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2005.11.11(金)更新
【合同インタビュー 】
江戸川乱歩の小説を映画化したオムニバス「乱歩地獄」
怪奇・幻想・エロス渦巻く本作全てに出演した浅野忠信インタビュー
【合同インタビュー 】江戸川乱歩の小説を映画化したオムニバス「乱歩地獄」怪奇・幻想・エロス渦巻く本作全てに出演した浅野忠信インタビュー
「僕も原作の漫画ファンだった映画を観て、最悪つまんないと思ったことがあるけど、それを何年後かに観た時、いい映画だなと思った。乱歩ファンがこの映画を観たら、冗談じゃないよと思うかもしれませんけど、何年後かにまた観てもらえたら嬉しいですね」とメッセージをくれた浅野忠信。
【合同インタビュー 】江戸川乱歩の小説を映画化したオムニバス「乱歩地獄」怪奇・幻想・エロス渦巻く本作全てに出演した浅野忠信インタビュー
トッティ事件(本文参照)を振り返り苦笑する壇上の浅野。ここでは、現在撮影中の映画でチンギス・ハーンを演じていることなども語ってくれた。
【合同インタビュー 】江戸川乱歩の小説を映画化したオムニバス「乱歩地獄」怪奇・幻想・エロス渦巻く本作全てに出演した浅野忠信インタビュー
アイスランドでロケが行われた「火星の運河」。「監督の映像の力もありますが、自分の身体だけで表現できることもあるんだな」という意識が芽生えたという。しかし映し出された自分の身体を観て、「いや〜、ガリガリだなと思って(笑)。もっと食べなきゃと思った」そう。
【合同インタビュー 】江戸川乱歩の小説を映画化したオムニバス「乱歩地獄」怪奇・幻想・エロス渦巻く本作全てに出演した浅野忠信インタビュー
舞台は鎌倉。成宮寛貴演じる和鏡技師の周囲で起こる怪事件を幻想的に映し出す「鏡地獄」。初共演となった成宮の印象を「きちっと役作りをしてくるあたりは、ある意味僕と真逆な取り組み方だと思う。だからお互いフレッシュに見えるんですよね」と語った。
【合同インタビュー 】江戸川乱歩の小説を映画化したオムニバス「乱歩地獄」怪奇・幻想・エロス渦巻く本作全てに出演した浅野忠信インタビュー
戦争で手足を失い“芋虫”と化した夫に、性的虐待を加えて快楽に溺れる妻。そんな二人の異様な様を覗き見る男に松田隆平が扮した「芋虫」。松田とはプライベートでも仲良しだという。「彼はサービス精神がないですから。僕はサービス精神なくても無理しようとするからアレですけど、彼は無理しませんから(笑)。そこが魅力です」
【合同インタビュー 】江戸川乱歩の小説を映画化したオムニバス「乱歩地獄」怪奇・幻想・エロス渦巻く本作全てに出演した浅野忠信インタビュー
緒川たまき共演の「蟲」。憧れの女優に近づく男の異常ぶりが背筋をゾクッとさせる。
【浅野忠信 プロフィール】
1973年、横浜市生まれ。88年にテレビドラマ「3年B組金八先生」第3シリーズで俳優デビュー。「バタアシ金魚」('90/松岡錠司監督)で映画初主演を果たす。その後、97年に日本アカデミー賞話題賞、ヨコハマ映画祭主演男優賞、2001年に毎日映画コンクール男優主演賞を受賞し、人気実力共に俳優としての頭角を表す。2003年「地球で最後のふたり」(2004/ペンエーグ・ラッタナルアーン監督)でベネチア映画祭コントロコレンテ部門で主演男優賞を受賞し、海外からも注目を浴びる。2004年は初監督作「トーリ」を発表。俳優として活躍する一方で、CM、写真集、画集、音楽活動でも表現の場を求め、同世代から絶大な支持を得ている。主な作品に、「PiCNiC」('94/岩井俊二監督)、「地雷を踏んだらサヨウナラ」('99/五十嵐匠監督)、「御法度」('99/大島渚監督)、「五条霊戦記」(2000/石井聰亙監督)、「殺し屋1」(2001/三池崇史監督)、「アカルイミライ」(2003/黒沢清監督)、「座頭市」(2003/北野武監督)、「ヴィタール」(2004/塚本晋也監督)、「埋もれ木」(2005/小栗康平監督)など。待機作として、「ナイスの森」(2005/石井克人・三木俊一郎・伊志嶺一監督)、「東京ゾンビ」(2005/佐藤佐吉監督)、「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」(2005/青山真治監督)、「誰がために」(2005/日向寺太郎監督)、「花よりもなほ」(2006年予定/是枝裕和監督)がある。
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「名古屋のお客さんは思ったより元気だったので
安心しました」


