
これまで数々のドラマや映画、グラビアなどで活躍してきた人気No.1のセクシー女優の蒼井そら。そんな彼女が、本格的な演技に挑戦した「聴かれた女」がついに登場! 本作は、引っ越したばかりのアパートの隣室から物音が聴こえたのをきっかけに、隣室の盗聴を始める出版社勤めのリョウと、彼に“聴かれる”隣室の女・皐月との可笑しくも切なく、そしてある意味人間らしい奇妙な愛を、スリリングにリアルに描いたエロポップ・サスペンス。面白いのは、実際の皐月と、リョウが盗聴しながらイメージする妄想の皐月(演じているのも蒼井そらとは別の女優)が混在して映し出されること。しかも、ここにきて、なんと、本作の妄想パートを蒼井そら自身が演じたアナザー・バージョン「聴かれた女の見られた夜」(2月24日(土)にイベント上映)が存在することも発覚。観る者は主人公のリョウといつしか同化し、皐月を演じる蒼井そらの日常を覗き見、盗聴しているかのような甘美な幻覚に誘われることになるのだ。 そこで、ここでは、そんな不思議な世界を生きた蒼井そらと、脚本と監督を手がけた「ジャンクフード」「リムジンドライブ」などの異才・山本政志のスペシャル対談を敢行。「聴かれた女」の撮影秘話を語り合ってもらった。 |
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「妄想と現実が混在する上、“聴かれた女”側から撮った別バージョンもあるんだよ」 (山本政志監督)

――「聴かれた女」は、山本監督の知り合いの方の実体験が基になってるんですよね。 山本「そうそう、知り合いの奴っていうか、知り合いの盗聴してた奴ね(笑)」
蒼井「ハハハハハ」
山本「なんか、結構お洒落なところに引っ越して、見栄えはすごくいいところだったらしいんだけど、壁がすごく薄くって……ってところから始まり、それがだんだんエスカレートして盗聴道具を揃えたりしたんだよ。で、会ったらさー、睡眠不足でまぶたが腫れてて『全然眠れないし、大変ですよ、忙しくって』って言うんだけど、何が忙しいのか分かんないんだよね(笑)」
――蒼井そらさんは、今回の話を最初に聞いたときはどう思いました?
蒼井「台本を2冊いただいて、その2冊を同時に読んだらすごく面白くて、この画(え)の中に入ってみたいと思ったんです」
――どんなところが面白いと思ったんですか?
蒼井「最初はマネージャーから『2作品あるから読んどいて』って言われたものを、題名が似てるなって思いながら読んでて。なんか屈折してるけど面白いなと思いながら1冊を読み終えて、で、もう1冊読んだときに、同じ話が別の視点で書いてあることに気づいたんです」
山本「つまり、今回の作品は『聴かれた女』だけど、『聴かれた女の見られた夜』っていうのがもう1本あって、そっちは(盗聴されている)皐月の側から撮ってるんだよ。つまり、『聴かれた女』の前半では、(盗聴している)リョウが妄想する(隣室の)男と女が出てくるじゃん。で、会った瞬間から実際の皐月に変わっていくでしょ。でも、もう1本の方は皐月から始まって、リョウは後から出で来るパターンで、そっちのバージョンも撮ってるんだよ」
蒼井「一緒に同時進行で撮ったんですよね」
山本「本当は1本の中にまとめて入れたかったんだけど、(製作、配給の)トランスフォーマーも金の亡者だから(笑)、もう1本作った方が儲かりまっせーみたいな感じになったんだよね」
蒼井「ハハハハハ」
――資料には10日間で撮ったって書いてありますけど、2本まとめて10日間で?
山本「そうそうそう」
蒼井「だから、本当に大変で」
――ただでさえ、妄想のところと現実なところがあってゴチャゴチャしてるのに……。 山本「それになおかつ、(もう1本のバージョンの)リアル皐月が絡んできたりするから結構ややこしいんだよね」
蒼井「(別の女優が演じた)妄想の皐月を私がアフレコしてるじゃないですか? あれと同じ台詞の私バージョン(実際に蒼井そらが演じているバージョン)があるんです」
山本「つまり、『聴かれた女』の妄想の皐月と同じ芝居をリアル皐月にもう1回やらせてるんだよ。ただ、台詞の内容も間もすべて一緒なんだけど、動きはまるっきり違うんだよね。だから、演出してる方は面白いけど、役者は結構大変だったと思うわ」
蒼井「だから、両方観ると本当に面白いですよね」
山本「リアルな方は芝居がナチュラルだし、もう一方は妄想だから部屋の色も役者の動きもコテコテで。あれは面白いよ。同じ台詞なのにこんなに変わるんだと思ったね」
蒼井「それに、リョウが皐月から宅急便を受け取るシーンとかは、リアル・バージョンは皐月の視点だから、カメラが逆の位置から撮ってるんですよね」
山本「それをまとめてグチャグチャに撮ったから、(助監督の)チーフは混乱してたよね(笑)」 |
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「監督は何も言ってくれないから、この人、適当な人なのかな?って思ってました(笑)」 (蒼井そら)

――ところで、蒼井そらさんは、本格的な演技っていうのは初めてに近かったんですよね。
蒼井「そうですね。監督から『型にハメたくない』ってすごく言われてたんですけど、ずっと型にハマってやってきたから、すごく難しくて。えっ、これだと蒼井そら、そのままじゃない? とか、こんな喋り口調でいいのかな? とか、ずっとこれでいいのかな?って思いながらやってました」
――監督からは何か言われました?
