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2005.2.16(水)更新
【動画・単独インタビュー】
村上春樹の小説を映画化した「トニー滝谷」
静かな孤独を漂わせ主人公を演じたイッセー尾形に独占取材を敢行
【動画・単独インタビュー】村上春樹の小説を映画化した「トニー滝谷」静かな孤独を漂わせ主人公を演じたイッセー尾形に独占取材を敢行
ひとり芝居でさまざまな人間を演じてみせるイッセー尾形の素顔はとても気になるところ。取材に応える彼は、話し出すとふっと相手の緊張を解くような、場を和ませる不思議な魅力を持った人だった
【動画・単独インタビュー】村上春樹の小説を映画化した「トニー滝谷」静かな孤独を漂わせ主人公を演じたイッセー尾形に独占取材を敢行
トニー自身が多くを語らない代わりに、朗読風の淡々としたナレーションがそれを代弁していく。担当した西島秀俊の声の演技にも注目だ。また本作には、市川準監督と原作者、村上春樹の共同考案によって、原作にはないラストが用意されている。ぜひ劇場で確かめて!
【動画・単独インタビュー】村上春樹の小説を映画化した「トニー滝谷」静かな孤独を漂わせ主人公を演じたイッセー尾形に独占取材を敢行
「服を着るために生まれてきたような人」とトニーが愛する奥さんを演じた宮沢りえ。彼女が身にまとうことで数々の洋服がよりその魅力を放って、本当に彼女のためにある服と思わせるほどの着こなしにうっとりしてしまうほど
【動画・単独インタビュー】村上春樹の小説を映画化した「トニー滝谷」静かな孤独を漂わせ主人公を演じたイッセー尾形に独占取材を敢行
「トニー滝谷」の製作現場を追った「『トニー滝谷』メイキング・ドキュメンタリー『晴れた家』」。オープンセットが建てられた空き地での撮影風景や、市川準監督、イッセー尾形、宮沢りえの撮影合間の雰囲気が収められた本作も必見(公開は一部劇場のみ)
(C)2005 Wilco Co.,Ltd

【イッセー尾形 PROFILE】
1952年福岡県生まれ。1980年、現在まで続くひとり芝居の基となる「バーテンによる12の素描」を演じる。その後も、「都市生活カタログ」「とまらない生活」と銘打って、ひとり芝居のシリーズを展開。さまざまな人間の日常を淡々と演じて笑いを誘うスタイルで、創作したネタは400を超えるほど。国内はもちろん、1993年以降は、ロンドン、ミュンヘン、ベルリンなどで同時通訳付きの海外公演も精力的に行っている。映画では、森田芳光監督の「それから」(’85)、「悲しい色やねん」(’88)や、エドワード・ヤン監督作「ヤンヤン 夏の想い出」(’00)、五十嵐匠監督作「みすず」(’01)のほか、市川準監督とは、「ノーライフキング」(’89)以来の顔合わせとなる。また、イラストや執筆活動など幅広いフィールドで、その多才ぶりを発揮している

■公演情報
<イッセー尾形のとまらない生活 2005>
●名古屋公演 4月1日(金)・2日(土)・3日(日) テレピアホール
●佐世保公演 4月8日(金)・9日(土) アルカスSASEBO イベントホール
●福島公演 4月28日(木)・29日(祝) 福島テルサ FTホール
※詳細はオフィシャルwebサイト参照

【STAFF&CAST】
監督・脚本:市川準 原作:村上春樹 製作:橋本直樹 米澤桂子 プロデューサー:石田基紀 音楽:坂本龍一 出演:イッセー尾形  宮沢りえ 篠原孝文 四方堂亘 谷田川さほ 小山田サユリ 語り:西島秀俊(2004東京テアトル)75分

■「トニー滝谷」はユーロスペース、テアトル新宿で公開中。ほか、2月19日(土)よりテアトル梅田、京都シネマ、シネカノン神戸、3月12日(土)より名古屋シネマテーク公開
>> 公式サイト

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「絵画のような映画にしたい
それが市川準監督のコンセプトでした」