 怪奇ミステリー作家・江戸川乱歩の小説「火星の運河」、「鏡地獄」、「芋虫」、「蟲」を、4人の監督(竹内スグル/実相寺昭雄/佐藤寿保/カネコアツシ)がそれぞれ映像化し、1本の作品としてまとめたオムニバス「乱歩地獄」。名古屋での公開が5日後に迫った11月7日、今池・国際劇場で行われたトーク&上映会に、4本全てに出演した浅野忠信が来場。人気実力共に日本映画界をリードする浅野にインタビューする貴重な機会を得た!

 インタビューの前に、爆笑裏話も飛び出した上映後のイベントの様子を少しだけレポート。限られた整理券をゲットしたファンたちが詰め掛けた。
「みんな(観客)が思ったより元気で安心しました。ありがとうございます。本当に、今日は。東京で何度か舞台挨拶をやった時、観る前の人は元気に『ワー!』って感じなんですけど、次に観終わった人の所へ『浅野さんどうぞ』って言われて入って行くと、『あぁ〜・・・(お疲れ気味)』みたいな(笑)。お前がこれやったのかみたいな空気になってて(笑)。」
 それもそのはず本作は、怪奇・幻想・エロス渦巻く妖しい乱歩小説独特の魅力をベースに、人間の歪んだ心の闇、究極の愛の形を圧倒的なビジュアルで映し出すのだ。

 オープニングの「火星の運河」と、最終話「蟲」は、主演を務めただけに「特に出来上がりが楽しみだったのはこの2本」と、後のインタビューで語った浅野。白夜のアイスランドでロケが行われた「火星〜」の裏話で会場は大いに盛り上がった。
「まるで月面みたいな所に1つだけ建つホテルに宿泊して、ある日撮影が終わってホテルに帰ろうと、トッティ(現地スタッフ)が運転する車に乗っていたら、えらい飛ばすんですよ。岩にガンガン乗り上げたせいでタイヤがパンクして、彼が何とかしてくれるはずが、『浅野何とかしてくれ』って。裸で散々仕事した後なのに、こんな大変なことはないですよ。しょうがないからガチャガチャ汗だくでやってたら、トッティが僕の肩を叩くんで、“あ、代わってくれるんだ”と思ってパッと見たら、髪結べってヘアゴム渡されて・・・」(会場爆笑)

 ちょっとヘビーな映画の内容に少々お疲れ顔のお客さんもトークに大満足。終了後のロビーで「髪が長くてもカッコイイ!」と、ワイルドな魅力に女性ファンはメロメロ状態。そんな観客の反応も本人に伝えたいと、いざインタビュー会場へと向かった。
「勉強になったことがたくさんあった」

 映像ディレクターとして活躍する竹内スグル監督の無声映画「火星の運河」では、荒野で錯乱する裸の男に。乱歩作品の映画化に実績のある実相寺昭雄監督&成宮寛貴主演の「鏡地獄」と、ピンク映画界の鬼才・佐藤寿保監督&松田龍平主演の衝撃エロス「芋虫」では、名探偵・明智小五郎に。そして、人気漫画家・カネコアツシ監督が初メガホンをとった「蟲」では、厭人病者の柾木愛造を怪演した。
「竹内さんみたいに、自分の必要とする映像に対しては妥協なく、多少残酷でもそれを突き通す強さは必要ですよね。実相寺監督は夜になると大体撮影は終わるんですよ。限られた時間で確実に必要な素材を撮るというスタイルは、ある種表現者として憧れますよね。それに『鏡地獄』は美術も素晴らしかった。本当に鏡だけで部屋を表現していて、その大胆さにびっくりしましたね。佐藤さんは穏やかな明るい感じで、おかげで僕もスタッフもリラックスできた。そうやって現場をいい状態にしてくれるのは魅力です。カネコさんは、やっぱり漫画をずっと書いてきた人で、羨ましかったですよね。漫画書いてきたから深みが出せるという。それって映画にとって、すっごい必要なことなんですよ。見えるとこだけじゃない、見えないところまで感じさせてくれる凄さっていうか。簡単に真似できるものではないですね」
 俳優以外にも絵や音楽の活動、そして映画監督としての才能も見せる浅野は、いち表現者としての視線で、監督それぞれの特徴を的確に掴んでいるように感じる。
「いつも原作は読まないですね」

