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2007.2.21(水)更新
【動画・合同インタビュー】
黒沢清監督、役所広司、小西真奈美、伊原剛志が語る
戦慄の“幽霊”映画「叫(さけび)」の全貌
【動画・合同インタビュー】黒沢清監督、役所広司、小西真奈美、伊原剛志が語る戦慄の“幽霊”映画「叫(さけび)」の全貌
黒沢清監督(左)は幽霊の衣裳について「白は貞子のイメージが定着してるし、黒は前作『LOFTロフト』で、緑は『降霊』でやってる。黄色の服の幽霊プロデューサーの一瀬(隆重)さんが『仄暗い水の底から』でやってしまったというので、今回は目立つ赤にしたんです」と語った。役所広司(右)は「黒沢監督の脚本には、いつも宿題がたくさんあって、僕はそれにどうやって立ち向かえばいいんだろう?って考えながら、自分なりにひとりの人間を作り上げていく楽しみがあるんですよね」と語った
【動画・合同インタビュー】黒沢清監督、役所広司、小西真奈美、伊原剛志が語る戦慄の“幽霊”映画「叫(さけび)」の全貌
小西真奈美(左)は「最後のシーンは、私も台本を読んでどうしたらいいのかな?って思ったんですけど、自分なりに考えて、ある種切ない想いを込めて演じました。監督にOKをいただいたので、それでよかったと思っています」と語った。また、伊原剛志(右)は「怖い映画を撮っていたんですけど、現場はすごく楽しい雰囲気だったし、撮影中に怖い想いをすることはなかったですね。逆に結構現場が寒かっただけに、家に帰ったときの温かさが身に沁みました」と言っていた
【動画・合同インタビュー】黒沢清監督、役所広司、小西真奈美、伊原剛志が語る戦慄の“幽霊”映画「叫(さけび)」の全貌
役所広司は、東京湾岸で連続殺人事件の真相を追ううちに、赤い服を着た女性の霊に取り憑かれる刑事・吉岡役。この赤い服の幽霊役・葉月里緒奈が強烈な印象を残す!
【動画・合同インタビュー】黒沢清監督、役所広司、小西真奈美、伊原剛志が語る戦慄の“幽霊”映画「叫(さけび)」の全貌
苦悩する吉岡の恋人役に小西真奈美。その大人びた存在感は、年の差などの違和感を全く感じさせない
【動画・合同インタビュー】黒沢清監督、役所広司、小西真奈美、伊原剛志が語る戦慄の“幽霊”映画「叫(さけび)」の全貌
吉岡の同僚・宮地に伊原剛志。彼も次第に吉岡に対して疑惑を抱きはじめる
【動画・合同インタビュー】黒沢清監督、役所広司、小西真奈美、伊原剛志が語る戦慄の“幽霊”映画「叫(さけび)」の全貌
■「叫(さけび)」は2月24日(土)よりシネセゾン渋谷、新宿武蔵野館、お台場シネマメディアージュほかにて全国ロードショー
(C)2006「叫」製作委員会
【黒沢清監督 プロフィール】
1955年、兵庫県生まれ。立教大学在学中より自主映画を製作。大学卒業後、「神田川淫乱戦争」(’83)で劇場映画監督デビュー。「CURE キュア」(’97)、「ニンゲン合格」(’98) 、「カリスマ」(’99)、「大いなる幻影」(’99)といった監督作は、世界各国の映画祭に招かれ、「回路」(2001)ではカンヌ映画祭批評家連盟賞を受賞した。その後も「アカルイミライ」(2003)、「ドッペルゲンガー」(2003)、オムニバス映画「楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家」(2005)、「LOFT ロフト」(2006)などの話題作を送り出している

【役所広司 プロフィール】
1956年長崎県生まれ。1996年、「Shall we ダンス?」「眠る男」「シャブ極道」で14の映画賞で主演男優賞を総ナメにする。その後も、「うなぎ」(’97)、「どら平太」(2000)、「ユリイカ」(2000)、「突入せよ!『あさま山荘』事件」(02)などの話題作に主演。黒沢清監督作は、「CURE キュア」(’97)、「ニンゲン合格」(’99)、「カリスマ」(2000)、「ドッペルゲンガー」(2003)などで多数タッグを組んできた。また「SAYURI」(2005)でのハリウッド進出に続き「バベル」(GW公開)にも出演、国際的な俳優として活躍中。2008年には、日本・カナダ・イタリア合作映画「SILK(シルク)」が公開予定

【小西真奈美 プロフィール】
1978年、鹿児島県生まれ。舞台「寝取られ宗介」(’98)で女優デビュー。以来、つかこうへいの作品の舞台に次々と出演し、透明感あふれる演技が高く評価される。2002年、「阿弥陀堂だより」で映画デビューし、ブルーリボン新人賞と日本アデミー賞新人女優賞を受賞。その後も「踊る大捜査線 THE MOVIE2」(2003)、「恋愛小説」(2004)、「いぬのえいが」(2005)、「UDON」(2006)、「天使の卵」(2006)などに出演。TVドラマでも活躍中で、現在は主演ドラマ「きらきら研修医」(TBS系木曜22時)が放映中

