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2007.6.19(火)更新
【動画・インタビュー】
義足のアスリートが世界を変えた「エマニュエルの贈りもの」で
障害者への固定観念を払拭したエマニュエル
【動画・インタビュー】義足のアスリートが世界を変えた「エマニュエルの贈りもの」で障害者への固定観念を払拭したエマニュエル
本作の主人公で、義足のアスリート、エマニュエル・オフォス・エボワが映画のキャンペーンで来日。単独自転車でガーナ全土を走破したアイアン・マンだが、素顔はとても穏やかなお兄ちゃんだった
【動画・インタビュー】義足のアスリートが世界を変えた「エマニュエルの贈りもの」で障害者への固定観念を払拭したエマニュエル
「北京のパラリンピックを目指して、ガーナからはバスケットのチームを送り込みたいと思っています。そのために今は指導者という立場で、障害者に夢と希望を与えることが僕の使命だと思っています」と、力強く語ってくれた! 陰ながら応援してます!!
【動画・インタビュー】義足のアスリートが世界を変えた「エマニュエルの贈りもの」で障害者への固定観念を払拭したエマニュエル
エマニュエルは自転車を通じてガーナの希望の星となった!
【動画・インタビュー】義足のアスリートが世界を変えた「エマニュエルの贈りもの」で障害者への固定観念を払拭したエマニュエル
観終わった後、きっと元気と勇気をもらえる!
■「エマニュエルの贈り物」は6月23日(土)よりシネマGAGA!にて公開
[c]M2RF PRODUCTIONS PTY LTD
【エマニュエル・オフォス・エボワ プロフィール】
1977年、西アフリカ・ガーナで片足に重度の障害をもって生まれる。ハンディキャップを克服し、単独自転車でガーナ全土を走破したのを始め、義足をつけトライアスロンに挑戦するなど、障害者スポーツを通して母国の障害者福祉を変えるべく精力的に活動を続ける

STAFF&CAST
監督・製作:リサ・ラックス ナンシー・スターン 出演:エマニュエル・オフォス・エボワ ジム・マクラーレン コフィ・アナン ロビン・ウィリアムス(2005米/デジタルサイト)80分
>> 公式サイト

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「障害者に勇気と未来への希望を
もってほしかったのです」


 脚に障害をもった1人の青年が自転車1台でガーナを横断。障害者でも社会に貢献できること、そして障害者への偏見をなくしたいことを訴え、多くの人の心を動かしたドキュメンタリー映画「エマニュエルの贈りもの」。人としての強さと優しさと、心の大きさに思わず涙してしまう真実のストーリー。アスリートである主人公エマニュエルはなぜ走るのか、何よりもそこに迫りたかった。

 西アフリカのガーナ。どんな理由であれ、この地で暮らす障害者は、呪われているとされるのだ。それゆえに職を手にすることはおろか、家族からさえ見放されることもある。

 人口の1割、約200万人もが障害者。生まれながらにしてひざの内側の骨がなく、両足で歩くことができないエマニュエルもまさにその1人だった。この国は障害者への偏見と差別に満ちているため、障害者は職を得られず、物乞いをして生きていくしかほかに方法が見つからない。そこで「この国の人の固定概念を覆したい」とエマニュエルが立ち上がった。その勇気ある姿に心打たれたフィルム・メーカーのリサ・ラックスとナンシー・スターンは2年もの歳月をかけ、彼の活動を追い続けた。その映像と彼の人生に欠かすことのできない大切な家族や友人の証言とで構成されたドキュメンタリー作品「エマニュエルの贈りもの」。アトランタ映画祭最優秀ドキュメンタリー作品賞をはじめ数々の賞を受賞したこの作品は、彼の強さと優しさがめいっぱい詰まった感動のストーリーになっている。

 ガーナに住む障害者への偏見をなくしたい――そんな思いが膨れ上がったエマニュエルがしたことは、アメリカにある障害者アスリート財団へ1通の手紙を出すことだった。そこには、たった1台、自転車がほしいと。なんのために自転車が必要だったのだろうか。
「障害者の未来を築きたいと思っていました。職につけない、家族から見放された障害者が施しを受ける必要がないということを多くの人に伝えたかったのです。そのために考えたのが、脚のない自分が自転車でガーナを横断することでした。片足だからといって健常者より劣っているのではなく、同じようにできることを証明したかった。そして自分と同じ障害者に勇気と未来への希望をもってほしかったのです。自転車を選んだのは、いつでも1人でできるため。チーム・スポーツだと人数を集めなければならないから。障害者でもできることがあるという未来を築きたかったと同時に、多くの人のもっている障害者への偏見を払拭したかったのです」