蒼井「なんにも言ってくれないんです。それでいいよ、それでいいよみたいな感じで(笑)」
山本「俺、内向的で目も合わせられないから(笑)。目が合ったら殴られるかな? と思って、怯えながらやってたからね」
蒼井「ヒャヒャヒャヒャ(爆笑)」
山本「正直なところ、最初に会ったときは芝居ができるかどうか不安だったんだよ。でもね、撮影前に何日間かリハーサルをやったんだけど、それですぐ、あっ全然大丈夫だなって。大丈夫以上に、あっ、これは上手いやと思ったから、いつも通りのペースで。しかも、いつも通りのペースの上、中、下の上クラスでやったんだよ。上クラスっていうのは、台本を読ませないってヤツなんだけどさ(笑)」
蒼井「台本読ませてくれなかったんですよ! 最初に台本をもらったときに読んだだけで、リハーサルで台詞を覚えようと思っていたんです。でも、台詞を覚えない段階で演出してもらって、作り上げていく意気込みでリハーサルに行ったら、台本を取り上げられちゃったんですよ。それで、どうしよう? どうしよう? ってなったんだけど、監督は『できる、できる』って普通に言ってるから、逆にどうしていいか分からなくて。最初っから最後まで、ずっとそんなでした(笑)」
――監督と衝突したこともあったみたいですね。
蒼井「なんか、ぶつかったんですよね」
山本「なんかでぶつかったんだよ。でも、何でだっけ? さっき思い出したんだけど、また忘れちゃったよ(笑)」
蒼井「自分がどういうふうに映って、どういう芝居になってるのか分からないし、さっきのシーンといまのシーンが繋がらないとか、そういうことをワーと思ってパンクしたときがあったんですよ。でも、監督に話を聞いても『いいの、いいの、今ので自然だから何も考えなくていいよ』って言うから、『もう、言ってくれないと分かんないです!』みたいな感じで、(他人事のように)ぶつかったみたいですね」
山本「でも、繋がりを考えるのは、俺の仕事だからね」
――だけど、蒼井さんは言ってもらいたいタイプなんですよね。
蒼井「そうですね。言われて理解して、あっ、こういうことだろうな?って思いながら、やりたいなって思ってたんです。でも、何も言ってくれないから、この人、適当な人なのかな? と思って(笑)。それは、いい意味で間違ってないと思いますね」
山本「まぁ、宇宙的な愛で包んでいるっていうことだよね」
蒼井「嘘ばっかり(笑)。それで、自分で台詞を言うような口調になっちゃいけないなとか、今、こうやって普通に喋ってる感じで、声を張らないようにとか、いろいろ考えてやってました」 |
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「実際の蒼井そらが盗聴されてるって、観てる人は錯覚しちゃうかもしれないですね」(蒼井そら)

――じゃあ、実際の蒼井そらさんと重なるところも多い?
蒼井「そうですね。いろんな癖が出ていて、恥ずかしいです(笑)。例えば(生きた)エビがひっくり帰ったときの『あ〜どうしよう? どうしよう?』ってキャキャー言ってるところとかなんてそのままだし、喫茶店でケーキ食べながらの喋り方とか、すべて蒼井そらです(きっぱり)」
――それはファンにとっては嬉しいですね。
蒼井「だけど、それだと、皐月じゃなくて、蒼井そら自身が盗聴される事件に巻き込まれちゃったのかな?って思われるかもしれないですよね」
山本「いや、そうなるのが、いちばんいいんだけどね。それがいちばんやりたかったことだから。だって、あの設定は蒼井そらじゃ絶対にあり得ないことだからね。あそこに存在しているのは、蒼井そらのフィルターを通した皐月で、その2人が結びついちゃってるんだよ」
――観る人の中で、さらに妄想が増幅していく感じですよね。
山本「そうなれば、いいし。どっちが本当だか分からないみたいな、そういうのが面白いよね」
――カラミのシーンでは、蒼井そらさんが演出したところもあるみたいですね?
