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2007.10.18(木)更新
【撮影現場レポート】
世にもおぞましき、狂気の“御茶漬”ワールド
劇場版「惨劇館」でアイドルたちが次々と餌食に!
【撮影現場レポート】世にもおぞましき、狂気の“御茶漬”ワールド劇場版「惨劇館」でアイドルたちが次々と餌食に!
オムニバスホラー「惨劇館」の一編『蟲男爵』の撮影現場。蟲男爵に捕われた少女・香織(松嶋初音)の運命はいかに? ロマンスグレーの怪人物・蟲男爵を演じているのは、往年の特撮ヒーロー番組「人造人間キカイダー」「イナズマン」に主演した伴大介。特殊メイクで顔が分からないのに、楽しそうでした!
【撮影現場レポート】世にもおぞましき、狂気の“御茶漬”ワールド劇場版「惨劇館」でアイドルたちが次々と餌食に!
現場で演出中の御茶漬海苔監督。撮影に追われつつ、漫画の締め切りとも闘うという驚異的な体力の持ち主。どういう基準で3つのエピソードを選んだのかを聞いたところ「まだ、誰も映像化していない新しい恐怖を扱ったつもり」とのことだ
【撮影現場レポート】世にもおぞましき、狂気の“御茶漬”ワールド劇場版「惨劇館」でアイドルたちが次々と餌食に!
『蟲男爵』に登場する蟲男爵の手下。一匹でも虫を殺すと蟲男爵の怒りを買うことになる。子供の頃に平気で昆虫虐待をしていた人間にとっては、背筋が凍るエピソードだ。3話とも非常に特殊メイクに凝っている
【撮影現場レポート】世にもおぞましき、狂気の“御茶漬”ワールド劇場版「惨劇館」でアイドルたちが次々と餌食に!
オープニングエピソードの『できもの』。花(花井美理)は幼なじみの孝志(深水元基)を自分ひとりのものにしたく、秘密のお札に願いごとをする。願いは叶うが、花の全身に不吉な“湿疹”ができてしまう
【撮影現場レポート】世にもおぞましき、狂気の“御茶漬”ワールド劇場版「惨劇館」でアイドルたちが次々と餌食に!
最後を飾る『日記』。父親に育てられた菊代(佐野夏芽)は、ある日父親の日記を盗み読み、母親(さち)が生きていて、自宅の隠し部屋に監禁されている驚愕の事実を知る。秘密を知ってしまった菊代も、恐ろしい目に… (c)2008 御茶工房/BAD TASTE(Photo by 岡本尚也)
【御茶漬海苔監督 プロフィール】
おちゃづけ・のり 1960年神奈川県川崎市出身。1984年「精霊島」で漫画家デビュー。当初はSF色の強い漫画を描いていたが、「ハローウィン」(朝日ソノラマ)にホラー漫画を掲載したことから、ホラー漫画家として著名になる。オムニバス・ホラー「惨劇館」は、全10巻に及ぶロング・セラーに。その他にも「姫」「恐怖実験室」「暗黒辞典」「魔夜子ちゃん」「恐怖テレビ」などの代表作がある。独自の美学を持った作風で、他のホラー作家たちに与えた影響は大きい。インタビューで語っていた子供時代のエピソードは「昭和金物屋物語」(笠原出版)として10月に出版されたばかり。「惨劇館 夢子」(2002)、「姫」(2003)は映像化されている。スタンリー・キューブリック監督やブライアン・デパルマ監督を敬愛し、これまで自主製作で「赤子」「ハッピーバースディ」「眠り姫」「魔女ミレーヌ」と短編ホラーを監督。2004年、第8回インディーズムービー・フェスティバル短編部門に出品した監督作「バスルーム」は準グランプリ受賞。さらにインディーズムービー・フェスティバル援助作品として「H-WAR」を監督。今回、劇場版「惨劇館」で念願の商業映画での監督デビューを果たす

