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2006.8.1(火)更新
【独占インタビュー】
カンヌ映画祭でも高い評価を得た西川美和監督作「ゆれる」
主演の香川照之を魅了した三角関係と撮影現場
【独占インタビュー】カンヌ映画祭でも高い評価を得た西川美和監督作「ゆれる」主演の香川照之を魅了した三角関係と撮影現場
名古屋での舞台公演の最中に「ゆれる」の舞台挨拶に駆けつけた香川照之は、「今まで拘置所の中に入っていたので(笑)、カンヌ映画祭にも、東京の初日舞台挨拶にも行けなくて、ひとり寂しい思いをしておりました。本日は、こうしてみなさんに挨拶できて嬉しいです」と、声を弾ませながら挨拶していた
【独占インタビュー】カンヌ映画祭でも高い評価を得た西川美和監督作「ゆれる」主演の香川照之を魅了した三角関係と撮影現場
つり橋で起きた幼馴染の転落事故をきっかけに、激しく揺れ動きながら崩壊していく兄弟の関係がサスペンスフルに描かれる
【独占インタビュー】カンヌ映画祭でも高い評価を得た西川美和監督作「ゆれる」主演の香川照之を魅了した三角関係と撮影現場
「撮影中は、僕とオダギリくんで監督を取り合うような劇中さながらの三角関係が生まれていましたね」と明かした香川。西川美和監督は、「危ういつり橋の上で、危険なバランスを常に3人でとりあっているような撮影でした。少しでもズレると、何かが落っこちていきそうな感覚を味わいながらも、その作業が非常に楽しくていい時間だったんですよ」と話す
【独占インタビュー】カンヌ映画祭でも高い評価を得た西川美和監督作「ゆれる」主演の香川照之を魅了した三角関係と撮影現場
弟・猛を演じたのは、国内外から熱い視線を集めるオダギリジョー。「話をして、あの外見に惑わされちゃいけないと思いました。彼はイマドキの男でも繊細な男でもない、本物の男。いうならば、ヒクソン・グレイシーがそこに立っているといった感じ。おかげで、互いの本音をぶつけあうという、いい意味での俳優同士の力関係が引き出せたんじゃないかと思っています」
【独占インタビュー】カンヌ映画祭でも高い評価を得た西川美和監督作「ゆれる」主演の香川照之を魅了した三角関係と撮影現場
「僕もオダギリくんもひとりっこで、ともに両親が離婚しているという変な共通点があるんですけど、『ゆれる』を観るたびに、オダギリくんが本当の弟みたいに見えてきて、改めて貴重な体験をさせてもらったなあと思います」とは香川の言葉
【独占インタビュー】カンヌ映画祭でも高い評価を得た西川美和監督作「ゆれる」主演の香川照之を魅了した三角関係と撮影現場
「これは僕とオダギリくんの秘密なんですけど、実はラスト・シーンのカットのあとにもう1カット撮影しているんです。バスが走り去った後からのカットなんですが、とても時間がかかったので突然陽がくれている(笑)という。DVDには入ると思うので楽しみにしといて下さい」とは香川談
(C)2006「ゆれる」製作委員会

【香川照之 プロフィール】
1965年東京都生まれ。88年にテレビ・ドラマ「春日局」でデビュー。以後、映画、ドラマ、舞台など多数の作品に出演。カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いたチャン・ウェン監督作「鬼が来た!」(2000年)ではその演技も高く評価された。主な代表作に「犬、走る DOG RACE」(’98)、「独立少年合唱団」(2000)、「刑務所の中」「美しい夏キリシマ」(2002)、「故郷の香り」(2003)、「北の零年」(2004)があり、2006年は本作のほか「明日の記憶」「雪に願うこと」「嫌われ松子の一生」「花よりもなほ」(公開済)、声を担当したアニメ「ゲド戦記」(公開中)があり、「出口のない海」(9月16日公開予定)も待機中。また「キネマ旬報」誌でエッセイ「日本魅録」を連載中

【STAFF&CAST】
監督・原案・脚本:西川美和 企画:是枝裕和ほか 音楽・歌:カリフラワーズ 出演:オダギリジョー 香川照之 伊武雅刀 新井浩文 真木よう子 蟹江敬三 木村祐一 田口トモロヲ
(2006/シネカノン)119分
■7月8日(土)よりアミューズCQNほかにて全国ロードショー
>> 公式サイト

