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2007.4.4(水)更新
【動画・単独インタビュー】
「ナビィの恋」の中江裕司監督4年ぶりの新作「恋しくて」
映画に込めた監督の“想い”とは?
【動画・単独インタビュー】
「ナビィの恋」の中江裕司監督4年ぶりの新作「恋しくて」
映画に込めた監督の“想い”とは?
「劇中に出てくるツェッペリンをすらすら弾く音楽の先生は、本物の先生なんですよ(笑)」と、撮影エピソードをいろいろ教えてくれた中江裕司監督
【動画・単独インタビュー】
「ナビィの恋」の中江裕司監督4年ぶりの新作「恋しくて」
映画に込めた監督の“想い”とは?
おなじみのアロハシャツを着て、じっくりと質問に答えてくれる中江監督のまわりには、ゆったりとした沖縄時間が流れているようだった
【動画・単独インタビュー】
「ナビィの恋」の中江裕司監督4年ぶりの新作「恋しくて」
映画に込めた監督の“想い”とは?
石垣島の高校生、加那子は幼なじみの栄順と再会する。加那子の兄セイリョウの思いつきで結成されたバンドで歌うことになった栄順は、最初は渋々ながらもだんだんと歌うことの喜びに目覚めていく
【動画・単独インタビュー】
「ナビィの恋」の中江裕司監督4年ぶりの新作「恋しくて」
映画に込めた監督の“想い”とは?
ドラム担当の石田法嗣と、ギター担当の宜保秀明はそれぞれの楽器が初心者だったため、撮影までに猛特訓したという。その成果あって、劇中では見事な演奏を披露している
【動画・単独インタビュー】
「ナビィの恋」の中江裕司監督4年ぶりの新作「恋しくて」
映画に込めた監督の“想い”とは?
■「恋しくて」は、4月14日(土)よりテアトル新宿、4月28日(土)より銀座テアトルシネマほかにて全国ロードショー
(C)2007「恋しくて」製作委員会
【中江裕司監督PROFILE】
1960年京都府生まれ。1980年に琉球大学入学とともに沖縄移住。92年に沖縄県産映画「パイナップル・ツアーズ」の第2話「春子とヒデヨシ」でプロデビュー。94年に「パイパティローマ」を監督。98年の「ナビィの恋」が大ヒット。沖縄では18万人の動員を記録し、「タイタニック」を抜き沖縄県の最多動員を誇る。2002年に「ホテル・ハイビスカス」が全国公開され大ヒット。2003年に石垣島の楽団のドキュメンタリー「白百合クラブ 東京へ行く」を自主制作。映画以外にも、テレビ・ドキュメンタリー、ミュージッククリップなどを数多く手がけ、九州・沖縄サミットのオープニングフェスティバルの総合演出も務めた。2005年に桜坂劇場をオープンし、株式会社クランクの代表取締役社長に就任。

【STAFF&CAST】
監督・脚本:中江裕司 原案・歌:BEGIN 出演:石田法嗣 東里翔斗 山入端佳美 宜保秀明 大嶺健一 与世山澄子 平良とみ(2007東京テアトル)99分
>> 公式サイト
>> 【現地インタビュー・第1弾】中江裕司監督がオーディションで選んだ3人の素顔に直撃インタビュー
>> 【沖縄シネマ漫遊記 温泉太郎の漫画レポート】撮影現場レポート
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「今回は“うた”を大事にしようと思いました」

 「ナビィの恋」(’99)、「ホテル・ハイビスカス」(2003)などで、沖縄の風土とそこに生きる人々の魅力を日本全土に伝えた沖縄在中の中江裕司監督。そんな中江監督の4年ぶりとなる待望の新作「恋しくて」が、4月14日(土)より公開される。
 本作は、石垣島出身のミュージシャン、BEGINのエッセイ「さとうきび畑の風に乗って」にインスパイアされてできた中江監督のオリジナル・ストーリー。石垣島に住む高校生、栄順と加那子の恋模様、加那子の兄セイリョウのひと声によってできたバンドを通して、悩み成長する高校生たちの姿を瑞々しく描いた青春物語だ。