 日本人の両親の間に生まれたれっきとした日本人でありながら、ハーフのような名前を持つトニー滝谷。そんな「トニー滝谷」という人の名前を掲げた映画は、なぜそんな名前がつけられたのか、どんな人物なのかと、そのタイトルだけでも想像が広がり、妙にひきつけられないだろうか。

 生まれてすぐに母親を亡くし、ジャズマンだった父親は家にいることがほとんどなかったため、ひとりでいることになんの疑問も抱かずに成長したトニー。そんな彼がある女性を愛し、幸福であることの喜びを知ったのもつかの間、奥さんとなったその女性と父親までも亡くし、本当の孤独の意味を味わっていく。

 人気作家・村上春樹の同名短編小説を原作に、市川準監督がメガホンを取った「トニー滝谷」は、原作の空気感をそのままに、トニーの中に根付く“孤独”が、スクリーン上に静かに漂っているような映画だ。

 主演を務めたのはイッセー尾形。ライフワークとして国内外で展開しているひとり芝居では、さまざまな人格・人物を演じてみせる彼だが、今回、市川監督からは「あまり作りこまないで、普段のイッセーさんで行きましょう」という提案があったそう。
「市川監督には “寡黙で、ただいるだけでいろんなことを語る、絵画のような映画にしたい” という最初の大きなコンセプトがあったんです。そうすると、セットにしても演技にしても、意図的過ぎるものはこの映画には全部余計なものになってくるんですね。僕は芝居の時はいろいろ作ったりしますので、今回はそれがない分、頼りどころがないという感じで、僕にとっては初めての経験でした。だから現場に行く時はいつも新しい気持ちで、どうぞ新しい自分を見出してくださいと祈りに近い気持ちでね、監督さんに身も心も捧げながらやってました(笑)」
「宮沢りえさんの演技って素敵でしょ」

 「今でこそ、取材を受ける機会があってトニーのことを客観的に話せますけども、撮影中はそんな余裕はありませんでしたよ」と笑いながら話すイッセーだが、今回、トニー滝谷とその父、滝谷省三郎の二役をこなし、父親やトニーの青年時代、中年時代とそれぞれを演じ分けた、その別人のような変貌ぶりはさすがの一言。
 イッセーと同様、トニーと運命的な出会いを果たし奥さんとなる女性と、またその奥さんが亡くなった後にトニーと出会う女性という二役を、宮沢りえが自身の魅力をたっぷりと織り交ぜながらさらりと好演している。共演した宮沢の印象を、
「りえさんの芝居って素敵でしょ。この映画に大事なものをもう確信して持っているような気がして、ごくごく自然にやっててね。すごく明るい方で、現場が一気に明るくなるんですよ」と楽しそうに話したイッセー尾形。実際、撮影中はそんな宮沢のお芝居を見たいと、自分の撮影がない時でも現場に足を運んでいたそう。
「演じる難しさもありましたが
今回の撮影は僕にとっては宝ですね」


 過剰なものを抑えた今回の市川演出。そのこだわりは、必要最低限のものしか置かれないセットや、役者の数、その芝居やセリフにまで徹底している。そのため、逆に映像が多くを物語っていく。登場人物が言葉や表情で語らなくても、ひとつひとつのシーンにはその感情が凝縮されており、まさに絵画のような美しい印象を残す。
「撮影現場ではりえさんと即興芝居なんてやってね。自分自身なのか、役としてなのかわからないくらいの中で、お互いにぽんぽんとセリフが出てきて、とっても生き生きして、とっても楽しいんです。そんなことを延々やって、やり終えた後のふたりというのが映像になってるんです。今回は演じる難しさもありましたけども、なんと言っても新しい作品を作ろうという市川さんのピュアな精神と、また本当にピュアな宮沢さんと一緒に仕事ができた一昨年の夏というのは、僕にとっては宝ですね

 多くのファンを持つ村上作品だが、原作を読んだ人がぼんやりと思い浮かべたトニー滝谷の姿を、イッセー尾形がはっきりとした形にしてくれたのではないだろうか。映画を観終わると、彼が体現したトニー滝谷というひとりの孤独な男について、ふと思いを巡らせてしまう、そんな素敵な作品である。

(取材・文:編集部 相川祐希実)


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