映画界で注目を集める中島監督&石井監督 ふたりが手掛けたCMをピックアップ!

最近、話題のCMディレクターたちによる映画が続々公開され注目を集めている。そのひとつが、現在公開中で、当サイトでも「見て良かった!TOP10」で1位(6/29〜7/5 集計)を獲得し、欧米での上映も決定している中島哲也監督の「下妻物語」。そして、もうひとつが、先頃行なわれた2004年度カンヌ映画祭で、邦画初の<監督週間>オープニング作品に選ばれ、現地でも大好評だった石井克人監督の「茶の味」(7月17日(土)公開)だ。
ともに人気CMディレクターである中島哲也監督と石井克人監督。今回の作品が劇場長編の第3作目にあたるだけでなく、テレビバラエティ「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)の特番企画として放送された「Smap Short Films」(2001)や、オムニバスドラマ「世にも奇妙な物語」(2001)を演出しているなど、意外にも共通点が多い。さらに、「下妻物語」で初主演に抜擢された土屋アンナが、撮影は先に行なわれた「茶の味」で映画初出演を果たしていたという事も、偶然とはいえ興味深い。そこで今回は、ふたりのディレクターが手掛けたCMの歴史を振り返りながら、彼らの作品の魅力に迫ってみたいと思う。 |
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カメレオンのように七変化を遂げる作風 さらなる進化が楽しみな中島哲也監督

中島哲也監督が手掛けた代表CMと言えば、豊川悦司&山崎努による温泉での卓球対決や、バーベキューで肉を奪い合う「サッポロ黒ラベル」(2001)のCMがパッと頭に浮かぶ方も多いのではないだろうか。劇画調にデフォルメされた豊川VS山崎が繰り広げる数々の熱い対決は、それほどインパクトを与えるCMだった。そんな中島監督のディレクター・デビューは、さかのぼること89年。当時、『しば漬け食べたい!』という台詞で山口美江ごとブレイクさせた「フジッコ漬物百選」のCMだというのだから、デビュー作からして、その非凡な才能の片鱗をうかがい知ることが出来る。以後、小泉今日子が出演し、『会議室でお弁当食べても、いいじゃん!見逃してくれよ!』の台詞で話題となった「クノールカップスープ」シリーズ(’89〜’92/写真左)や、加藤茶と三浦友和のユーモラスな掛け合いで楽しませてくれた「サントリー冷撰洋酒」シリーズ(’93)。ざこば師匠の『川藤出さんかい!』の名文句でおなじみの「サントリーモルツ」(’95)など、次々と話題のCMを手掛けていくが、この時期の作品はどちらかというと、落ち着いたトーンできっちりと演出しているものが多い。
監督にとって転機になったと思われるCMが、永瀬正敏出演の「J-PHONE」シリーズ(’97)だ。それまでの職人的な仕事から一変、カラフルでスタイリッシュな映像で不思議な世界観を生みだし話題を呼ぶ。この流れは99年、ミュージカル仕立てでキムタクが踊りまくる「JRA(日本中央競馬会)」シリーズにも生かされ、さらに派手で色鮮やかな世界が描かれていく。近作では、SMAPのメンバーが実写でガッチャマンに扮するという斬新な設定で驚かせた「NTT東日本」(2000)から、CHEMISTRYが歌い、大人のムードを漂わせている「サントリー角」(現在オンエア中/写真左)のCMまで、幅広い作風で魅力的なCMに仕立て上げているのが印象的で、その数、400本にものぼるというから驚きだ! また、彼を語る上で欠かせないのが、カメレオンのように次々と変化を遂げるスタイル。円熟した職人技のようなしっとりとした映像から、ユーモアあふれるポップで色鮮やかな映像まで、時代や作品とともに、今なお進化し続ける。それは、常に新しいことに挑戦する中島監督のこだわりであり、「CMは、いろんな映像の実験が出来て面白い!」と語る中島監督の言葉に集約されている。映画最新作「下妻物語」では、CMの演出で培った技と持ち味を存分に生かし、遊び心たっぷりの映像で胸にグッとくる友情の物語を見事に撮り上げている。 |
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キャラクターを生かした演出が光る! 石井克人監督の遊び心満載の世界観

