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2007.3.23(金)更新
【単独インタビュー】
癒し系ムービー「アルゼンチンババア」をアピールする
愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
【単独インタビュー】
癒し系ムービー「アルゼンチンババア」をアピールする
愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
「どんな時に癒しを感じる?」との問いに「失踪した時ですかね(笑)」とジョークを飛ばした役所広司は、「旅ですね。日常から抜けだすことは、距離や時間は関係なく自由を感じます」と答えてくれた
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癒し系ムービー「アルゼンチンババア」をアピールする
愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
「完成した映画を観たら、自分の作品なのに涙がポロポロあふれて、終わってすぐトイレに駆け込んだんですよ」と教えてくれた長尾直樹監督(写真左)。監督とはCM時からのつきあいと明かす役所は「『あの雲がこっちに来るまで』とか待ち時間は多かったですけど、その分いい映像になってますよ」とアピールしてくれた
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癒し系ムービー「アルゼンチンババア」をアピールする
愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
「亡くなった人が、自分をいい方向に導いてくれているのを感じることができる映画ですね」とは役所談。このシーンは彼も監督もお気に入りなのだとか
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愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
共演した鈴木京香について役所は「鈴木京香さんは一生懸命な人。“アルゼンチンババア”というからには、アルゼンチンを知らないといけないと思い、アルゼンチンに行って役に臨んだそうです。その生真面目さが京香さんの武器であり魅力だなあと思います」と教えてくれた
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愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
墓石彫りに人生を捧げてきた職人・悟は、ちゃんと妻のお墓が作ってあげられるのか? 妻の死を乗り越えていく悟の行動にも注目だ!
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愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
失踪した兄のことを案じる早苗を森下愛子が好演。ほか、岸部一徳、きたろう、田中直樹といった個性派俳優たちの存在感がのどかな味わいを醸し出している
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愛すべきダメ親父を演じた役所広司と長尾直樹監督を直撃!
「掘北真希さんはいろんな役ができる女優さん。等身大の役も全然違う役もちゃんと役を演じている。普段の自分だけで勝負していないところが頼もしい。相当いい女優さんになると思いますよ」とは監督談
(C)2006「アルゼンチンババア」製作委員会

【長尾直樹監督 プロフィール】
1955年、東京都生まれ。早稲田大学在学中から自主映画を製作。大学卒業後、ディレクターとして話題のCMを数多く演出。「東京の休日」(’91)で劇場映画監督デビューを果たし、以後「鉄塔武蔵野線」(’97)、「さゞなみ」(2002)と海外の映画祭でも注目される作品を世に送り出している。ネット配信映画「10minute diary」が東京ネットムービーフェスティバル2005ブランド・コーポレート部門グランプリを受賞。北乃きい主演のネット配信映画「ハルノ呼吸」が配信中なのも記憶に新しいところ

【役所広司 プロフィール】
1956年、長崎県生まれ。1996年、周防正行監督の「Shall we ダンス?」を始め「眠る男」「シャブ極道」で、96年度日本アカデミー賞最優秀主演男優賞をはじめ、各映画賞を総ナメ。その後も、「うなぎ」(’97)、「どら平太」、「EUREKA(ユリイカ)」(2000)、「突入せよ!『あさま山荘』事件」(2002)など国内外から注目される話題作に主演。「SAYURI」(2005)ではハリウッド進出も果たした。また、「CURE キュア」(’97)、「ニンゲン合格」(’99)、「カリスマ」(2000)、「ドッペルゲンガー」(2003)など、多数の黒沢清監督作品で印象を残す。現在「それでもボクはやってない」、「叫(さけび)」が公開中のほか、待機作に、今年のアカデミー賞で注目された「バベル」(4月28日公開予定)、日本・カナダ・イタリア合作映画「SILK(シルク)」(2008年公開予定)がある

【STAFF&CAST】
監督・脚本・編集:長尾直樹 原作:よしもとばなな 歌:タテタカコ 出演:役所広司 鈴木京香 堀北真希 森下愛子 小林裕吉 手塚理美  田中直樹  きたろう  岸部一徳(2006松竹=キネティック)112分
■3月24日(土)より、東劇ほか全国ロードショー

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「主人公が“逃げちゃう”物語に救いを
感じたんです」(長尾直樹監督)


 小さな田舎町を舞台に、最愛の人を失った父娘の絆と周囲の人々が織りなす騒動を描いた「アルゼンチンババア」。よしもとばななの原作が持つ、おとぎばなしのようなぬくもりそのままに映画化した長尾直樹監督と妻の死から逃げ続けるダメ親父を愛すべき男に仕立てた役所広司を直撃! 作品の魅力から撮影中のエピソードまでたっぷりと聞いた。

「ダメ親父が苦境に立たされて雲隠れしちゃう物語なんだけれども、その“逃げちゃう”ところにすごく救いを感じたんです」と語った長尾直樹監督。主演の役所広司も「彼は逃げ続けていますからね。あんな風に逃げれたらいいですよね(笑)」と続ける。