 まもなくアメリカの障害者アスリート財団から1台の自転車が届いた。そして10日間でなんと600q、自転車をこぎ続けガーナを横断したのだ。そのニュースはラジオを通じてまたたくまにガーナ中に広まった。町にはエマニュエルのファンもでき、彼が自転車で通過するときには大きな歓声があがった。この自転車横断の旅でエマニュエルは何を感じ、何を手にしたのだろうか。
「自転車での横断はやり遂げた、という大きな達成感がありました。それは片脚の自分に対しての感情ではなく国に対するもの。事実多くの人から権利や偏見についての声が上がり、自分の思いが少しでも届いた気がしました。僕はガーナの人の心を変えたかったのです」

 2003年に自転車でガーナを横断した翌年、ナイキよりケイシー・マーティン賞を受賞。これは人道的活動に対して身体的、精神的、文化的なハンディを乗り越え社会貢献したアスリートを称える賞だ。
「ガーナの障害者にとって、車椅子と教育の場、そしてスポーツができる環境が今いちばん大切です。だからこの賞の副賞金を元にして、ガーナの障害をもつ子供たちのためのエマニュエル基金を設立しました」。

 車椅子、教育というは理解が簡単だ。でもなぜスポーツができる環境が今必要なのだろうか。学校や仕事に行きたくても脚がなくて行けない、そのための脚の役割を果たす車椅子、人それぞれの可能性や才能を見出せれば物乞いをせずに生きていくための教育であるのはわかるが。彼はこう続けた。
「1人では何もできない、人と繋がっていることや何かを一緒にすることが大切、それがスポーツなんです。だからこの3つをガーナの障害者のために提供したい。自分も自転車というスポーツを通じて、ガーナの国中の人とつながりました。そして障害者の自分でもこれだけできるという最大の自己表現がスポーツなのです。あなたがこうしてインタビューをし、多くの人に僕のことを広めようとしてくれている。これがあなたの自己表現であり才能であるように」。思わず鳥肌が立ってしまった。自分がこうしてインタビューをすることは、エマニュエルが自転車でガーナを旅し、多くの人の心を変えたことと同じ意味があるとは……。
母の励ましがあったからこそ
自分は強くなれた


 映像のなかでは、“エマニュエルには特別な才能がある、強さがある”、もしかしたらそんな風に多くの人の目に映るかもしれない。しかしガーナの200万人の障害者のたった1人にしか過ぎない。特別な才能でも運でもない。意思の強さだけが心を支えているようにさえ思える。いったい彼の強さの原点はどこにあるのだろうか。
「母の存在が何よりも大きかった。37歳という若さにしてこの世を去った母は、“あなたはほかの誰よりも優れている、だからどんなことがあってもあきらめてはだめ。そして物乞いをせずにプライドをもって生きていくこと”そう母の励ましがあったからこそ僕は強くなれた。もしも自分が困ったとき、まず人に助けを求めるのではなく、自分はどうしたいのか、ちゃんと意思をもっていればなんだってできる、そう思わせてくれたのは母が言い続けてくれた言葉のおかげなのです」 
 エマニュエルもほかの障害者と同じように、幼い頃に父親に見捨てられ、学校ではいじめられた悲しい経験がある。それでも持ち前の強さと明るさで人生を謳歌しているのだ。彼にとって強さとはどういう意味なのか。
「強さがあればきっと幸せになれる。そう信じていますから。強いことは僕にとって宝もものなんです。勇気や強さがあれば、自分が何かをしてもらうのではなく、人に何かを与えることができる」

 その後、アメリカの障害者アスリート財団のサポートにあったロマ・リンダ大学の教授より、彼に義足をという声があがり、義足を手にすることになる。そしてトライアスロンにも挑戦した。ガーナに戻ると“英雄の帰国”とされ、国王の宮殿に招かれた。障害者は呪いだ、と考えていたガーナでは百年もの間、国王のいる宮殿が穢れるとされ、入ることはおろか、近づくことすらできなかった。でもその固定観念をエマニュエルの行いが変えた。革命を起こしたのだ。
「少しの助けがあれば大きなことができるとわかりました。それはアメリカの障害者アスリート財団へ送ったあの1通の手紙からすべてが始まったと思います。意思があればどんなこともできる。それを証明したかったし、この国の偏見を変えたかった。障害者の保護に関して、政治家は見て見ぬふりをしてきたけれど、多くの障害者が立ち上がったことで、そうはできなくなったと思います。そして昨年、ガーナに障害者保護法が施行されました。ようやくひとつ、実を結んだ気がします。僕はガーナの人に勇気を与えたかったのです」
 さらに今後の夢について
「北京のパラリンピックを目指して、ガーナからはバスケットのチームを送り込みたいと思っています。そのために今は指導者という立場で、障害者に夢と希望を与えることが僕の使命だと思っています」

 1977年生まれの30歳、ガーナの障害者の1人が、国中の人の心をゆさぶった。心の強さは人を幸せにすることを教えてくれたエマニュエル。強いことは人に優しくできること、それがどんなに大切なことであるのが今一度考えるきっけかになる作品だ。

(取材・文/峯澤美絵)



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