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2006.3.1(水)更新
【合同インタビュー】
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ共演の「かもめ食堂」
フィンランドを舞台にした本作の見所を荻上直子監督が語る
【合同インタビュー】小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ共演の「かもめ食堂」フィンランドを舞台にした本作の見所を荻上直子監督が語る
インタビュー中も、映画の中のキャラクターのように自然体で楽しい雰囲気の3人
【合同インタビュー】小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ共演の「かもめ食堂」フィンランドを舞台にした本作の見所を荻上直子監督が語る
料理を作るシーンは苦労したとか。その分リアルでおいしそうな映像と音になった
【荻上直子プロフィール】
1972年、千葉県生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業後、1994年に渡米。南カリフォルニア大学大学院映画学科で映画製作を学び、2000年に帰国。自主製作映画「星ノくん・夢ノくん」が2001年度ぴあフィルム・フェスティバルで音楽賞を受賞。スカラシップ作品の権利を得て、長編劇場デビュー作「バーバー吉野」(2003)を発表。見事ベルリン映画祭児童映画部門特別賞を受賞した。ほかに「恋は五・七・五!」(2004)を監督。

STAFF&CAST
監督・脚本:荻上直子 原作:群ようこ 出演:小林聡美 片桐はいり もたいまさこ マルック・ペルトラ(2005/メディア・スーツ)102分

■3月11日(土)より、シネスイッチ銀座にて公開
>> 公式サイト

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「のんびりしたフィンランドの空気感に
個性的な3人が馴染んでいる様子を観てほしい」


 小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、何とも味のある個性派女優3人が共演する「かもめ食堂」が、3月11日(土)よりシネスイッチ銀座にて公開される。タイトル通り食堂が舞台とはいえ、何とそこは北欧の国、フィンランド。路地の一角に佇むかわいいカフェのような“かもめ食堂”が話の舞台となっている。
 物語は、食堂をきりもりする日本人女性サチエ(小林)が、日本人観光客ミドリ(片桐)と、空港で荷物を紛失し呆然とする日本人女性マサコ(もたい)と出会って、フィンランド人とほのぼのとした触れ合いを深めていく人間ドラマ。
 メガホンを取ったのは、ベルリン映画祭児童映画部門特別賞受賞作「バーバー吉野」(2003)の荻上直子監督だ。チャーミングな雰囲気で会見場を和ませつつ、現地スタッフとの共同作業で完成した本作を振り返った。

 荻上監督にとってはプロデューサーから提案された映画の舞台、フィンランドが、遠いようで近い国だったという。
「実は中学生の時、自分の家にフィンランド人がホームステイしていて、ノルウェーとか、スウェーデンとか言われてもピンとこなかったと思うんですけど、知らない国じゃないという気持ちがあって、しっくりきたんですよね」

 監督が特に絶賛していたのが、フィンランドに漂うゆったり感。日本との間にはロシアだけという、実は近い国(?)フィンランドは、豊かな自然に囲まれているせいか、街中でも走っている人が誰一人いないというほどのんびりしているんだとか。
「現場でもやっぱり走る人がいなくて。フィンランドでは、映画の現場で絶対走るなって言われるんです。『慌てることは何もないんだから走るな』と。ちょっとそれがイライラもしましたね(笑)。でも映画を改めて観てみると、彼らが絶対崩さなかったマイペース感が出ていて、それは日本人のスタッフがフィンランドに行って、日本人だけで作っても撮れなかったものだと思いました」
 仕事場でも“走らない”フィンランドの人たち。でもしっかりと映画の伝統を守り続け、良質な映画が誕生しているのも事実だ。2002年度カンヌ映画祭でグランプリを受賞した「過去のない男」(2002/アキ・カウリスマキ監督)は記憶に新しい。

 そんなフィンランドに日本の女優陣がすっかり溶け込んでいて全く違和感がない。おかげで本当に近い国に思えてくる。
「フィンランドならではの空気感に、個性的な3人が馴染んでいる様子を観て欲しいですね。3人はとってもいい雰囲気なんですが、アドリブは一切ないんです。一語一句台詞のまんまでした」
 その言葉が信じられないほどの自然さが、3人の演技の実力を証明している。
「小林聡美さんだからこの役が成り立った」

 本作は、小説『無印OL物語』などの“無印シリーズ”でおなじみの人気作家、群ようこが、初めて映画のために書き下ろした同名小説をもとにしている。原作が書かれる時点でキャスティングが決まっていたこともあり、脚本化は容易に思えたのだが。
「私は話を作るときに主人公の目的を考えてしまうんです。でも今回それが分からなくて群さんにお電話したら、『これはそんな話じゃない。この人たちは日本に(過去を)全部切り捨ててきた人たち。だからこそ、人を受け入れられるし、人に優しくできるんだ』って言われて、すごく納得したんですよね」

 フィンランドで日本の食堂をオープンし、“毎日まじめにやってそれでもダメなら、その時はその時、やめちゃいます。でも大丈夫!”そんな心意気を持った主人公・サチエと、彼女を中心として広がっていく交友の輪を丁寧に描き出した荻上監督。そんな本作でなくてはならない存在だったのが、サチエを演じた小林聡美だ。監督は、「小さい時からの憧れの人。やっぱりこの役は小林さんだったから成り立った」と振り返る。
「普段からお料理をされているんだろうという、本当に美しい手さばきでした。だから料理のシーンで困ったことはなかったですね。フィンランド語の台詞は事前にお勉強していただきましたけど、現場で拍手が起こるほど、フィンランド人もびっくりの完璧さでした。誰よりも先にフィンランド語を習得されて、いつの間にか現地の人とやりとりしていらっしゃいましたから。この人はいったい何者!?っていう感じで、語学の才能もお有りなんだと思いました」
 これまでの役柄から、どちらかというとサバサバしたイメージがある小林聡美。しかし今回は本来の美しさが際立ち、本当に魅力的だ。

   そんな小林をはじめ、片桐、もたいは、荻上監督にとって10歳以上も歳の離れた大先輩たち。日本とアメリカで映画製作を学び、「バーバー吉野」で華々しいデビューの後、順調にキャリアを重ねている荻上監督も、
「今回初めて自分が経験していない年齢の人間を描くということで、プロデューサーからも『うんと背伸びをしなきゃダメだよ』と言われていました。それに自分より年上で、キャリアもある女優さんたちだったので結構タジタジで・・・(笑)」
と本音をポロリ。しかし、「フィンランドで映画が撮れたんだから、もうどこでも映画がとれる!」と、この映画で得た自信も覗かせていた。

 フィンランドの街に、鮭の網焼き、豚の生姜焼き、トンカツという、日本人の大好きな香りが漂っている映画「かもめ食堂」。本作を楽しむためにもしっかりと腹ごしらえして映画館へ行こう。

(取材・文/MovieWalker編集部:山川良子)



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