一方、「鮫肌男と桃尻女」(’98)、「PARTY7」(2000)とヒット作を連発する石井克人監督も、話題のCMを多く手掛ける人気CMディレクターだ。SMAPの中居くんが巨大な箱に囚われ実験の対象にされてしまう「SkyperfecTV」シリーズ(2000〜2001)や、キムタクと岸部一徳のひょうひょうとしたやりとりが楽しい「富士通FMV」シリーズ(2000〜)などのCMが有名。ちなみに、「富士通FMV」シリーズにいたっては、現在シリーズ13弾目に突入。空港でキムタクに哀川翔が絡んでいるバージョンがオンエアされている。上記ふたつの作品に共通するのは、登場キャラクターたちが醸しだす可笑しさがCMの面白さにつながっているところ。「SkyperfecTV」では、中居くんに汚れた衣装を着せて観察し、「富士通FMV」では、謎の男に絡まれるキムタクのちょっぴりとぼけた味わいが楽しめる。そうしたユーモアたっぷりの作品が石井監督のCMには多い。
石井監督のキャリアを紐解くと、制作会社である東北新社が出発点となっている。そこで、中島信也、長尾直樹といったディレクターの下で、仕事を覚えていったという彼は入社3年目、「ハウス食品クリッパー」(’93)でCMデビューを飾る。スナック菓子のクリッパーをアニメ風に動かすというユニークなスタイルで注目を集めたものの、しばらくは合成モノばかり依頼されるようになってしまったんだそう。その後、広末涼子の表情がカワイイ「クノールカップスープ」シリーズ(’97/写真左)や、永瀬正敏が囚われてしまい、中居くんと同じ巨大な箱に入れられ3人の巨人に囲まれる「SkyperfecTV」とのコラボ作品「サントリーBOSS」(2001)など、次々と面白CMを手掛け、その数は100本を超える。また、映画「PARTY7」では、自分が演出した、「田辺製薬アスパラドリンク」シリーズ(’99〜2002/写真左)のCMキャラクターに扮した岡田義徳&小林明美を登場させるという、遊び心たっぷりの演出も披露! CMから生まれたキャラクターを映画に登場させてみたり、逆に、映画で知りあった出演者をCMでも起用するなど、ひとつひとつの作品や、出会う人を大事にする監督の持ち味がそこに現れている。石井監督の手掛けるCMは、比較的スパンの長いシリーズものが多いが、97年からずっと演出している『イヒ!』の言葉でおなじみ「旭化成」シリーズ(’97〜)では、映画最新作「茶の味」で名演技を見せた坂野真弥を気に入り、診断篇(2003/写真左)で起用したというエピソードもある。また、彼女は出演していないが、「旭化成」の最新CM歌篇(写真左)が7月5日(月)よりオンエアを開始したので、そちらもぜひチェックしてほしい。 |
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ふたりの手掛けたCMの歴史を振り返ってみると、こだわり抜かれた映像美はもちろんのこと、出演者の魅力を存分に引き出す演出や、遊び心たっぷりのギャグセンスを改めて実感させられる。それはCMだけにとどまらず、映画というフィールドでも存分に生かされ、個性的な魅力を生み出している。15秒から60秒という短い時間の中でアピールしてきたそのセンスを武器に、映画界に新しい風を送りこむ。ふたりの活躍が楽しみだ!
(取材・文/編集部・大西愛) |
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【中島哲也監督 代表的CM作品】
フジッコ「漬物百選」(’89) 出演:山口美江
日立製作所「日立映像技術(Interface 映像の夢篇)」(’89)
味の素「クノールカップスープ」シリーズ(’89〜’92/写真左)出演:小泉今日子
日清食品「出前一丁(跡継ぎ篇)」(’93)
サントリー「冷撰洋酒」シリーズ(’93) 出演:三浦友和、加藤茶
フジテレビジョン「フジテレビが、いるよ。」シリーズ (’95)出演:国生さゆり
サントリー「モルツ(男・川藤篇)」(’95) 出演:桂ざこば
JR東日本「びゅうプラザ 春の旅 (夫婦旅行篇)」 (’96/写真左)出演:麻生祐未
富士写真フィルム「フジカラー写ルンですスーパースリム」シリーズ(’97/写真左)出演:沢口靖子、稲垣吾郎
東京デジタルホン「J-PHONE」シリーズ(’97) 出演:永瀬正敏
日本中央競馬会「日本中央競馬会’99年間キャンペーン」シリーズ出演:木村拓哉
NTT東日本「インターネット促進(ガッチャマン前・後篇)」(2000)出演:SMAP
サッポロビール「サッポロ生ビール黒ラベル(温泉卓球篇)(BBQ篇)」(2001)出演:豊川悦司、山崎努
全日空空輸「ANA’sパラダイス沖縄(沖縄の歌篇)」(2002)出演:SMAP
サントリー「サントリー角(ハーフロック篇)」(2004/写真左)出演:CHEMISTRY
【石井克人監督 代表的CM作品】
ハウス食品「クリッパー(登場・食感篇)」(’93) 出演:東山紀之
湖池屋「湖池屋ポテトチップス(チッチッチッ篇)」 (’97/写真左)声:アグネス・チャン
味の素「クノールカップスープ(広末篇)」(’97/写真左)出演:広末涼子
旭化成工業「企業」シリーズ(’97〜/写真左) 出演:坂野真弥(2003)
日本テレビ放送網「日本テレビ(日テレ営業中 実験室篇)」(’99)
ゼブラ「ジムノック(ペンは銃より強し)」(’99/写真左)
田辺製薬「アスパラドリンク」シリーズ(’99〜2002/写真左)出演:岡田義徳、小林明美
富士通「FMV」シリーズ(2000〜) 出演:木村拓哉、岸部一徳
サントリー「BOSS(巨人篇)」(2001) 出演:永瀬正敏
スカイパーフェクト・コミュニケーションズ「SkyperfecTV」シリーズ(2000〜2001) 出演:中居正広 |