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2005.7.20(水)更新
【合同インタビュー】世代を担う俊英・山下敦弘監督が
新たな側面を魅せた「リンダ リンダ リンダ」を語る!!
【合同インタビュー】世代を担う俊英・山下敦弘監督が新たな側面を魅せた「リンダ リンダ リンダ」を語る!!
これまでに使用した16mmフィルムではなく、更に粒子のクリアな35mmフィルムで撮影したことで、より鮮明な画質に仕上がった本作。完成後、自ら目にして「観え過ぎて、すごくクリアで照れ臭かった」と感想を述べた山下監督。しかし、それが作品に澄み切った感じを与えている
【合同インタビュー】世代を担う俊英・山下敦弘監督が新たな側面を魅せた「リンダ リンダ リンダ」を語る!!
この日はうだるような暑さが大阪を覆った。そこへ、何とも涼しげなシャツで現れた監督。これまでに何度かお話を伺う機会があったが、今回は以前よりちょっぴり余裕が含まれてきたような気がした。どんどん大監督へとステップを踏んできた表れか!?
【合同インタビュー】世代を担う俊英・山下敦弘監督が新たな側面を魅せた「リンダ リンダ リンダ」を語る!!
「すごい頭がいい」と山下監督が評したペ・ドゥナ(右端)は、日本語もほとんど分からないままで撮影に臨んだ。通訳を介して指示が伝えられたが、それ以上のことを伝えたい時などは、互いに困ったことも。特にペ・ドゥナはストレスを感じている時、「かなり鈍感な僕でもわかった」と山下監督。だが、そんな彼女は“山下流”の笑いを一身に背負い、見事に演じ切っている
【合同インタビュー】世代を担う俊英・山下敦弘監督が新たな側面を魅せた「リンダ リンダ リンダ」を語る!!
7月23日(土)〜シネセゾン渋谷、吉祥寺バウスシアター、8月6日(土)〜テアトル梅田ほか全国順次ロードショー
STAFF&CAST
監督・脚本:山下敦弘 脚本:向井康介、宮下和雅子 音楽:ジェームス・イハ 出演:ぺ・ドゥナ 前田亜季 香椎由宇 関根史織 三村恭代 湯川潮音 山崎優子 甲本雅裕 小出恵介 三浦誠己 近藤公園 ピエール瀧 山本浩司 山本剛史(2005/ビターズ・エンド・114分)
【プロフィール】
1976年8月29日、愛知県生まれ。95年に大阪芸術大学映像学科に入学。先輩である熊切和嘉監督に出会い、「鬼畜大宴会」('97)にスタッフとして参加する。99年に卒業制作として長編作「どんてん生活」を完成させ、2000年度のゆうばりファンタスティック映画祭にてオフシアター部門グランプリを受賞。その後、東京国際映画祭からの助成金を得て「ばかのハコ船」('02)を制作、つづく「リアリズムの宿」('03) で国内外で高い評価を得る。そして、これまでのジャンルとはかけ離れた近親相姦を扱った「くりいむレモン」('04)に取り組んだのをはじめ、新ジャンルに次々と挑戦している
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「手探りでやりながらも、
よくわからないままだった」


 これまで「どんてん生活」('99)、「ばかのハコ船」('02)、「リアリズムの宿」('03)と、いずれの作品もダメ男を主人公に、淡々とした中にゆるやかな笑いを添え、多くの人々を虜にしてきた山下敦弘監督。彼の作品を天気で表すなら、長編第1作目のタイトルにもある“曇天”模様がひたすらにつづくものばかりだった。そして、この夏全国に放たれるのは、文化祭でのライブに向けて、日本音楽史に残るパンク・バンド“ザ・ブルーハーツ”をコピーする女子高校生バンドの奮闘を描いた「リンダ リンダ リンダ」(7月23日(土)〜・シネセゾン渋谷ほか)。真っ青な空が似合う、清々しい空気が全編に漂った青春映画だ。間もなくの公開を控え、山下監督の合同インタビューが大阪で開かれた。