【伊原剛志 プロフィール】
1963年、福岡県生まれ。1983年、舞台「真夜中のパーティー」で俳優デビュー。その後は「Shuffle シャッフル」(2005・後藤ひろひと演出)に主演するなど多くの舞台で活躍しながら、多数のテレビドラマにも出演し、幅広い役柄で活躍中。また、映画では「半落ち」(2004・佐々部清監督)などに出演、2006年には「硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督)にてハリウッドデビューを果たす。その後も、テレビドラマ・映画・舞台と、様々なジャンルで演技の場を広げている。今後の待機作として、「ヒート アイランド」(片山修監督・2007年秋公開予定)などが控えている

【黒沢清監督 プロフィール】
1955年、兵庫県生まれ。立教大学在学中より自主映画を製作。大学卒業後、「神田川淫乱戦争」(’83)で劇場映画監督デビュー。「CURE キュア」(’97)、「ニンゲン合格」(’98) 、「カリスマ」(’99)、「大いなる幻影」(’99)といった監督作は、世界各国の映画祭に招かれ、「回路」(2000)ではカンヌ映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した。その後も「アカルイミライ」(2003)、「ドッペルゲンガー」(2003)、オムニバス映画「楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家」(2005)、「LOFT ロフト」(2006)などの話題作を送り出している



STAFF&CAST
プロデューサー:一瀬隆重 監督:黒沢清 出演:役所広司 小西真奈美 伊原剛志 葉月里緒奈 オダギリジョー 加瀬亮 平山広行 奥貫薫 中村育二 野村宏伸(2006/ザナドゥー=エイベックス・エンタテインメント=ファントム・フィルム)104分
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「幽霊とお芝居するのが、今までの黒沢作品との大きな違いでしたね(笑)」(役所広司)

 “世界のクロサワ”こと黒沢清監督が、ミイラをモチーフにした「LOFT ロフト」(2006)に続いて、今度は本格的なゴースト・スートーリー「叫(さけび)」を完成。公開に先駆けて、監督をはじめ、主演の役所広司、共演の小西真奈美、伊原剛志に製作秘話や撮影中の裏話をたっぷりと聞いてみた。

 映画は東京の湾岸エリアで残虐な連続殺人事件が起こる展開だが、黒沢監督は、舞台となる湾岸エリアこそ本作を創造するきっかけだったと振り返る。
「これまでにも水が出てくる映画はいくつかありましたが、今回は単なる背景としての水ではなく、多くの人が忘れている、東京湾の埋め立てられた海が復活してくるというイメージが最初からあって。ですから、広々とした海のシーンはほとんどないんですけど、逆にひっそりと溜まったような水、ちょっとした水たまりが画面のあちこちにある映画にしてみました」

 黒沢監督はそこからさらにイメージを膨らませて、埋め立てられた“東京湾”のように、忘れられたり、捨てられたり、“なし”にされた人々の愛憎物語を紡ぎ出し、女性の幽霊が絡む謎解き風のミステリーとして仕上げた。主演は、これが黒沢作品7本目となる役所広司。連続殺人事件の真相を追ううちに、赤い服を着た女性の霊に取り憑かれる刑事の吉岡に扮している。
「黒沢さんの映画の台本はいつもありきたりではなくて、今度はどんな人間で、どんな事件に遭って、どんな怪物になっていくのか?っていう楽しみがありますけど、今回は幽霊とお芝居するのが今までとの大きな違いでしたね(笑)。とはいえ、これまでの黒沢さんの映画同様、人間がみんな持ってる無意識な部分をズルズルと引き出されていくようなイヤ〜な怖さがあって、そういう意味では、黒沢映画は健在だったような気がします」

 そんな役所に対して、黒沢作品に初めて参加した伊原と小西がどんな感想を持ったのか気になるところ。すると、吉岡の同僚の刑事・宮地に扮した伊原は
「黒沢さんの映画と聞いて、脚本を読む前にやりたいって言いました」ときっぱり。
「黒沢さんの現場は、黒沢さんの撮りたい画やシーンが明確に決まっていて、黒沢さんはだいたいの動きだけを仰るんですけど、その動きだけで、そのシーンの登場人物の役割や台詞の意味をつかまえることができるんです。それは毎回、どんなシーンでもそうでした。それと、黒沢さんはのんびりしているように見えて、わりとせっかちで(笑)、すぐに本番に行きたがるんです。でも、僕もすぐに本番に行きたいタイプだから、そのテンポが結構好きでしたね」

