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2007.1.16(火)更新
【撮影現場レポート】
大林宣彦監督がセルフ・リメイクする「転校生」の撮影現場に潜入!
心が男の子と入れ替わるヒロインを演じた蓮佛美沙子も直撃
【撮影現場レポート】大林宣彦監督がセルフ・リメイクする「転校生」の撮影現場に潜入!心が男の子と入れ替わるヒロインを演じた蓮佛美沙子も直撃
通学中のシーン。左から大林監督、一夫役の森田直幸、一美役の蓮佛美沙子。呉美保監督のデビュー作「酒井家のしあわせ」で注目された森田直幸だが、当時この役がなかなか決まらず、悩んでいた大林監督が、以前自分の事務所「PSC」で働いていた呉監督の同作品を観て、「こんなところに一夫がいた」と起用したのだ
【撮影現場レポート】大林宣彦監督がセルフ・リメイクする「転校生」の撮影現場に潜入!心が男の子と入れ替わるヒロインを演じた蓮佛美沙子も直撃
蓮佛美沙子が、本作のテーマ曲「さよならの歌」を自らのピアノの弾き語りで歌っているのも話題。大林監督も「歌の上手さでいうと、僕が女優として育てた子の中では(山口)百恵以来かな。いや、百恵より上手いですよ」と絶賛
【撮影現場レポート】大林宣彦監督がセルフ・リメイクする「転校生」の撮影現場に潜入!心が男の子と入れ替わるヒロインを演じた蓮佛美沙子も直撃
25年前の「転校生」と同じように、今回も少数精鋭の撮影クルーで、監督曰く「プロが作ったインディーズ映画」を目指す。普通の商業映画では考えられない狭い場所での撮影も、手作りのミニ移動機材などで可能に。カメラを終始傾けたまま撮影したり、撮影スピードをシーンごとに肉眼では分からない程度に微妙に変化させたり、大林監督ならではの実験的な試みも随所で行われていて、それらが作品にどんな効果をもたらすのか? も楽しみだ。
STAFF&CAST
監督・脚本:大林宣彦 脚本:剣持亘 内藤忠司 石森史郎 南柱根 原作:山中恒「おれがあいつで、あいつがおれで」(角川文庫刊) ベーシック・アイディア:大林千茱萸 山内健嗣 出演:蓮佛美沙子 森田直幸 清水美砂 古手川祐子 田口トモロヲ 窪塚俊介 石田ひかり 根岸季衣 宍戸錠 山田辰夫 長門裕之(2007/角川ヘラルド映画)
■夏公開
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「長野と蓮佛美沙子の存在が今回は大きい。蓮佛くんと会わなかったらリメイクはなかった」
(大林宣彦監督)


 「戦国自衛隊」「日本沈没」「犬神家の一族」などなど、日本映画はここ数年リメイク作品のラッシュだが、そんな中、今度は大林宣彦監督が自身の出世作であり、“尾道三部作”の記念すべき第1作「転校生」のセルフ・リメイクに挑む「転校生 さよなら あなた」が製作に入っている。
 1982年に作られた前作の「転校生」は、中学生の男の子・一夫と女の子・一美の心と身体が入れ替わる斬新な設定で、今でも多くのファンから支持され続けている涙と笑いの傑作青春ファンタジー。その名作を大林監督はなぜ今リメイクするのか? 前作で圧倒的な存在感を見せた小林聡美を超える若手女優はいるのか? そのあたりを確かめるべく、11月某日撮影現場に向かった。

 だが、向かった先は尾道ではなく長野市。今回の舞台は、夏の尾道からまだ紅葉が残る秋から冬にかけての長野に変わっているのだ。そしてもうひとつ、前作では神社の長い階段を転がり落ちて一夫と一美は入れ替わったが、新作では長野の風土を活かして滝壺に一緒に落ちて入れ替わるなど、細かいディテールの変化も見られる。

 夕方に長野の現場に着くと、その日は市の中心にある名所中の名所、善光寺前の道路を使って撮影が行われていた。いつもの笑顔で迎えてくれた大林監督が
「去年(2005年)、長野の市民の有志の方々から『50年後の長野の市民に残す映画を作って欲しい』という依頼があってね」と、リメイクの経緯を話してくれる。
「そんな中で、たまたまこの(2006年の)秋に撮ろうとしていた映画を中止することになって。それで急遽“代わりにやれるものはないかね〜?”って話をしていたら、今回のプロデューサーが“『転校生』のリメイクをやりませんか?”って。それで僕が“尾道以外だったらね”ってふっと言ったのね」。
 そのプロデューサーは、2005年に角川ヘラルド映画、ソニーミュージックなどが開催した合同オーディション「ミス・フェニックス」でグランプリに輝いた注目の新人、蓮佛美沙子(れんぶつみさこ)の主演映画の企画を探していたのだ。こうして、大林監督が「信州の長野と蓮佛美沙子の存在がこの映画にとって大きい。蓮佛くんと出会わなかったら、この企画はなかった」と振り返る、新しい「転校生」は本格的に始動することになった。

