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2007.11.1(木)更新
【単独インタビュー】
ウチナーンチュによる初の純・沖縄県産品娯楽ムービー
映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」ができるまで
【単独インタビュー】
ウチナーンチュによる初の純・沖縄県産品娯楽ムービー
映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」ができるまで
井手裕一統括プロデューサー(右)と、「マサーおじいの傘」を監督・脚本した大城直也監督(左)。「マサーおじいの傘」の撮影は糸満市で行われ約1週間で撮り終えた。おじいの教えを受ける少年は糸満の撮影現場の近くに住む演劇経験のない小学生だったそう
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ウチナーンチュによる初の純・沖縄県産品娯楽ムービー
映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」ができるまで
3つの作品をナビゲートする沖縄喜劇の女王、仲田幸子。仲田ファミリーを中心とした、劇団でいご座の座長であり、現在も沖縄全県下で公演を継続。ウチナーヤマトグチ(沖縄方言と標準語を混ぜ合わせた言葉)が飛び交う舞台は、笑いあり涙あり。喜劇“結婚株式会社”などの作・演出を手掛ける他、舞台ビデオも多くリリース。公演には、ファンが長蛇の列を作る
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ウチナーンチュによる初の純・沖縄県産品娯楽ムービー
映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」ができるまで
第1話「See Me?」。清明祭(シーミー)という年中行事に参加してしまったバンド「ひじひじ」など、コミカルな登場人物が繰り広げるちょっと不思議なファンタジー
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ウチナーンチュによる初の純・沖縄県産品娯楽ムービー
映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」ができるまで
第2話「Happy☆Pizza」。ペルー出身の沖縄系3世のアーティストで、CMやライブで人気のアルベルトが主演。自らの曲に乗せて展開する、ピザ屋の店員の切なく可笑しい、ポップな物語
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ウチナーンチュによる初の純・沖縄県産品娯楽ムービー
映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」ができるまで
第3話「マサーおじいの傘」。1975年の糸満を舞台に、伝説の空手家といわれる、マサー文徳と少年のふれあいと成長を描く。カッチャンの名演が光る
[c]2007RYUKYUCOWBOYFILMS

【井手裕一 プロフィール】
1966年、沖縄県沖縄市生まれ。東洋大学を卒業後、都内の映像美術制作会社に入社。その後フリーに転身し、コマーシャルの美術デザイン助手、演出助手などを経て、1994年、故郷の沖縄で映像制作会社(有)あぐエンターテイメントを設立。2005年、社名を(株)シュガートレインに改称し、琉球カウボーイフィルムス製作 沖縄県産琉球映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」をプロデュース。株式会社シュガートレイン 代表取締役。琉球カウボーイフィルムス製作委員会統括プロデューサー

【當間早志 プロフィール】
1966年、沖縄県那覇市生まれ。琉球大学映画研究会で6本の自主製作映画を撮る。在学中に監督した8ミリフィルム映画「はれ日和」('88)は、桜坂シネコン琉映・ロキシーや、東京・渋谷ユーロスペース等で劇場公開。大学卒業後、映画「パイナップル・ツアーズ」(`92)の第3話「爆弾小僧」を監督。ベルリン国際映画祭ヤングフォーラムをはじめ、シンガポール国際映画祭、ハワイ国際映画祭、オルレアン国際映画祭など、数々の国際映画祭に招待され、1993年日本映画監督協会・新人賞を受賞した。2001年3月、発足当初から13年間所属していた「映画サークル ・突貫小僧」を退団。現在は、フリーでTVコマーシャルを中心に映像作品の演出を手がけている。「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」では1本目 「See Me?」を監督・脚本

【福永周平 プロフィール】
1974年、大阪府生まれ。その後、沖縄県那覇市で育つ。沖縄国際大学卒業後、FMたまんでのDJ、FM沖縄でのアルバイトを経て、1999年 沖縄映像センター入社。入社7年目、現在まで100本以上のローカルCMを手がける。その他、CM、VPなどに出演、ナレーターも勤める。初監督作「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」では2本目「Happy☆Pizza」を監督・脚本。2007年ジョージア州ローマ国際映画祭 短編部門正式出品

【大城直也 プロフィール】
1965年、沖縄県糸満市生まれ。東京スクールオブビジネスマスコミ広報学科卒業後、CMディレクターに。沖縄県内広告代理店、制作会社にて数多くのCMを手がける。2001年スコップディレクション設立。2005年より(株)シュガートレイン共同設立。初監督作「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」では3本目「マサーおじいの傘」を監督・脚本。2007年韓国プチョン国際ファンタスティック映画祭 正式招待作品

【STAFF&CAST】
監督・脚本:「See Me?」當間早志 「Happy☆Pizza」福永周平 「マサーおじいの傘」大城直也
出演:カッチャン 新良幸人 アルベルト 吉田妙子 藤木勇人 川満聡 津波信一 城間祐司 ジョニー宜野湾 奈須重樹 幸地尚子 新城愛理 桃原遥 真栄平仁 アリカワコウヘイ! 特別出演:仲田幸子 (2007/琉球カウボーイフィルムス)94分
■10月27日(土)より沖縄・桜坂劇場にて公開中、11月10日(土)よりテアトル新宿にて公開
>> 公式サイト
予告編[琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。]
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見たことない沖縄を描く
3つのコミカルなオムニバス