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>> 「ゆれる」西川美和監督インタビュー
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オダギリジョー&香川照之共演の話題作
「ゆれる」の撮影裏話


 東京での公開を皮切りに、好スタートを切っている話題作「ゆれる」。東海地区の公開2日目となる7月23日に、西川美和監督と香川照之が伏見ミリオン座での舞台挨拶に登壇するとの情報をキャッチ! そこで、つり橋で起きた幼馴染の転落事故をきっかけに変貌していく温厚な兄・稔を演じた香川照之にインタビューを敢行! 撮影中のエピソードから映画の魅力までたっぷりと語ってもらった。

「笑って波風が立っていないフリをして、いろんなことを抱えている人はたくさんいると思いますけど、稔というキャラクターが持つ、さじ加減だったり、出し方だったり、おさめ方だったりが、自分にピッタリと合っていたんですよ。どうしてこんなに世代の違う女性(西川美和監督)が、『俺のことを知っているんだろう?』という衝撃を脚本を読んだ時に受けたんです。あれは僕です! あぁ言うし、あぁいう皮肉の仕方をする。それを、できるだけ止めよう、止めようと思って生きてきたのが、僕の人生なんですけど。たがが外れるとあぁなりますね。すごく自分だなあと思いました」

 先の舞台挨拶でも西川美和監督が、「撮影中、シーンが終わるごとに、『もう2度とこのシーンを演じないのか』と、ひとりごとのようにおっしゃっていて・・・」と明かしていたが、そんな香川照之にとって一番印象深かったシーンが拘置所内で猛と面会するシーンなんだそう。
「『それが俺の知っているお前だよ猛』という弟のことを全否定するセリフがあるんです。今までそんなそぶりを少しも見せなかったのに、でもずっと思ってきたことを口にする。こういうセリフを言えるのはありがたいなと思いました。
 その後、猛(オダギリ)がイスを投げるんですよ。あのシーンは驚きました。彼がイスを投げつけてから(拘置所のしきりに板に)到達するまでの時間が、とても長く感じまして。本当にそこに流れている空気がはりさけたような感じをともなっていたんです。朝イチの段取りの段階でそれをやったんですけど、もちろん板が割れていたらその日1日中止になるということを、一見冷静で考えてそうなのに、全然考えていないんだなと思うと急に怖くなって。それが彼の本質的な力なんだなと思いましたね」
「僕にとっての演じることは役を通して
僕自身と繋がることなんです」


 様々なキャラクターを変化自在に演じ、作品に存在感を残し続ける香川にとって、演じることについて聞くと、「辛い作業ですねえ」と少々意外な答えが返ってきた。
「僕も、稔のような人間だから常に演じているんですよ。みんなから好かれたいという小さな幸せのためには、嘘も必要だし、本心を全部言うことはできない。だから、逆に役を演じる時は演じていないんですね。役を通して、僕の本心を引きずりだし、僕自身と繋がること。それが僕にとっての演じることなんです。恥ずかしい事だし、辛い事だし、挑戦だけどね」

 この話を聞いた後、無性に「ゆれる」をもう1度観たくなった。俳優、香川照之にとって本心をさらした場所であり、30代の総決算として挑んだ作品。そうか彼の本心はそこに永遠に切り刻まれるのだ。
「映画は、自分のいちばんいい部分を切りとってもらえるので、そういう意味では幸せですよね。『僕こんなにいい瞬間もあるんですよ』という部分を、ちゃんと冷凍で保存してくれるので腐らない(笑)」
「ずっと公開していて欲しい
かけがえのない映画になりました」


 最後も彼の言葉で締めくくろうと思う。
「あまりにもかけがえのない映画で、ずっと手元に置いておきたい。そう思って公開されるのが嫌だったんですけど、公開すると今度はずっと公開していて欲しいなと。ぜひ、映画を観終わった後に、西川美和監督の顔写真をよく見て下さい! まずは、彼女がこの映画を撮りあげたという、その不思議さに酔っていただく時間を作っていただきたいです」

(取材・文/ライター大西愛)

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