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2006.6.20(火)更新
【独占インタビュー】
イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く
異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
【独占インタビュー】イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
インタビュー当日の那覇市は集中豪雨真っただ中。監督は電話で「雨がすごいからもうちょっとまってネ〜」と、待ち合わせ場所に30分遅れて登場。取材後、雨は止み公園で撮影
【独占インタビュー】イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
ガジュマルをバックにしたロイク監督。那覇市内でも林や墓地がどんどん宅地開発されている現状に、監督は危機感を持っている。「墓を壊すのはいけない」と監督
【独占インタビュー】イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
2月から住み始めた監督の仕事場兼自宅。古い木材工場の上の倉庫を改造したワンルーム。壁のペンキもすべて自分で塗ったそう。このコンピュータですべて編集している
【独占インタビュー】イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
監督が自ら作った、ポップな紅型(びんがた)アニメーション。この動物たちが映画のガイド役となっている。かなりとぼけたキャラクターは、監督の持ち味にもそっくり?
【独占インタビュー】イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
迫力のステージを見せるバンド「コンディショングリーン」のかっちゃん。その他、17人のアーティストが沖縄を語る
【独占インタビュー】イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
伝説のバンド「紫」のメンバーでもある宮永英一。伝統の音楽とロック、ポップスがミックスされている点も興味深い
【独占インタビュー】イタリア人映像作家が、沖縄の「チャンプルー文化」を描く異色映画「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」
「琉球ディスコ」のクラブイベントで踊る若者。テクノ、エレクトロニカ、ダブ、ヒップ・ホップなどのクラブカルチャーも紹介している点がユニーク
【ロイク・ストラーニ プロフィール】
1977年、イタリアのローマ生まれ。フランス人とイタリア人のハーフ。ロンドンのChelsea College of Art、Kingston Universityにてペインティングを学びながら映像とインスタレーションに関心を移し、サイレント映画製作や弦楽器による即興演奏などを行う。同時に映画学校にて映像製作の技術を学び、この時期にアニメーションの製作を始める。卒業後はテーマを食品に移し、この時期に製作されたCGアニメーション「Sushi from Space」('03)は、短編映像を集めたDVD「openArt Short Film Selection #1 Party」(¥2940)に収録。「Vegetable Thriller」('03)は政府支援を受け世界9か所で上映され、食の物理的・象徴的面を描いた「Non? grave」('05)はイタリアのCitta’ della Pieve芸術祭にて上映された。その後、沖縄の農業をテーマにした紅型のアニメ「現土地調査」('05)を経て本作にいたる。2006年2月より沖縄に在住。現在、空き缶集めのおじさんをテーマにした作品を企画中。

【STAFF&CAST】
監督・製作・編集:ロイク・ストラーニ 出演:石川真生 伊敷幸典 伊波勇道 今井照光 かっちゃん 儀間比呂志 喜屋武幸雄 金城久美子 高坂亘 杉本信夫 知花竜海 照屋忠敏 照屋林賢&上原知子 中江裕司 名嘉太一 名嘉睦稔 登川誠仁 真喜志好一 宮永英一 山城知佳子 琉球ディスコ(2005伊)49分
>> 公式サイト
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登川誠仁、中江裕司、琉球ディスコなど
ジャンルを超えたアーティストが次々出演


 映画の最初、沖縄の伝統的デザイン、紅型(びんがた)模様のユニークなアニメの動物たちが問いかける。
「あなたは、幻の沖縄と本当の沖縄、
 どっちに行きたい?」
「本当の沖縄はあの山の向こうにあるよ。
 行ってみよう!」
 東京・アップリンクX(2006年3月)と沖縄・桜坂劇場(同6月)で公開され、話題となったイタリア人のロイク・ストラーニ監督によるドキュメンタリー「沖縄・文化のゴーヤチャンプルーElectric Sanshin」は、刻々と変化しつつある沖縄の今の姿を映しながら、インタビューによって、作られたリゾート地としての沖縄ではない、本当の沖縄を浮き彫りにしていく。