STAFF&CAST
原作・脚本・監督:御茶漬海苔 撮影監督:栗山進太郎 特殊メイク:梅沢壮一 出演:『できもの』花井美理 トリコ 深井元基 『蟲男爵』松嶋初音 伴大介 高見綾子 青木秀加 森望美 『日記』佐野夏芽 さち 税所伊久磨 平山久能 特別友情出演:ビッグ錠 日野日出志 倉田よしみ(2008/バッドテイスト)
2008年劇場公開予定
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Jホラーとは異なる、御茶漬ホラー
満を持して劇場公開作の監督に挑戦


 この世でもっとも恐ろしい“御茶漬海苔”に、ついに触れてしまった。禁断の御茶漬ワールドをMovieWalkerでレポートする日がくるとは! 御茶漬海苔といっても、B級グルメの取材ではございません。知る人ぞ知る、ホラー漫画界のビッグネーム・御茶漬海苔氏が、念願かなって劇場映画の監督デビューを果たしたのだ。
 御茶漬海苔氏(以下、御茶氏)の描くホラー漫画は、単に血しぶきが飛び交うだけでなく、主人公たちが極限の恐怖に陥る状況や、意表を突く展開に徹底的にこだわった作品ばかり。日本ならではの土着的な怖さとは一線を画した、独自の乾いたスタイルを持ったホラー漫画家として評価されている人物。これまでも2004年のインディーズムービー・フェスティバルで自主製作の短編映画「バスルーム」が準グランプリに選ばれるなど積極的に自作の映像化に取り組んでいたが、今回は劇場公開用映画として、自身の代表作「惨劇館」の実写映像化に商業監督として挑んだ。

 映画「惨劇館」は『できもの』『蟲男爵』『日記』の短編3本からなるオムニバスで、それぞれ花井美理、松嶋初音、佐野夏芽と3人のアイドルが主演。グラビアや写真集で健康的なセクシーさを振りまいている人気アイドルたちが御茶監督の手によって、あられもない姿になってしまうのだ。ホラー・ファンならずとも、ドキドキしてしまうではないか。
 撮影は順調に進み、いよいよ都内での撮影は終了間近と聞き、現場に足を踏み入れた。この日は六本木のゴスロリバー「TRICK or TREAT」を使っての撮影。ゴスロリ少女たちが、蟲男爵の噂話をしているというシーンだ。お、いたいた。バラエティー番組でのユニークな言動が目立つ松嶋初音が、ゴスロリ衣装をまとって、蚊やゴキブリを殺すと現れるという蟲男爵の噂に内心おびえる場面の撮影中である。御茶監督は、近くでモニターをチェック中。深夜の撮影が続き、この3日間はほとんど寝てないらしいが、御茶監督はにんまりと微笑みながらモニターを覗いているぞ。映画撮影の喜びは、睡眠欲よりも勝るということなのか。

 現役の漫画家ゆえに、しっかり絵コンテを描いてスタッフに指示を出しているのかと思えば、特に用意してないらしい。あらら…。むしろ御茶監督は、カメラマンや出演者たちに自分の映像イメージを伝えながらの撮影を楽しんでいる様子。漫画家としての仕事は孤独な作業が多いから、映画のように多くのスタッフやキャストとわいわい打ち合わせながら進めていくのは面白いんだろうなぁ。日の傾いた店の外では、男性スタッフが朝食&昼食&夕食を兼ねた弁当をかき込んでいたり、蟲男爵の手下役の男優が「なんで包帯を解いたの? 2度手間でしょ!」と女性スタッフに叱られていたり…。いかにもインディペンデント系らしい、和気あいあいとしたムードで撮影は進んでいった。
スタンリー・キューブリックに捧げる
ねじれた愛が生み出した3つの惨劇


