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2007.9.5(水)更新
【動画・独占インタビュー】
好感度ピカイチ俳優・堺雅人の初主演作「壁男」は
諸星大二郎の同名コミックが原作の異色サスペンス!
【動画・独占インタビュー】好感度ピカイチ俳優・堺雅人の初主演作「壁男」は諸星大二郎の同名コミックが原作の異色サスペンス!
映画「壁男」に初主演した堺雅人。「東京オレンジ」の舞台観てましたよと声を掛けると、「自分の子供時代を知られているみたいで、恥ずかしいなぁ」とちょっぴり照れたような笑顔を見せた。今や映画やドラマでキーパーソンを演じる売れっ子俳優だ
【動画・独占インタビュー】好感度ピカイチ俳優・堺雅人の初主演作「壁男」は諸星大二郎の同名コミックが原作の異色サスペンス!
「今は仕事が凄く楽しいですね。30歳を過ぎてから、肩の力が抜けてきたのかも。『ボクは俳優です!』と強く主張しなくても済むようになりましたしね。でも、肩の力が入っている時でないと演じられない芝居もあると思いますよ」と語る堺。今も時間があれば、演劇仲間の舞台を観にいくそうだ
【動画・独占インタビュー】好感度ピカイチ俳優・堺雅人の初主演作「壁男」は諸星大二郎の同名コミックが原作の異色サスペンス!
宮崎出身の堺だけに、札幌での長期ロケは新鮮だったらしい。「北海道は美味しいものばかりでしたね。一番ハマったのがジンギスカンの生ラム。食べても食べても飽きないんです(笑)。スープカレーも美味しいかったなぁ」
【動画・独占インタビュー】好感度ピカイチ俳優・堺雅人の初主演作「壁男」は諸星大二郎の同名コミックが原作の異色サスペンス!
雪で閉ざされた冬の札幌が舞台。堺雅人と小野真弓以外は、キャストもスタッフもほとんど地元のメンバーという北海道産の映画。従来の日本のホラー映画が土着的な怖さを盛り込んでいたのに対して、「壁男」は都市生活者の精神的不安定さをモチーフにしたモダンホラーとなっている
【動画・独占インタビュー】好感度ピカイチ俳優・堺雅人の初主演作「壁男」は諸星大二郎の同名コミックが原作の異色サスペンス!
壁に潜み、テレビが好きという“壁男”は一体何者なのか。そして劇中で“壁男”はどのように描かれるのか。謎めいたラストシーンを「パラレルワールドなのか、もしかすると目に見えない世界が実在するのか。不思議な物語ですね」と堺はネタばれしないよう慎重にコメント
■「壁男」は9月15日(土)よりテアトル新宿にてレイトショー公開。以後、全国順次公開
【堺雅人プロフィール】
1973年、宮崎県出身。早稲田大学在学中の1992年に早稲田大学演劇研究会を母体にした劇団「東京オレンジ」の旗揚げに参加。看板俳優として活躍。以後、「Zenmai」('98)、「VAMP SHOW」(2001)、「エレファント・バニッシュ」(2003)、「喪服の似合うエレクトラ」(2004)、「お父さんの恋」(2005)、「噂の男」(2006)などの舞台に次々と出演。2000年にはNHK朝の連続テレビ小説「オードリー」にレギュラー出演し、その好感度はお茶の間にも浸透。2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」の山南敬助役を好演。山南が切腹するエピソード「友の死」は異例のアンコール放映となった。映画は「火星のわが家」(2000)、「ひまわり」(2000)、「張り込み」(2001)「ココニイルコト」(2001)、「壬生義士伝」(2003)、「ハチミツとクローバー」(2006)、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(2007)、「アフタースクール」(2008年公開予定)などに出演している。テレビ・ドラマも「Dr.コトー診療所2006」(フジテレビ系)、「ヒミツの花園」(2007/フジテレビ系)など多数出演。この秋は三谷幸喜作・演出の舞台「恐れを知らぬ川上音二郎一座」(11月10日〜12月30日)に出演予定。

STAFF&CAST
原作:諸星大二郎 監督:早川渉 出演:堺雅人 小野真弓 山崎大昇 渡辺香奈子 宮嶋総士 西村麻衣子 大久保理那 水戸ひねき(2007/トルネード・フィルム)98分

ヘアメイク:保田かずみ(Yasuda Kazumi)スタイリスト:岡部美穂(Okabe Miho)
>> 公式サイト
予告編[壁男]
堺雅人インタビュー(3分33秒) [壁男]
>> 東京国際映画祭「壁男」ティーチイン・レポート
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「役の心をどう掴めるかが大事。
主演か助演かは意識しないです」


