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2007.3.3(土)更新
【単独インタビュー】
2006年ベネチア映画祭で話題となったミステリー「叫(さけび)」
主演の役所広司が語る黒沢清監督との素敵な関係とは?
【単独インタビュー】2006年ベネチア映画祭で話題となったミステリー「叫(さけび)」主演の役所広司が語る黒沢清監督との素敵な関係とは?
「お化けと言っても、夜道を歩いている時に突然出てくるようなモノではないので、ホラー映画が苦手な方にもぜひ観ていただきたいです。ミステリーの謎解きを楽しみながら、忘れたもの忘れ去られたものの悲しい叫びを感じていただけたらなと思います」と作品をアピールしてくれた役所広司
【単独インタビュー】2006年ベネチア映画祭で話題となったミステリー「叫(さけび)」主演の役所広司が語る黒沢清監督との素敵な関係とは?
自身が演じた吉岡を「弱い人間の代表」と分析していた役所は、脚本に描かれない吉岡のバック・ストーリーを組み立て役に臨んでいたんだそう
【単独インタビュー】2006年ベネチア映画祭で話題となったミステリー「叫(さけび)」主演の役所広司が語る黒沢清監督との素敵な関係とは?
葉月里緒奈演じる幽霊は、時々驚異的な動きをみせる。「ドラゴンボールZみたいでしたよね」とは役所談
【単独インタビュー】2006年ベネチア映画祭で話題となったミステリー「叫(さけび)」主演の役所広司が語る黒沢清監督との素敵な関係とは?
連続殺人の捜査を進める刑事・吉岡。事件の犯行時刻の記憶がなく“自分が犯人では”との恐怖に襲われる彼に、同僚の宮地も疑惑の目を向けはじめる。そんな折、吉岡の前に赤い服を着た謎の女性が現れる。
【単独インタビュー】2006年ベネチア映画祭で話題となったミステリー「叫(さけび)」主演の役所広司が語る黒沢清監督との素敵な関係とは?
吉岡を無償の愛で包み込む恋人・春江を小西真奈美が好演している
(C)2006「叫」製作委員会

【役所広司 プロフィール】
1956年、長崎県生まれ。1996年、周防正行監督の「Shall we ダンス?」を始め「眠る男」「シャブ極道」で、96年度日本アカデミー賞最優秀主演男優賞をはじめ、各映画賞を総ナメ。その後も、「うなぎ」(’97)、「どら平太」、「EUREKA(ユリイカ)」(2000)、「突入せよ!『あさま山荘』事件」(2002)など国内外から注目される話題作に主演。「SAYURI」(2005)ではハリウッド進出も果たした。また、「CURE キュア」(’97)、「ニンゲン合格」(’99)、「カリスマ」(2000)、「ドッペルゲンガー」(2003)など、多数の黒沢清監督作品で印象を残す。現在「それでもボクはやってない」が公開中のほか、待機作に、「アルゼンチンババア」(3月24日公開予定)、今年のアカデミー賞で注目された「バベル」(4月28日公開予定)、日本・カナダ・イタリア合作映画「SILK(シルク)」(2008年公開予定)がある

【STAFF&CAST】
監督:黒沢清 プロデューサー:一瀬隆重 出演:役所広司 小西真奈美 伊原剛志 葉月里緒奈 オダギリジョー 加瀬亮 平山広行 奥貫薫 中村育二 野村宏伸(2006/ザナドゥー=エイベックス・エンタテインメント=ファントム・フィルム)104分
■2月24日(土)より、シネセゾン渋谷、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開
>> 公式サイト
>> 「叫(さけび)」監督&キャストインタビュー
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黒沢清監督最新作は本格ミステリー
作品の魅力を盟友・役所広司が語る


 葉月里緒奈演じる赤いドレスを着た幽霊とこの世のものとは思えない悲痛の叫びが耳に残り、2006年ベネチア映画祭でも話題となった黒沢清監督最新作「叫(さけび)」。黒沢清監督と7度目のタッグを組んだ主演の役所広司が、撮影現場でのエピソードから黒沢清監督作品の魅力までたっぷりと語ってくれた。

 彼が演じる主人公の吉岡は、連続殺人事件を捜査する刑事という役どころ。だが捜査が進むにつれ、自分を犯人と指し示す証拠や痕跡に困惑していく。さらには、赤いドレスを着た謎の女性まで現れて・・・・・・。想像もつかない展開と驚愕の結末にハラハラしどうし。監督とは盟友でもある役所広司はこの吉岡という人物をどう捉えたのだろう。