山本「1個のシーンは完璧に演出してもらってるよ。いちばん、いいカラミだったんじゃないかな(笑)」
蒼井「ハハハハ。なんか、カラミに入る前に『頑張ってね。頼むから、監督』って、いきなり監督って言われ始めて、大丈夫かな?って思ってたんですよ」
山本「いや、前日から言ってたよ。でも、俺がまた出まかせを言ってると思ってたんだよな」
蒼井「冗談言ってるんだろうなって思ってたら、実際現場に入ったら『よろしく』って。だから『本当にやるんですか?』って聞いたんですけど、やるってなったら『とことんやりますよ』って言って、自由に『こんな感じで、こんなのがいいんじゃないですか?』みたいにやってましたね」
――具体的にはどのシーンですか?
蒼井「聴かれた女の見られた夜」の方の最初のカラミで、「聴かれた女」では、妄想の皐月がやってるシーンをリアル皐月バージョンにしたシーンです」
山本「一番いいカラミになったんじゃないかなあ」
――結構、長廻しのシーンも多いですよね?
蒼井「私、会話があるシーンで、あんなに長いのは初めてだったんですよ。だから、チョー怖かったです」
山本「でも、エビフライのところとか素晴らしいでしょ」
蒼井「あそこはもう、冷や汗もので(笑)。あそこは、リハと本番を何回かやってますね。やっぱり何回もやると形にハマってくるじゃないですか? それで安心してやっちゃうと、『あっ、今、ちょっと自然じゃなくなっちゃったから、もう1回』とか。その度に、あ〜そっかって感じでやってました」
――アドリブとかもあったんですか?
蒼井「リハで動きをアドレブでやって、それが何回もやるうちにアドリブじゃなくなる感じですね」
――クライマックスのバイオレンス・シーンも迫真の演技でした。
蒼井「あれ怖かった、本当に。リアルでコケてるし、リアルで擦り剥いたし、本当にぶつけて痛いと思いながら、あ〜ってなってるところが逆によかったと思いますね」
―― 一緒に仕事をしていて、山本監督ってスゴい!って思うことはありました?
蒼井「監督は現場で何も言ってくれないし、(映ったものの)確認も特にしてなかったので、やってるときは、これが映像になったらどうなるんだろう?って、すごく不安だったんですよ。でも、作品としてできあがったものを観た時に、わー、監督ってスゴいって思いましたね」
山本「天才ってそんなもんなんだよね」
蒼井「今の却下しようかな(笑)。でも、あのときに演出されなかったことがすごくよかったのかなって思いました。でも実は、それが監督の演出だったんですよね」 |
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「隣室から声が聴こえてきたら、誰だって聴くよね。興味がないって言ったら嘘だよ」(山本監督)

――ところで、蒼井さんは、リョウのような盗聴を趣味にしているような男性をどう思います?
蒼井「やっぱり聴かれたくない音っていっぱいあるし、たぶん男の人より女の人の方があるだろうな?って思うんですね。だから、そういうのを聴かれたらちょっと怖いですけど、リョウと皐月のそれまでの関係性がある上で、ああいうクライマックスになるのは分かるかな(※どうなるのか? は、自分の目で確かめてください)。でも、(付き合っている相手に)後から(盗聴の趣味を)カミング・アウトされるとちょっと怖いかもしれないですね」
山本「だけど、例えばホテルとかに泊まっていて、隣からそれらしい声が聴こえてきたら、聴こうって思うよね。オッサンの声だったら、絶対に耳をあてて聴こうとは思わないけど(笑)、みんなそうじゃない! 興味ないって言ったら嘘だと思うけどな」
蒼井「音が聴こえてきた時に、耳を塞ぐことは絶対にないと思うんですよ。盗聴って怖いとは思うけど、みんな絶対に聴きたいって願望はあるような気がするんですね。最初は一部の人たちだけがやってる気持ちの悪いことって感じだったけど、絶対にみんな興味があると思うし、隣の音が聴こえてきて盗聴を始めてしまうリョウに共感を覚えるところもあるような気がします」
――蒼井さんは、この作品で演技にハマりました?
蒼井「いや、映像を観たらちょっと恥ずかしくて。素の自分がそこにいるってリアルに思ったんですよ。私、こんな芝居するんだ、わ〜怖いみたいな、初めて自分の声をテープで聴いた時みたいな違和感がありました(笑)」
山本「ってことは、これを観た人たちは、皐月じゃなく、そのままそらに惚れて、ストーカー花盛りになるかもしれないよな」
蒼井「危ない!(笑)盗聴する人だらけになって、『聴かれてもいい女』になっちゃいますよ(笑)」
(取材・文/イソガイマサト) |