「すっごく楽しかったです。また呼んでください。お疲れさまでした〜」。テレビ番組の収録がある松嶋初音が、出演シーンの撮影を終え、ひと足先に現場を離れた。蟲男爵にギッタギタにされる役だというのに、この楽しげな表情はなんだ? パブリック・イメージを演じることを求められるアイドル業と違って、映画の中で別キャラを演じられるのは、格段の面白さらしい。その後、「TRICK or TREAT」の雑観など撮り終え、都内での主なシーンは無事に撮影終了。岩佐陽一プロデューサーから「せっかくですから、クランクアップしたばかりの監督の取材でもどうです」と誘われ、打ち上げに向かうスタッフとは別の居酒屋でプチ・インタビューをすることになった。

 さっきまではニコニコと元気に振る舞っていたのに、居酒屋の座敷に座ると、風船が萎んでいくようにうなだれていく御茶監督。あれま、緊張の糸が切れたらしい。そりゃ、3日間寝てないんだもんなぁ。「もう少しだけ、辛抱してくださいよ」と揺さぶる岩佐プロデューサーに対して、「眠い…」とつぶやく御茶監督。大丈夫か。え〜と、では漫画家である御茶氏が、どうして映画製作を?
「う〜ん…(少し目が開く)…。自分のね、漫画が映画になるとどんな風になるのか興味があるんですよ。映像表現を使うことで、どう変わるのか。やっぱり漫画と映画では表現手段が違うでしょ。だいぶ前から自主製作はしてるんです。面倒臭いから編集途中で止めたのもあるけど、短編は10本くらい撮ってるんですよ」
 商業作品で念願の監督デビューを果たしたわけですね。
「うん、自主映画のときは、スタッフは僕ひとりだったからね。僕がカメラ持って撮ってたんです。それに比べると、商業映画の監督は座ったままでいいから、楽だねぇ。カメラマンや特殊メイクのスタッフたちが、すごく頑張ってくれた。自主製作の頃より、格段クオリティーの高い作品になってますよ」

 ここまでは良かったが、運ばれてきたビールに口をつけると、こちらが全然質問していない方向へと話が転がっていくのだった。
「実は今、僕の子供時代のエピソードを漫画にしてるところなんです。金物屋の少年の話。すっごい感動作。映画にしたら、たぶん『三丁目の夕日』より泣けるよ」
 お〜、御茶監督の少年時代にホラーの原体験があったわけですね? それは「三丁目のホラー」みたいなものですか。
「いや、全然違うよ。ホラーは関係なく、単純に泣けるイイ話。実は僕は泣ける感動話が大好きなの。ぜひ、ハリウッドで映画化して欲しい。キューブリックに監督して欲しい」
 スタンリー・キューブリック監督は、1999年に亡くなっていますよ。
「でもね〜、キューブリック監督に僕の原作を映画化してもらうのが夢だったんですよ。『2001年宇宙の旅』(’68)は銀座の劇場で観たなぁ。僕の『惨劇館』には、まだまだ映像化されていないエピソードがいっぱいあるからね…」

 なるほど、御茶ワールドの乾いた恐怖は、キューブリック監督の「シャイニング」(’80)、「フルメタル・ジャケット」(’87)などに通じるのかも知れないな。と、無理やりまとめに入る自分。では、御茶監督にとっての一番の“恐怖”とは?
「それはね〜、愛ですよ。愛。今回の『できもの』『日記』は歪んだ愛が招いた結果の悲劇。『蟲男爵』も虫を愛する男が、愛する虫たちのために復讐をする話。どれも“愛”が引き金になっているんです。愛が一番怖いんです。愛ですよ。愛……」

 ここまで語ると、御茶監督は“白河夜船”に乗り込み、岩佐プロデューサーとインタビュアーを置いて、ひとり旅立ってしまった。夢の中で、キューブリック監督にクランクアップの報告でもしているのだろうか。まぁ、酒の席での取材だったので話半分で受け止めて欲しいが、「愛がいちばん怖い」という言葉は、何ともリアリティーが感じられるではないか。
 歪んだ愛が招くという、世にも恐ろしい“御茶漬”ワールド。あなたも一杯召し上がりませんか?

(取材・文/ライター長野辰次)



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