「その登場からして、晴れ晴れと仕事をしている刑事ではなく、何か背負っている人間と思って演じていましたね。彼は、ある記憶が抜け落ちているのですが、人間、忘れる能力がないと先に進めないとはいえ、あれだけ大事なことを忘れているという(笑)。普通の精神状態ではないですよね。
 春江(小西真奈美)のことにしても、彼はうっとうしさを感じていて。『じゃあ行って来るね。また電話する』と彼女が部屋を出て行くシーンでも、彼は玄関までしか見送らない。普通、半同棲のような交際をしていたら、外まで見送るじゃないですか。なのに、彼は彼女が出て行ってすぐにガチャっと鍵を閉める。きっと彼は『やっとひとりになれた』とホッとしているんでしょうね。そういう人間なら誰しもが抱く普通の感覚を大切にしながら“普通の人間”を象徴する存在にしてみたんです」

 工事現場で起きた殺人事件をきっかけに吉岡の前に現れる謎の女性を演じたのは、3年ぶりの映画出演となる葉月里緒奈。その存在感と迫真の演技に圧倒されてしまう。
「黒沢さんは、今までのジャパニーズ・ホラーにはないことをやろうと思われたみたいで、幽霊を人間として登場させているんですよ。葉月さんもイキイキと楽しんで演じていらっしゃいました。映画で観ると怖いんですけど、撮影現場では、いい大人が“お化けごっこ”を楽しんでいる。笑いが絶えない現場でしたね。
 だからこそ難しかったのが、幽霊を見た時のリアクション(苦笑)。葉月さんが幽霊じゃないことは僕も知っていますからね。でも、完成した映画は(効果音や特殊効果などで)もっと怖くなっているはずだから、吉岡が感じる恐怖心をどのくらい出せばいいのかが難しい。僕が驚きすぎて幽霊が怖くなくなっちゃったら困っちゃうしね。だから監督に何度も確認したのですが、『まあ、そんなものでしょうね』と(笑)」
「長いシーンを1カットで撮っていると
黒沢監督の撮影現場だなぁと実感します」


 言葉の端々から黒沢監督との映画作りを楽しんでいるのが伝わってくる彼に、撮影中いちばん印象に残ったシーンを聞いてみた。
「取り調べ室で、1カットで撮った長いシーンがあるのですが、あぁいう長いシーンがあると『黒沢監督の撮影現場で仕事しているなぁ』という感じがしますね。最近は、合成やCGが入ることもあってカットを割ることが増えたのですが、昔はほとんど1シーン1カットで撮っていたんです。例のごとく、監督は1、2度テストしたらすぐ本番に入りますから、大変は大変なんです。でも上手くいって監督から『OK!』が出た時には、ものすごい達成感があるんですよ。そういう長いシーンでは、自分でも予測できないことが起きますから、それをどう対処するかというスリルもあるし、同時に現実味も出てくるんですよね。例えば、頭を小突く芝居があったとして、1度じゃ気が済まなくなったりもする訳で。そのアクシデントみたいなところが、自分にとっても新鮮だし、相手も新鮮に受け止める。それが芝居の面白いところですよね」
「観終わった後、誰かに話したくなる映画
毎回、完成が楽しみなんです」


 数々の作品でタッグを組んでいる彼に、黒沢清監督作品の魅力を語ってもらうと、
「黒沢さんの映画は、観終わった後に誰かと話したくなるんですよね。観る人によって受け止め方が違ったりして、それがまた面白い。それに出来上がってみるとラストが変わっていたりもするので、毎回、どうなるんだろう? という楽しみもある。映画の作り方にしても、『確かにそっちの方がリアルですけど、面白くないからこっちにしましょう』という作り方。決断力があって男らしいですよ」との答え。続けてこんなことを語ってくれた。
「ほとんどの映画人が、興行が上手くいかないと『次がない』と言われながら作っている中で、自分が表現したいもの、自分が面白いと信じるものを作れる黒沢さんは幸せですよね。しかも結構、早いテンポで作っている。黒沢さんが撮るって言うと、一緒に映画を作りたい人が現れる。僕もそういう作品に参加すると、悩みながら作っていても、一緒に作る仲間という感じがして嬉しいんです。だから、これからも参加したいです」

 そう嬉しそうに語る役所広司を始め、伊原剛志、オダギリジョー、加瀬亮といった海外でも活躍する俳優たちに加え、葉月里緒奈、小西真奈美といった実力派女優たちが競演する「叫(さけび)」。黒沢清監督の新たなる挑戦(叫び)を五感で感じて欲しい。

(取材・文/ライター 大西愛)
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