「前作はお祭り的だったので、 今回はリアル路線を目指しました」

テレビ・ドラマ、映画で熱狂的なファンを獲得してきた「木更津キャッツアイ」シリーズが「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」で、いよいよ完結。そこで、物語の生みの親である脚本家・宮藤官九郎に話を聞いた。 「『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』(2003)が、お祭り的な感じだったので、今回は割とリアルな感じを目指しました。ぶっさん(岡田准一)が登場するまでは、バンビ(櫻井翔)を中心に物語が展開していくんですけど。テレビ・ドラマ開始当初は、若くて可愛い感じだった櫻井くんも、今では、役者としてのキャリアを重ね成長している。だから、キャッツのメンバーもリアルに年を取ってもいいかなと。『木更津〜』独特の雰囲気を再現したいんだけど、本人たちもそろそろ違う所に居ることに気がつき始めている。そこにドラマがあるような気がして、大人になりかけた彼らの姿を描こうと思いました。まあ、3年後という設定は、単なる偶然だったんですけどね(笑)」 |
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「ぶっさんは既に2度生き返っているので さすがに3度目はビックリしないなと」

ぶっさんにちゃんと“バイバイ”が言いたいというスタッフの熱意から始まった今回の企画。必然的にぶっさんの“死”と向き合うことになる。
「キャッツ好きの人たちは、いろんなことを予想していると思うので、逆に直球を投げたら裏切れるかなと。正直なところ、ぶっさんは既にドラマと映画で2度生き返っているので、生き返ったとしてもビックリしないだろうし(笑)。僕自身もテレビ・ドラマ時には、(主人公の)死ぬシーンなんて、照れくさくて書けなかったんですけど、この3年間いろんな作品をやる中で心境の変化があって、自分の作風でなら恥ずかしくないんじゃないかという自信みたいなものが付いたんです」 |
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「僕の想像をスタッフが超えてくれる その気持ちに答えようと頑張りました」

自分で書いた脚本が映像になる醍醐味を味わった作品でもある。
「“野球場を作る”と、脚本に書いたものの本当に作るとは思っていなくて。何もない更地がみんなの手によって野球場になったのは、凄いなあと思いました。でも、無理して作った野球場は水はけが良くないらしく、雨が降ると本当に大変だったという様子をメイキングで見せてくれるんですよ。その時は、ホント申し訳ない気持ちになりました。でも、僕の想像をスタッフが超えるというのが、キャッツでは礼儀みたいになっていて、するとこちらも頑張らなくてはいけないと思いましたね」
そして、今だから明かせる裏話を教えてもらった。
「今だから言える・・・、別に今じゃなくても言える(笑)。テレビ・ドラマの7話を監督した時に、磯山プロデューサーから『7話撮りながら9話の脚本書いて下さい』と言われたんですよ。心の中では『無理じゃねえの』と思いつつも『はい』と(笑)。寝ないで書き上げて、7話も最後のカットを撮りあげた時に、『では明日までに最終話お願いします』と言われて。『無理に決まっているだろうが!』とあの時は殺意を覚えました(笑)。でも書き上がった脚本を、磯山さんと金子監督がすごく誉めてくれて。それを、早朝の7時から深夜の3時、4時までかけて撮影する。その対応の早さは、テレビ・ドラマの強みだと思いました」 |
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「脚本を書いている段階では、もっとあっさりしたモノを想像していましたが、完成した映画を観て、自分の中でベストだなあと思ったんですよ。『もう会えないんだなぁ』とお客さんみたいなことを思ったりもして。『木更津〜』は特殊で、実在する地名を使っているから、映画が終わっても、木更津に行けば彼らに会えるような気がする。実際には会えないですけどね(笑)」
と語ってくれた宮藤官九郎。脚本のト書きひとつとっても、想像を超えて面白くなっていると太鼓判を押す本作。泣いても、笑っても、これが最後。これは映画館で楽しみたい!
(取材・文/ライター大西愛) |
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