 きっと誰もが一度は抱く「あぁ、ここから逃げ出したい」という思いを実行してしまうのが、本作の主人公・悟。妻が死んだことを受け入れることができない彼は、ひとり娘のみつこを残したまま忽然と姿を消してしまうというダメな父親。ところが不思議と憎めない。そんな悟を役所広司はこう分析する。
「彼は純粋なんでしょうね。最初は、お酒を飲んで死んだ妻のもとに逝こうとしていたと思うんです。ところが穴に落ちて、“アルゼンチンババア”=ユリ(鈴木京香)と出会い、優しさに触れるうちに、彼女を好きになったんでしょう。病気で亡くなった妻のことももちろん愛しているんだけど、ユリという女性と運命的な出会いをする。彼のそういう純粋な部分に共感したし好きですね」
「刺繍ルームと化した控え室でしたね
みんなアルゼンチン・ジジイになりそうな
勢いでした」(役所広司)


 憔悴しきった悟の心を癒していくユリは、町はずれにある遺跡のようなビルに住む謎の女性。魔女のような風貌ゆえ“アルゼンチンババア”と呼ばれ、怪しい呪文を唱えているとか、猫を食べているとか、根も葉もない噂の標的だが、本人はいたっておおらか。おかげで父を奪還すべく訪れたみつこも親戚も、ユリの優しさに包み込まれてしまう。そんなユリをババアとは遠くかけ離れた鈴木京香が演じているのも話題だ。
「もちろんババアを演じてもらうんですけど、女性としての魅力を残したいと思って鈴木京香さんにお願いしました。これは僕の願望なんですけど、親父が癒される要素として、恋愛感情や男女の交流みたいなものが少し欲しかった。だから、綺麗な人がババアになることで滲みでてくる美しさを撮りたいと思ったんです」と明かした監督。

 ユリの故郷、アルゼンチンの遺跡を彷彿させるアルゼンチン・ビルは、那須の牧場にセットを建設。出演者たちは、待ち時間もそこで過ごしていたんだそう。
「ビルの中に控え室があったんですけど、そこで京香さんをはじめ、衣装さん、メイクさんら女性スタッフが刺繍をし始めるんです。いくつかそこで作ったものが劇中に登場しているんですよ。気がつくと、録音部さんたちのジーンズの破れたところにも刺繍してあげたりしていて、スタッフまでもがアルゼンチン・ジジイになりそうな勢いでした(笑)」
と、撮影中のエピソードを明かしてくれた役所は、ロケ・セットならではの体験を教えてくれた。
「草原の中にビルが建っているから風通しがよくて結構快適で。屋上から見える景色はね、遠くに山並みみたいなものが見えて、そこに日が沈んでいくんです。とても綺麗でしたよ」

 劇中でも屋上から見える景色は最高なのだが、中でも印象的なのが美しい夜空のもとで繰り広げられる情熱的なアルゼンチン・タンゴのシーンだ。
「アルゼンチン・タンゴを踊るシーンは、日没のスカイラインタイムに撮影したんですよ。マジックアワーと呼ばれる貴重な時間の中で撮影したのですが、あぁいう中で演技をするのは贅沢ですよね。といっても僕たち役者は空の美しさを感じている余裕はなくて、NGを出せば翌日のスカイラインタイム待ちになるので一生懸命でしたけど(笑)。それがスクリーンに映しだされた時に想像以上のモノになっているのが嬉しいですよね。
 アルゼンチン・タンゴは、女の足が男の足に絡みつく、それに乗っていく、すると今度はじらされる。なんだかお芝居みたいなダンスなんです。例えば社交ダンスだと、顔を見ないで心を感じ合わせながら踊るんですけど、アルゼンチン・タンゴは、常に相手の目を見つめ、ふたりだけの世界に陶酔して踊るダンス。そういう意味では、この物語にとってもマッチした踊りだったんじゃないかな」
 貴重なスカイラインタイムでの撮影ということもあり、撮影合間には、まさに目と目でアルゼンチン・タンゴの振りを確認していたというふたり。その成果は劇場で確認して。

 長い間企画を温め続けていたという監督が、映画化する上でいちばん大切にしたのが「日常の中にあるファンタジーのテイスト」だと言う。
「日常の生活の中に起きる小さなファンタジーだからこそ、現実的に描くことが大事だと思うんです。CGを使って青空を合成することもできるけど、やり始めるとドラマチックな雲にしちゃおうとか、どんどんスケベ心が出てくる。そうするとうそ臭くなってしまうんですね。だから、ディテールの部分はリアルに。極力、設定にあった天候で撮影することを心掛けていました」

 最後に役所が、
「この映画には、他人ごとなのに世話を焼いてくれたり、心配してくれる人がたくさん登場するんだけれども、その人たちの優しさがすごくあふれてます。その優しさを感じてもらえると嬉しいです」
と締めくくってくれた。

 つかの間の癒しをそっと心に運んでくれる「アルゼンチンババア」。ぜひ劇場でどうぞ!

(取材・文/ライター 大西愛)
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