 それに続いて、吉岡の歳の離れた恋人・春江を演じた小西も「私は正直、怖い映画は得意じゃないんですけれど、黒沢監督の作品は観させていただいてまして、ぜひお仕事をさせていただきたいと思ってました」と出演オファーがあったときの喜びを噛み締める。
「黒沢さんと役所さんがずっと一緒にやってこられていたのも存知上げていましたので、最初は緊張しました。でも、役所さんがとても温かく接してくださいまして、待ち時間もいつも何気ない日常会話をさせていただきました。そこに監督もポンと入ってきてくださり和やかに話してくださったので、もともと緊張するタイプなのに、余計な肩の力とかプレッシャーとか、振り払わなきゃいけないものもなく、スーッとカメラの前に立つことができたんです。ですから、現場に行くのはとても楽しかったですね」
   それを受けて、役所が続ける。「こういうお化けが出てきたりする映画の現場って楽しいんですよ。笑いが絶えないんですよね(笑)」
「人間が死んで何かになるとしたら、それってつまり幽霊に近いものですよね」(黒沢清監督)

 この日は残念ながら、赤い服を着た幽霊を怪演し、すでに海外の映画祭などで話題を集めた葉月里緒奈は欠席だったが、あの美しくも圧倒的に怖い幽霊はいったいどうやってできあがったのだろう? この基本的だが、絶対誰もが聞かずにはいられない質問にはもちろん黒沢監督が答えてくれた。 
「今回は過去に生きていた人間として幽霊を扱い、従来のホラー映画のような、ただ怖いといったものにはしないつもりで撮っていました。それで葉月さんにお願いしたんですが、ラッシュ観たときに、それにしてもやっぱり怖いなと思いましたね。それはなぜだか分かりませんが、どこか葉月さんなりの計算があったのか、まぁ現場の勢いもあったんでしょう。ある目つきが怖い。怖い目つきをしてくれとはひと言も言ってないし、葉月さんもたそうしようとしたわけではないんでしょうが、死の直前のある感情に取り憑かれた人間を一所懸命演じようとすると、あんな怖い目になるんでしょうね。それを改めて画面で観て、葉月さんに幽霊役をお願いしてよかったなと思いました」

 実際に“幽霊”と共演した役所はどう思ったのだろう?
「怖かったですね(笑)。でも、考えてみると、男の幽霊って昔からそんなに怖いものはないですね。暴れん坊の幽霊がいるのかもしれないけど、無表情で立ってるだけで怖いのは、やっぱり女の幽霊ですよね」

 こういったやりとりの後に必ず出るのが「監督は幽霊を見たことはありますか?」といった質問だが、これを「ないですね、残念ながら」とサラリと流した黒沢監督は、続く「幽霊の存在を信じていますか?」という質問には興味深いコメントを残してくれた。
「それこそが今回のテーマでもあるんですが、幽霊って架空の存在とはちょっと違うと思うんですよ。つまり、いるか、いないかっていう以前に、死んだ人ですから、かつては間違いなくいたわけですよね。で、死んでどうなるか?っていうのは全然分からないですし、死んで何もなくなってしまうという考えもあるでしょう。ただ、人間が死んで何かになる。どうなるか分かりませんけど、どうにかなったとしたら、それってつまり幽霊に近いですよね。だから、僕らが映像で表現しているようなものなのかどうかは分かりませんけど、みんないつか死ぬわけですし、そんなに幽霊が架空の突飛な、あり得ないものとは思えないんですよね」

 それにしても、映画を観終わってもずっと残るのがタイトルにもなっている幽霊の叫び声だ。この世のものとは思えない、あの哀しげで身体にまとわりつくような声はいったいどうやってできあがったのか? これに関しても「叫び声は大変だったんですよ」と黒沢監督が、言葉とは裏腹に笑顔で答えてくれる。
「葉月さんに実際にいろいろ叫んでもらって、それを加工して、全然違う声をくっつけたり、最初の葉月さんの叫びにまた戻したりして、大変でした。それに、最初から要求が矛盾していることが、やりながらだんだん分かってきたんです。普通、叫ぶっていうと、怖い何かがあって叫ぶわけですよね。でも、今回はむしろ、相手に影響を与えるような叫び声を自分から発するっていうイメージが頭にあったんですね。でも、言うが易しで、受身の叫びはたぶん反応としてできるんですけど、相手に突きつける叫びって、言ってはみたものの非常に難しい。でも、思いついてしまったので、なんとかやってみようと思って。結構苦労はしましたけど、結局、ご本人が素直に、なんだかんだ悩みながらも出してもらった声(を少しだけ加工したもの)がいちばんしっくりきたというのが最終的なところでしたね」

 果たして、その“叫び”は何を訴えているのか? ホラー映画の枠組みを越えて、想像を絶する恐怖と哀しみを観る者に植えつける「叫(さけび)」 黒沢清監督、渾身の傑作をぜひスクリーンで目撃して欲しい!

(取材・文/イソガイマサト)



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