 本作の企画段階から、意見をがっつりと述べ参加していたが、監督をすることについては迷っていたそう。1ヶ月経過後、自分がすることになっているのかと不安になり周囲に相談したところ、「断る理由がないならやれば」とのアドバイスが。また、大学の先輩にあたる熊切和嘉監督にも助言を求め、「今の俺なら何でも撮るよ」という映画人としての“格好良さ”に感化され、「よし俺も」と決心したそうだ。

 決め兼ねたが、ようやく引き受けることにした本作の、これまでと大きく違う点は、主人公。自分自身の体験などを絡めてダメ男を描いてきた監督が、女の子を、しかも女子高校生を描くのだ。これまでのスタイルとは全く様が違うので、難航を極めたのかと思いきや、
 「主人公が女の子というところは手探りでやりながら、(何とかなるだろうと)自分たちも現場ではよくわからないままだっだ」という、ゆるゆるムードで撮影は進められたようだ。
「すごい不安だったから、ペ・ドゥナと
カラオケに行き、実際に聴いたんです」


 本作の中でも注目は、主演に抜擢された、日本でも人気上昇中の韓国女優ペ・ドゥナ。彼女は、韓国からの留学生という設定でバンドのボーカル役を務めている。この大胆な起用を持ち込んだのは、監督自身だ。彼女が主演したポン・ジュノ監督作の「ほえる犬は噛まない」('00)を観て、自然な演技に惹かれアイデアが浮かんだが、当初は「(出てもらうのは)無理だろう」と思っていた。だが、ポン・ジュノ監督とは以前に知り合う機会があって、「接点はなくはない」と思い立ち、
「監督と電話でしゃべっているときに『ペ・ドゥナと会わせて下さい』って冗談で聞いてみたら、『会わせてやる、会わせてやる』って言ってもらったりとタイミングも合って」という話があったそうだ。そんな幸運な巡り合わせもあり、ペ・ドゥナ出演に至ったという経緯を彼は淡々と語った。

 数多くいる女優の中から、直感でペ・ドゥナを選んだが、言葉の壁や、文化の違いなどに不安はなかったのかと問うと、
「同じアジアってことで、韓国だったら何となくいけるんじゃないかなって。でも、(韓国と日本は)すごい似てるんですけど、実は見てるものとか、感覚が微妙にずれている。その辺が(伝えるのに)すごく難しかった」と、コミュニケーションがもどかしいときもあったことを明らかにした。
 となると彼女が“ザ・ブルーハーツ”を、しかも日本語でシャウトするということには、
「すごい不安だった。なので出演交渉してすぐぐらいに韓国へ会いに行きました。そして、彼女の歌声を実際に聴くために、一緒にカラオケに行ったんです」。
 その時、彼女は“Kiroro”の曲を唄い、「日本人より上手いんじゃないかってぐらい、上手かった」という歌唱力で山下監督の心配を吹き飛ばしたのだ。
「音楽を聴こうとはしてこなかったけど、
ブルーハーツじゃなきゃダメなんだと実感した」


 作品の鍵を握る“ザ・ブルーハーツ”。彼らのメッセージ性の高い音楽は、テレビドラマ、CM音楽などで幾度となく使用されてきた。バンドの解散後から数年を経ても尚、多くの人々の耳に親しまれ、もはや“神格化”すらされている存在である。バンドが活躍していた時期に、「映画ばかり観て、音楽を聴こうとは思わなかった」小学生時代を過ごしていた山下監督も、撮影を終えて、
「この映画には、“ザ・ブルーハーツ”じゃなきゃダメなんだなって、すごく実感した」と、思わず唸ったほど。それほどまでに、彼らの音楽は幅広い世代に受け入れられている。
 そしてそれは、「リンダ リンダ リンダ」にも同じことが言える。この作品には、いつまでも変わらない、終わらない青春時代が詰まっている。それは、“ザ・ブルーハーツ”の音楽と同じく、この先も色褪せることなく、様々な世代へと受け継がれていくだろう。

(取材・文/MovieWalker編集部・北川友恵)


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