 中江監督と言えば、「ナビィの恋」でサンシン(沖縄三味線)の名手・登川誠人を起用し、全編に沖縄民謡を効かせるなど、音楽を効果的に盛り込むことを得意とするが、本作では沖縄民謡以外にも、山本リンダ、キャンディーズなどの歌謡曲から、ブルーハーツ、GO!GO!7188など近年のヒット曲まで取り入れ、まさに音楽のチャンプルーに仕上げている。
「石垣のほうが沖縄よりも、街を歩いていると音楽が流れてきたりすることが多いんです。あんな小さな島なのにプロのミュージシャンをいっぱい輩出しているし、ふたりにひとりは唄や踊りや音楽をやっていて、ミュージシャン率日本一だと思います。石垣には、昔からいい音楽はどこの音楽であれ、どんどん受け入れていくという土壌があるんですね。だから、歌謡曲など本土の音楽が沖縄よりもいっぱいあるんです」
 さすが、“音楽に祝福された島”と言われる石垣島なだけある。そんな石垣を撮るにあたって、中江監督は“音楽”ではなく“うた”にこだわったと言う。
「今回は“うた”を大事にしようと思いました。“うた”は“想い”があふれて“うた”になるもの。だから、ジャンルは関係なく、奄美の民謡も沖縄の民謡も歌謡曲も何もかも一緒にして、いい“うた”を集めたんです」

 そんな風土が最も顕著に表現されているのが、栄順たちが主催する高校生たちのバンド大会、その名も“八重天(八重山バンド天国)”である。ここでは、八重山の民謡を披露する高校生や、プリンセス・プリンセスで盛り上げるガールズ・バンドなど、個性豊かな地元の高校生バンドが次々と登場する。個性的なだけに、面白いエピソードも満載だったようだ。
「あのガールズ・バンドの子たちは、1曲しか演奏できなかったんです。結成して3週間しか経ってなくてバンド名もなかったので、うちのカメラマンが『お前たちは太ももが太いから“太ももファイブ”だ』って決めたんです。オーディションに来た時も、ベースの子が『立って弾けないから座って弾いていいですか』って言うんですよ(笑)。それが面白くて、劇中でも座って弾いています。
 八重天で民謡を入れたのは、最初にパンクがバーンときて、プリプリ、ブルーハーツなんかが続いて、そこでポンッと抜け落ちたように民謡が入る。そういうのが豊かさなんだろうと思ったからです」
「恋が成就することよりも、“人が人を想うこと”
が一番大事なんだと思います」


 「ホテル・ハイビスカス」で素人の蔵下穂波を主演に抜擢するなど、毎回、現地の素人を見事にキャスティングする中江監督。本作も、主演の栄順と加那子をはじめ主要キャストに、3500人のなかからオーディションで選んだ地元の素人の若者たちを起用した。
「役者も含めてものすごく多くの人をオーディションしたんですよ。その結果、主演に素人のふたりが決まったんです。
 栄順役の東里翔斗(あいざとしょうと)は、すごくヘナヘナしていて、僕はそれがダメだと思っていた。でも、抜群に歌が上手かったんですね。気持ちで歌えるし、演技もどんどん上手くなっていく。でもやっぱりヘナヘナしているのが、どうしても気になって(苦笑)。最後のオーディションで『ヘナヘナするな!』って言ったらしなくなったんですよ。それで彼だなと。
 加那子役の山入端佳美(やまのはよしみ)は、最初のオーディションから『なんで僕が書いた加那子がここにいるの!?』と思ったくらい。びっくりしましたね。オーディション時はまだ中学三年生でものすごく細かった。細すぎるから太るように言ったら、どんどん太くなって(笑)。リハーサルで飛び跳ねてたら、スカートのホックがパーンって飛んでいったり…彼女は心身ともに太くなっていきましたね」

