場スタッフと、そんな粋な計らいに大満足の観客で、みな一様にニコニコ顔だ。映画ファンに愛された銀座シネ・ラ・セットらしい笑顔の幕引きに、シネマのぞき見隊も胸を熱くして劇場を後にしたのでありました…。
(取材・文/戸田美穂 ワークス・エム・ブロス)

(C)KADOKAWA X MEDIA ALL RIGHTS RESERVED.