 残暑きびしい折り、本日は涼風のようなひと時をお届け。NHK大河ドラマ「新選組!」(2004)で新選組総長・山南敬助を演じ、新選組ファンだけでなく全国の婦女子をそのキラー・スマイルで虜にしてしまった堺雅人が登場。「妖怪ハンター」「西遊妖猿伝」などでマニアックな人気を得ている漫画家・諸星大二郎の同名コミックを大胆にアレンジした映画「壁男」に初主演している。舞台出身で演技力に定評のある堺と、カルトな漫画家・諸星大二郎の組み合わせという異色サスペンスなのだ。

 映画版「壁男」は雪に閉ざされた北国の街が舞台。カメラマンの仁科(堺雅人)は仕事もでき、いつもにこやかな笑顔を浮かべている好人物。そんなある日、地元のテレビ局でレポーターをしている恋人の響子(小野真弓)から“壁男”の噂を聞き、意外な興味を示す。“壁男”は都市伝説の一種で、壁の中に潜み、人間たちの生活を黙って見ているだけの存在だという。“壁男”はただの噂なのか、それとも実在するのか? 次第に仁科はカメラで壁をひたすら撮り続けるなど常軌を逸した行動を取り始める。

 「新選組!」の山南総長をはじめ、NKH朝ドラ「オードリー」(2000〜2001)、映画「ココニイルコト」(2001)等でも助演ながら印象深いキャラクターを演じてきた堺だけに、「壁男」で映画初主演と聞くと意外な気がする。どうやら本人もキャラクターに成り切ることに情熱を注ぎ、主演か助演かという意識はほとんどないらしい。
「そうですね、自分で意識することはないですね。今回も主演と言われて、『あ、そうか』という感じでした(微笑)。ただ今回、ボクの演じた仁科というカメラマンは早川渉監督の分身みたいだなと脚本を読みながら感じたんですね。札幌のスタジオでカメラマンとして働き、ときどき個展を開くという仁科と、札幌で普段はCMの仕事をして、ときどき映画を制作している早川監督は同一人物のように思えたんです。ですから、主演だからどうこうというより、早川監督の分身のような仁科という男の心をどう掴み、組み立てていくかという思いだけでしたね」

 早川監督は札幌を拠点にし、長編デビュー作「7/25【nana-ni-go】」が1999年のカンヌ映画祭国際批評家週間に出品されるなど東京とは距離を置き、独自の活動をしている映像作家。監督だけでなく、プロデュースも兼ね、原作者・諸星大二郎への交渉も自身で行なっている。
「ある種、憧れますね、早川監督の仕事のスタイルには。その土地にしっかり根を張って暮しながら、その土地の人たちが求めているものを創っているんですよね。早川監督とは今回が初めての仕事でしたが、札幌に入ってから度々食事をするなどコミュニケーションを図りました。でも、それは役づくりのための取材って訳じゃないですね。映画監督にとって映画づくりとは、心の奥深くから想いや言葉が発されているものだと思うので、少しばかり一緒にお酒飲んだからといって、すぐに分かるものじゃないですから。『その時、どんな気持ちでした?』なんて監督に聞くより、ちゃんと脚本を読めってことですしね」

 言葉の端々から知性や繊細さ、そして役づくりへの静かな情熱を感じさせるではないか。後半は、その爽やかな笑顔にもう一歩、踏み込んで聞いてみよう。
「笑顔は意識している訳じゃないです。
演技用に使い分けたりはしてませんよ」


 原作者の諸星大二郎は独特のタッチとイマジネーションで、現代人の抱く孤独や不安、噂やマスメディアが生み出した虚像がひとり歩き始める不気味さを「壁男」の中で描いている。1998年に発表された短編集「夢の木の下で」(マガジンハウス)に収録されている短編シリーズだが、原作より脚本を先に読んだと堺は話す。
「えぇ、実は諸星さんの原作、知らなかったんです(苦笑)。撮影前に読んで、こんなに凄い作家がいるんだと驚きました。コアなファンが多くて、大変な人気なんですよね。諸星さんの作品、幾つか読みましたが、物凄く面白い。何だろう、独特な世界観を確立されていますよね。今回は脚本を先に読んだこともあり、早川監督が諸星さんの原作をどのような気持ちで読んだのか、どう脚本に仕上げていったのか、その心の流れに興味があって、原作も読んだわけですけどね」

