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| 助監督の経験も豊富な佐々部清監督は、表現の引出しをたくさんもっている人 |
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| すらりとした長身で柔らかい笑顔がスイートな大型新人・水谷妃里 |
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| ふたりにとって本作は特別な映画となったという |
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| ■4月17日(土)よりシネマミラノ、上野スタームービー他にて全国順次上映 |
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STAFF&CAST 監督・脚本:佐々部清 歌・出演:イルカ 出演:水谷妃里 上野樹里 桂亜沙美 三村恭代 淳評 山本譲ニ 夏木マリ 高樹澪 谷川真理(2003/「チルソクの夏」製作委員会)114分
【プロフィール】 佐々部清:1958年山口県下関市生まれ。'84年より映画やテレビドラマの助監督を務める。映画では主に崔洋一、和泉聖治、杉田成道、降旗康男などの監督に師事。「陽はまた昇る」(2002)で監督デビューし、寺尾聰主演の「半落ち」(2003)がロングラン・ヒットを記録。
水谷妃里:1987年千葉県生まれ。「新乳性飲料 SENOBY」のCMで注目され、その後映画やドラマに出演。映画は堤幸彦監督作「新生トイレの花子さん」(’98)、佐野史郎監督作「カラオケ」(’99)、曽利文彦監督作「ピンポン」(2002)などに出演。

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「彼女たちに指示したのは『演技をするなよ』ってことでした」(佐々部監督)

陸上部の少女たちのまぶしい躍動感や、むせかえるような熱気をスクリーンに打ち出した青春映画の佳作「チルソクの夏」。舞台は下関市で、姉妹都市釜山との親善事業として毎年夏に開催される関釜陸上競技大会で出会った、日本人の女の子と韓国人の男の子の淡い初恋を、みずみずしく描いた本作。 メガホンをとったのは、「陽はまた昇る」(2002)や「半落ち」(2003)で多くの人々の心を揺さぶった佐々部清監督。そこで公開に先立ち、佐々部監督と、1年の1度の逢瀬に心をときめかせるヒロインを好演した新星・水谷妃里に、本作への思い入れをたっぷりとインタビューしてみた。
劇中、美しいフォームで走り高跳びを披露している水谷妃里。彼女は実際に陸上部で高跳びをやっていた点を買われ、ヒロインに大抜擢されたという。 「台本を読んだ時は15才で、まさに17才のヒロインと年も近かったし、高飛びの選手ということで私にぴったりの役だと思いました。映画は初主演でしたが、監督がやさしい方だったので、緊張感などもぜんぜんなくて楽しく演じられました」
本作のオーディションは演技よりも運動能力を重視して行われたというが、監督は演技経験の浅い彼女たちからどうやって自然体の演技を引き出したのだろう。 「撮影に入る2週間前から現場に入って合宿をやったんです。まだスタッフがいないリハーサル室で、彼女たち4人に台本を読んでもらった。そこで指示をしたのは『みんな、演技をするなよ』ってこと」 その要求は、まだ演技経験の浅い4人にとっては、かなり難しいものだったに違いない。実際に彼女に聞いてみた。 「最初に言われた時は、どうしたらいいんだろうってとまどいました。でもその2週間でリハーサルをしているうちに、みんなと仲良くなって、本当に友だちと話す時のように台詞を言えるようになったんです。それで『ああ、これが演技をするなって意味だったのか』とようやくわかって。言ってみれば、演技に見えない演技だったのかもしれませんが」
まさしく監督の狙いどおりだった。さらに突き詰めて聞くと、監督の計算されたアプローチの仕方が見えてきた。 「この4人を配役した時点で思ったことは、彼女たちに役柄を近づけようとするのではなく、逆に役柄を彼女たちに近づけようとしたことです。そうして演出したほうが、リアリティが出るんですよ。 実は僕の演出の仕方って基本的にそうなんです。『半落ち』の時も、寺尾聰さんと最初にお会いして話した時の印象から、梶聡一郎という役柄を彼に近づけようとしました。その方が絶対にうまくいきますから」 |
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「演技ってすごく難しいけど、今までは誰にも聞けませんでした。でも今回、監督が教えてくれたんです」(水谷妃里)

ロケ地である下関などではすでに地方で先行公開され、大ヒットを記録している本作。よく練られたストーリーはもとより、映画には監督の望郷の念などいろいろな思いが込められている。 「実際に当時はもっと韓国と日本の溝が深かったんです。下関に住んでいると子供の時から、『朝鮮人と遊んではいけない』ってたたきこまれるので、それにはすごく反発していました。だから、物語として『ロミオとジュリエット』がやれると思ったんです。『チルソク』とは『七夕』という意味ですが、朝鮮半島と日本の海峡を天の川に見立てて、1年に1回の大会の時にしか会えないという設定にしました。直球で『ロミオとジュリエット』をやろうとしたんです」 水谷妃里もそんな物語については素直に感動できたという。 「本当に縁ってすごくロマンティックだと思いました。会いたいと思っても会えない。そこがいいんですよね」と目を輝かせて語った。
そう、彼女が演じるヒロインは韓国の選手と恋に落ちる。そして劇中の挿入歌「なごり雪」のメロディそのままに、恋をした彼女はだんだんときれいになっていく。 「2週間の合宿の後撮影に入り、みんな日に焼けて精悍になっていきました。また、芝居もノッてきて、それぞれが本当に役になりきり感情移入していったんです。 ラストの方で水谷の笑顔がアップで登場しますが、僕はあれがベスト・ショットだと思っています。用意スタートで一発OKでしたが、それも合宿を経ていろいろと現場を経験した後だったからこそ最高の表情が出せたのだと思います」
実際に彼女も今作での出演を経て、女優としての手ごたえを初めて感じたという。 「演技ってすごく難しいけど、今まではどうしていいのかを誰にも聞けませんでした。でも今回、監督が教えてくれたんです。それを少しわかっただけでも、進歩できたかなって思います。今回学んだことを忘れずに、これからもいろんなものを吸収して、みんなに憧れられる女優さんになっていきたいです」と満面の笑みをたたえて語る。
おふたりにとって、この作品が特別なものだということは、その表情からもひしひしと伝わってくる。最後に映画の見どころについて監督に語ってもらった。 「僕にとっては、宝物みたいに大事にしていたものを世に出すということで、ドキドキしています。自分としては、見ている側の感情が動く映画を作ったつもりなので、何かを感じてもらえればいいかなと」
今作で少女と大人の端境期という絶妙な時期を見事に切り取った佐々部監督。企画を立ち上げてから10年という歳月を費やし、丁寧に育ててきた映画だけあってクオリティが高いが、それに加えて監督の誠実さまでもが伝わってくる。地元に続いてぜひヒットしてほしいと心底願う良質な映画だ……。
(取材・文/編集部・山崎伸子) |
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