 原作は言わずと知れた江戸川乱歩の小説。それを本人は読んでいないというから驚きだ。
「色んな方が明智小五郎を演じてきて、失礼な話ですけど、僕は乱歩さんの小説を読んできた経験がないので、今から頑張ってもかなわないと思いまして、この通り髪も長いですし、有り得ない明智小五郎でいいんじゃないかと。それに成宮君が素晴らしい俳優さんなんで、彼に任せておけば何とかなるだろうと」
 気持ちの切り替えが早い印象の浅野は、「かなり諦めはいい方(笑)」だとか。

 でもどうして原作を読まないのだろう。
「いつも原作は読まないですね。読まなきゃとは思うんですけど、三池崇史監督と仕事した時、原作と映画が全く違うものになってて、原作読む必要ないなって思ったんです。やっぱり撮影するのは台本の内容で、原作読んで深みにはまっていくよりは台本だけを見ます」

 原作を読む暇もないのではと思うほど多くの映画に顔を出す浅野は、今後も公開作が目白しだ。そんな浅野が出演してみたくなる映画とは?
「何か1つあればいいんです。例えば脚本じゃなくても、この監督とやりたいと思えば内容が多少分からなくてもやるし、共演する人が前からやりたいと思っていた人なら、それだけでやっちゃうこともある。『東京ゾンビ』(12月下旬公開予定)に関していえば、原作の漫画も大好きで、そして哀川翔さんと共演できるし、やらない手はないと思いました」

 ちょっと変わった映画がお好みかと思いきや、普段は「滅多に映画は観ないですけど、お客さんとして映画を観るのは、エンタテインメントの作品とか結構好きですよ」と浅野。出演作はそうじゃないものが多いような気も・・・。
「あくまで仕事上で好きな世界観というのは、僕が似合う似合わないっていうのもあると思うんですよ。どんな世界にも似合えばそれが一番いいですけど、例えば僕が『踊る大捜査線』の織田裕二さんの役をやれって言われたら、全く違うだろってことになっちゃう」
「ナチュラルだねって言われることを、
気付いたらすっごい気にしてた」


 浅野忠信といえば、淡々とした物腰で強烈な役柄から一般的な人までを演じこなす日本映画界きってのワン&オンリーの魅力の持ち主。そのナチュラルな魅力の源とは?
「みんながナチュラルですねって言ってくれることを、人一倍意識してきた人間だと思うんすよね、お芝居に関して。何もしてないなんて散々言ってきたけど、気付いたら、すっごい気にしてた。だからこそ自分は出来ていると思う」

 やっぱり努力してるんですね。
「いや、努力じゃない。嫌だから、嫌な状態になりたくないから、恐がっているというか。でも最近は、わざとらしいこともやりたいと思う自分がいたりするんです。すると街で色んな人見て、ゲッみたいな(笑)。こんなわざとらしいことも平気で言うんだと。僕は1回経験したり、目の当たりにしないと納得できないんですよ。実際言っている人がいると簡単に言えちゃったりするんですよね」

 インタビューも終わりに差し掛かり、時刻は夜の9時半。「髪が長くてもカッコイイ!」というファンの声も忘れず届けたい。
「本当ですか!? 嬉しいですね〜(笑)。できれば長い方がいいなって思ってきちゃって。ここまでくると切るのがもったいない」。
 疲れた素振りは微塵も見せず、終始和やかに答えてくれた浅野は、人との出会いを大切にする気さくな人だと実感。たっぷり話を伺った最後に、今後の夢を聞いてみた。
「穏やかに暮らしていければいいですけど(笑)。僕は臆病でタフさもないから、すぐに愚痴ってしまって、くじけそうになる。どんな辛い状況でも笑っていられる人になれればいいですね」
 そのままでも十分魅力的な浅野。是非、また名古屋に来てほしい!

(取材・文/MovieWalker編集部:山川良子)

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