 原作では東京が舞台となっていたが、冬の札幌でのオール・ロケだったことから、これまで映画化された「ヒルコ 妖怪ハンター」('91)、「奇談」(2005)といった諸星作品とはガラリと雰囲気が変わっている点にも注目なのだ。
「諸星さんの原作は湿度が高いというか、人間臭いというか、コミックを読んでいても、体温が伝わってくるイメージがありますよね。そんな原作を、早川監督が札幌で撮影したことで、札幌の持ついい意味でのドライな空気感、ドライな人間関係がスクリーンにも出ていると思います。札幌って歴史が新しい分、土着的なものを感じさせない、風通しのいい街なんですよね

 そんな一見クリーンな街で仁科は不自由なく暮していたはずだが、なぜか“壁男”が暮す別世界へと魅了されていく。壁中に文字を貼り付け、“壁男”とコンタクトをとろうとするシーンは異様だ。山南敬助もそうだったが、クールで優しい人間が次第に狂気を帯びていく様は、演技派俳優・堺雅人の面目躍如だろう。
「仁科は狂気に走りながらも、自分では狂っているつもりはないんですね。最後まで自分でしっかり手綱を握っている気でいるんです。ここで仁科はおかしくなりましたというシーンはないんです。ボクもこれまでいろんな役をやってきて、それぞれ違った役なんですが、これまで演じてきた役と仁科は全然違うかというと、そうではないなとは思いますね」

 山南敬助が現代人だったら、仁科みたいなタイプだったのかも等、観る側が勝手に想像するのも面白いだろう。さて、ここで変化球的質問をひとつ。堺雅人というと喜怒哀楽の表現を“笑顔”で演じることができる希有な俳優として知られているが、その爽やかな笑顔は演技用とプライベート用で使い分けられているのだろうか?
「そんなことないですよ(笑)。表現にラベリングして、演じたりはしてませんよ。演技のときも、意識して笑っているわけじゃないんです。ただ何故か笑ってしまっているということはありますね。照れたり、困ったりしているシーンで笑っていることが多いのかも知れません。でも決して自分で意識して、笑顔をつくっているわけじゃないんです」

 ワンバウンド気味のボール球同然な質問にも、笑顔で応じてくれるナイスガイ。役づくりのために脚本や資料を丁寧に読み込むのはもちろん、ロケ先にいろんな本を持ち込む読書家としても有名だ。今回の札幌ロケには、どんな本を?
「けっこう活字中毒なんです(微笑)。今回は冬の札幌ロケと聞いて、村上春樹の小説『羊をめぐる冒険』と続編の『ダンス ダンス ダンス』を持っていきました。『羊をめぐる冒険』は冬の北海道が舞台ですし、『ダンス ダンス ダンス』は壁抜けのシーンがありますしね。日常の尺度では計れない、もうひとつ別の世界があるのかも知れないという点では、今回の『壁男』と村上春樹の小説も無理にこじつければ共通しているかなと(笑)。でも、だからそれが演技の上でどう役に立ったのかと聞かれると困っちゃいますけどね」

 最後は「壁男」に話を戻そう。謎の存在“壁男”に仁科、そして響子は出会うことができたのか? 2人の行方はどうなるのか? ラスト・シーンは観る人によって、いろんな解釈のできるものとなっている。ちなみにインタビュアーは、地方で何となく出会った男女が、思いがけず掛け替えのない関係に変容していくディープな恋愛ストーリーに感じられたが…。
「それは面白い感想ですね。確かに一種の恋愛ストーリーとして観ることもできますね。自分の内面の深いところにある物語を相手と共有できたという喜びなのかも知れません。今回、演じていてホラー映画に出ているという気がしなかったんです。撮影中もそうだし、完成した今もそう。どちらかと言うとホラーよりファンタジーに近いかも知れない。原作者の諸星さんの見た幻想の世界なのかも知れないし、早川監督が思い描いた妄想の世界なのかも知れない。でも、それは直接、作品の魅力とは関係ないことだと思うんですね。観る人によってはファンタジーだったり、ホラーだったり、恋愛ストーリーだったり。ボクとしては、どういう風に観て欲しいというこだわりはありません。観たお客さんが自由に感じることができる不思議な作品になっていると思いますよ(微笑)」

 うーむ、最後まで実に爽やかなことよ。にこやかで、落ち着いていて、でも胸の奥には芝居への情熱を秘めて。あの山南敬助は、やはりこの人だから生まれたキャラクターなんだなと実感。しかし、それにしても、残暑を忘れさせるこの爽やかさは一体何だ。爪の先分だけでもいいから、分けてくれません?と思わず言いたくなるインタビュアーなのだった。

(取材・文/ライター長野辰次)


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