  本作では、物語の順番に撮影する順撮りという方法をとっているが、キャストが決まってから順撮りすることを決めたのだろうか。
「そうですね。素人ふたりが主演と決まった時に、彼らの成長過程が撮れないとこの映画はうまくいかないと思いました。うまくいくかどうかわからないけれど、とりあえず順撮りでいこうと。そうしたら、編集の時に彼らの顔が変わっていっていることに気づいたんです。撮っている時はわからないんですよね。すごくびっくりして、嬉しかったんですけど、それがプレッシャーでした。これを活かすのは相当難しい。劇映画の編集をしていくと、彼らの魅力が減ってしまうと思ったので、彼らの持つエネルギーや存在を撮る。つまりドキュメンタリーの編集の仕方に切り替えました」
 と、監督が語るように、最初はぎこちないふたりの演技がどんどん研ぎ澄まされ、最後には栄順、加那子としてスクリーンいっぱいに活き活きと存在する様は素晴らしい。

 また、素人に混ざって異彩を放っているのが、セイリョウ演じるプロの役者・石田法嗣だ。現地の子どもたち以上に色が黒く、完璧な方言を話す彼を、最初は石田だと気づかなかったくらいである。
「栄順と加那子は素人でもできるだろうけど、セイリョウはまず素人ではできないだろうと思っていたんです。なので、プロの人もオーディションで大勢見たんですが、石田の品の良さはズバ抜けていましたね。
 素人と一緒にやるというのは、プロのほうが厳しいんです。素人はプロにはできない、すごい演技をすることがあって、それについていかないといけない。プロ同士の馴れ合いの演技はできないし、素人に合わせていかないといけないので、石田は相当大変だったと思いますが、彼は見事にやりましたね。素人の側で演じながら、プロとしての品を保っていた」

 ここで物語の結末は書けないが、栄順・加那子・セイリョウたちは成長する過程で、多くの困難や壁と向き合うことになる。そこには、中江監督の想いが込められていた。
「『ナビィの恋』でおじいちゃんとおばあちゃんの恋が成就する話を書いて以来、“恋”の映画にこだわって、考えていたんです。やっぱり“人が人を想うこと”が一番大事かなと思っていて。今回、『恋しくて』という恋の映画を撮ることになって、恋が成功して成就することが大事なんじゃない、と思ったんです。恋がうまくいかなかったことで、その人は想い続けられる。この“想う”ということが大事なんだと。生きているうえで、死や別れなど、どうしようもないことっていうのがいっぱいあるわけですよ。でも、別れても死んでも、その人を感じながらその人を想ってともに生きているんですよね」

 中江監督の作品で息づく沖縄の人々にものすごく魅力を感じるのは、この“どうしようもないこと”を経験した人がもつ突き抜けた明るさやたくましさに惹かれるからだろうか。
「沖縄の人は、そういう“どうしようもないこと”があるということを認めているんですね。僕自身、ずっと沖縄や石垣に住んでいて、死や別れを悲しいことではあるけど、嫌なことだとは思わないんです。そういうことがあるから人に優しくできる。ひとりで生きているわけじゃないから人に失礼なことができないし、いつかまた会うかもしれないからひどい別れ方もできないんです」
 そんな“想うこと”を大切にしている中江監督が、作品作りで最も重要視していることも、やっぱり“気持ち”だと言う。
「登場人物たちの気持ちをどうやったらフィルムに焼き付けられるか、といつも考えています。映画は監督の技術を見るものじゃなく、登場人物たちの気持ちを観客に伝えて、想いを伝えるものだと思っています」

 “人を想う”うえでの切なさ、悲しさ、愛しさといった、豊かな感情にあふれている「恋しくて」。栄順・加那子・セイリョウたちの力強く生きる姿をスクリーンで見て、忙しい日常で忘れがちな、純粋で素直な“想う”気持ちをぜひ思い出してほしい。

(取材・文/MovieWalker編集部・石崎美智)


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