 だが、「犬神家の一族」「バッテリー」(3月公開)に続いて映画出演はこれが僅か3作目で、演技経験の少ない蓮佛に、ハードルの高い『転校生』の一美役をこなすことなどできるのだろうか? それはやっぱり自分の目で見てみないことには信じられない。そう思いながら現場を見守っていると、ちょうど滝壺に落ちて入れ替わったばかりの蓮佛演じる“心は一夫の”一美が、“心が一美の”一夫を荷台に乗せ、自転車で走るシーンの撮影に。帽子を深々とかぶり、マントのような布を羽織り、すごいスピードで走ってくる蓮佛には男の子のような乱暴な迫力があって、
「あれは普通の女の子にはできませんよ、スタントマン以上です」という大林監督の言葉にも素直にうなずいてしまう。さらに、今回の一美の実家となる蕎麦屋の店先でのシーンでは、肩の力の抜けたその自然体の演技に目をみはる。
「映画は1秒間に24コマで動くでしょ。その1秒を24コマで刻むリズム感が彼女の肉体には自然に備わっていて、(映画の)フレームの中で見事に躍動できる。まだ15歳だけど、年齢に関係なく、小林聡美、原田知世、石田ひかりなどにも匹敵する大変な女優ですよ」
「演技をしていて、あっ、楽しいって思えることが、この作品で増えてきたような気がします」
(蓮佛美沙子)


 撮影の合間には、大林監督が手放しで惚れ込む逸材、蓮佛美沙子に直接話を訊く機会にも恵まれた。
――初主演のプレッシャーはないですか?
「3作目だからなのかもしれないですけど、主演だからとか、難しい役柄だからっていうことでの緊張はないですね。ただ、撮影の初日は、カメラの前に立ったら、すごい緊張しちゃって、あっ、ヤバい!って思ったんです。でも、通学路のシーンで、すごい景色が綺麗だったから、本番前に『わー、綺麗』って言ったら緊張感がなくなって。それで楽にやって大丈夫なんだって、なんとなく分かって。それからはヘンな緊張感はなく、演技ができています」
――身体は女の子のまま、心は男の子になっちゃう設定だけど、楽しんでやれてますか?
「クランク・インするまではどうなっちゃうんだ、自分?っていう不安もあったけど、1回男の子をやってみたら、あっ、楽しいなって思っちゃって(笑)。最近は結構男の子化してきていて、下着姿で帰ってきて、(女の子の身体になった)自分の身体を見てビックリするところも、現場の流れで抵抗なくできました」
――男の子っぽく見せるためにどんな工夫をしていますか?
「この話が決まってから、電車の中などで一生懸命男の子を観察して、あっ、股を開いて坐ってるなーとか、そういう研究をしました(笑)。あと、男の子のときはメイクで眉毛をすごく太くして、髪の毛も男の子みたいにボサボサにしています。そういう外見が整ってきたら、なんとなく変わってくるのかなと思ってるんですけどね。あと、最近はやってないんですけど、(一夫役の)森田(直幸)くんとお互いの台詞を入れ替えて読み合わせをして、森田くんが話すのを聞いて、あっ、男の子はこういう言い方なんだって盗んだりもしました」
――大林監督に言われたことで印象に残っている言葉は?
「私の演技に対する評価を“2”“2”“6”に分けて、どんな演技をしても『いいね、いいね』って言ってくださる方が“2”。逆にどんなにいい演技をしても『コイツはダメだ』って言う人が“2”。あとの“6”は、その時々で『今回はよかったね』って言ってくれる人たちを表していて、監督は『悪い方の“2”はどうすることもできないんだから、その“6”をいい方の“2”にプラスしていけるように頑張ろうね』って言ってくださって、とても感動しました」
――女優の仕事は楽しいですか?
「最近ですね。演技をしていて、あっ、楽しいって思えることが、この作品に入ってやっと増えてきたような気がします」

 実は、この新しい「転校生」では、現代の子供たちのあり方を反映し、25年前の「転校生」よりももっと悲痛なクライマックスを用意している。だが、そのシーンの撮影を前にした蓮佛は「そこはすごい大事なシーンだと思っています」と分かった上で、
「大事なところだと思うとヘンに緊張しちゃうので(笑)、特別意識はせず、それまでの気持ちの流れを考えて、いい意味で楽に演じられたなって思ってます」ときっぱり。そのしなやかな感性は、あどけない笑顔を残しつつ、大林組の現場で毎日のように多くのことを吸収し、輝きを増している。
 シナリオを読んだ僕は、それだけで、ラスト・シーンのあたりでは目頭が熱くなったけど、大林監督の想いを蓮佛美沙子が体現するこの新しい「転校生」は、間違いなく、前作に勝るとも劣らない傑作になるだろう。この夏の公開が楽しみだ。

(取材・文/イソガイマサト)



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