 登場するのは「ナビィの恋」のオジィ役で注目された登川誠仁、照屋林賢といった大御所から、名嘉太一、知花竜海、琉球ディスコといった若手ミュージシャン、戦争を体験した画家、儀間比呂志や、版画家の名嘉睦稔、独自のスタンスで沖縄論・反基地論を展開する建築家の真喜志好一など17人のアーティストたち。彼らが沖縄の文化や、時代によって変わってしまった沖縄を語る。
 ローマからたったひとりで沖縄にやってきたロイク監督、どうしてこんなに魅力的な人選ができたのか?
「最初はもっとアンダーグラウンドなアーティストを取り上げようと思った。でも、最初に儀間比呂志さんに話を聞いたら、彼がすごくいい話をしたネ。そこから、どう編集するか、最初は自分の意見もなかったけど、決まっていったネ。いろんな人が、自分の友達だといって次々と紹介してくれて、自然に人が繋がっていった」

 儀間比呂志は映画の冒頭で語る。
「私の知っている沖縄はすべて消えてしまった」。
この衝撃的な発言に始まり、カメラは多彩な人たちの沖縄感を自由自在に記録していく。沖縄戦の記憶、アイデンティティをめぐる自問自答、沖縄がかかえる多くの社会問題、音楽を生み出す島の力、そして沖縄の未来について…。
「最初は通訳もいなかったから大変。よくわからないまま次の質問したり(笑)。バイクやバス、自転車で機材持って走り回ったヨ!」
本土が作り出した「チャンプルー文化」をも、
楽しんでしまえる沖縄の人の心の豊かさ


 そして監督自身の中で、映画の大きなテーマが明確に固まっていく。それは、イタリアにいた時から興味を持っていた沖縄の概念、「チャンプルー文化」だった。文化や物が、時代や地域を超えてミックスされていくという沖縄独特の文化。監督は取材を通してこの言葉の沖縄での本当の意味を知る。
「沖縄ブームが作り出した“チャンプルー文化”と、本来の沖縄が持っていた“チャンプルー文化”という言葉は分けて考えなければならない。沖縄には中国、台湾、そして日本とさまざまな国から影響されてきて、独自に作られた“チャンプルー文化”があった。でも、これはイタリア人のいじわるな考え方ね(笑)、沖縄が日本になって仕方なく日本の文化を取り入れて“チャンプルー文化”のコンセプトを作ったんだネ」
 つまり、今しきりに言われている沖縄の「チャンプルー文化」は、本土の人間によって、観光地として見た沖縄のイメージ用に作られた言葉である、と監督は言う。しかし、監督はさらに付け加える。
「そういった新しく作られた“チャンプルー文化”を、沖縄の人は、しかたがない…、と受け入れているんじゃなくて、楽しんでる。そこが沖縄のいいところ。楽しみながら自分の意志で“チャンプルー文化”を作っている。そういう意味でこの映画を観て欲しい。“価値観”の違いネ。コレ最近覚えた言葉(笑)」

 本当の沖縄、そして本当の「チャンプルー文化」はもうないのかも知れない。さらに、基地・環境・貧困など、さまざまな問題を抱えている沖縄の姿がインタビューの中から見えてくる。しかし、そんな中から、アーティストたちは、確実に新しい何かを生み出そうとしている。この映画は、そんな沖縄の人々の力強さを、イタリア人的なユーモアとエンタテインメント性でわかりやすく描くことに成功している。

 監督は2月から那覇に在住。今後の映像製作も沖縄で続けていくという。沖縄に住み始めて想像と違っていたことはなんだろうか。
「那覇市がこんなに大都会だとは! 住んでみてわかったです。どこに行ってもコンビニがあって、自動販売機があって…。若者たちはコンビニ中心で生活している。これでは日本の他の都市と変わらないネ。一番、がっかりしたのは国道をどこまで走っても、パチンコ店や電器店といった大型店が続いている。町と町の間の空間がない。イタリアでは町と町の間には緑の豊かな農業地帯が広がっている。町が面白くない建物で繋がってしまうのは、悲しいネ」

 現在、配給権は監督にあり、全国で公開する劇場を探している状態。なんとか、ひとりでも多くの人に見てもらえるよう、応援したいものである。

(取材・文/ライター・イラストレーター:温泉太郎)


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