 毎年、沖縄を舞台にした数多くの映画が公開されているのを横目で見ながら、何か違和感を感じているウチナーンチュたち(沖縄の人)がいた。やがて彼らは“琉球カウボーイフィルムス”という県内初の劇映画プロダクションを立ち上げ、沖縄在住の若手映像作家を結集。資金集めに遁走する中、3つの短編作品を作り上げる。それがこのオムニバス映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」だ。
 いざ映画ができあがってみると、企画書しか読んでなかった企業や行政側は、その完成度にびっくり。さっそく沖縄振興開発金融公庫が出資を決定。ついに人材や機材だけでなく、県内の資本が活用されるという、初の“純・県産品娯楽映画”が誕生したのだった。

 まずは、今回の映画の仕掛け人、井手裕一プロデューサーにこれまでのいきさつを伺った。

井手「島の外から見た沖縄の良さってのはもちろん大切だから、沖縄が舞台の映画はたくさん作られて当然なんだけど、気が付くと“沖縄で沖縄の人が考えて作った映画”というものがない。毎日、僕らがこの島で住んで感じるのは、癒されるとかそれだけの世界じゃない、もっと面白いことがたくさんあるんですよ。島の中から見た沖縄の魅力ってのは、ウチナーンチュじゃないと作れないなと思ったんです」

 彼の周りにはすでに実力も技術も持った映像スタッフたちが集まっていた。しかし、作りたいという気持ちだけで動き始めては失敗する。やるなら全国の映画館で上映し、さらにお金になる映画を作ろうと。それには誰かがプロデューサーという立場で、全体を把握しなければならない。一番重要で大変なポストを井手が引き受け、2005年に計画はスタートした。  映画の興業については初めての経験だったが、いろいろな人に話を聞いてわかったのは“映画は作るよりも、売る方が難しい”ということだった。

井手「映画は劇場でかけるまでが大変なんだと初めて知って。製作現場にいたんで“売る”というシュミレーションが作れなかったんですが、沖縄から出てきた映画を、どうしても商品として売りたかった。それには、まず東京の劇場で上映が決まらなければ地方に行かないんですよね。で、テアトル新宿にずっとお願いしました」
 当初、映画はまだ完成していなかったが、1本完成しては東京に行き、結局、すべてが順調に動き出したのは、3作品全てが揃った、2年後の2007年だった。

井手「映画をビジネス、産業にしたいと思ってて、『映画好きが映画を作りました』とは違うということを、まず沖縄の人にわかって欲しかったんです。映画をビジネスにするシステムを沖縄にいる僕らが考えないとダメだということをアピールしたかった。もっと自分たちが主体的になって、売れたお金は沖縄に入ってきて、沖縄の利益になっていけば理想的だな、と思ったんです」
ディープな沖縄の根源に迫る
「手ぬ出じらー、意地引き」


 もちろん作品自体に厳しい目も注がれる。そんな3作品の中でも傑作と評判なのが大城直也監督の「マサーおじいの傘」だ。これが初の映画監督作。沖縄でも“ディープ”といわれる糸満市に実在した、伝説の空手家、マサー文徳と少年の心の交流を描いている。
 大城監督に映画化のきっかけを聞いてみた。

大城「じつは追い込まれてたどり着いたんですよ(笑)。ずっとCMを作ってたんですが、シナリオも書いたことがなくて、見様見まねで。1本目の『See Me?』を監督した當間早志監督に、どうかけばいいの? どのくらい書けば何分になるの?(笑)って聞きながら。テーマもなんとなく糸満というのはあったんですが、せっぱ詰まって図書館に行ったら、口承だけで伝えられた沖縄の昔話の本に、マサー文徳の話があったんです。もちろん僕も親父から話は聞いてたんですが、調べていくと面白くて」

 マサー役は、これ以上のハマリ役はないという“カッチャン”。70年代コザ(現在の沖縄市)、伝説のロックバンド、元コンディション・グリーンの中心人物だ。このアイデアは?

大城「今までいろんな映画に出てますよね。高嶺剛監督の『ウンタマギルー』('85)をはじめ、岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』(2001)とか。でもすべて、カッチャンそのもの。暴れん坊の(笑)。でもこの映画では、カッチャンの演技で“サムライの文徳”を演じてくれました。最初は意図通り動いてくれるかな、とか思ったんですが、話すとすごく協力してくれました。彼はアーティストだから、この動きはどういう意味かというのさえ伝えれば、演じてくれるんですよ。朝もちゃんと現場に来てくれましたし(笑)」

 CGによるアクション・シーンも取り入れ、笑えるギャグも満載。しかし、よく観ているとマサー文徳の存在自体が、沖縄の持っている根源的な文化と深く関わっているような気もする。

大城「沖縄では糸満アンマー(海人の妻たちである糸満の女性気質)と言われて、女性が強いっていうイメージがありますが、男の中にも寡黙な強さがあるんじゃないかと。マサー文徳はそのカッコ良さの象徴。自分が強過ぎるがゆえに、カッとなってはいけない。先手ナシ。人を殴れば自分自身を痛める事になる、という沖縄の言葉『手(てぃー)ぬ出(い)じらー、意地引き』というセリフでそのことを表わしています」
井手「基本的にマサーおじいもそうだけど、負けの美学みたいになものが、沖縄の中に絶対あると思うんですよ」
大城「だろうね」
井手「沖縄の歴史って全部、負けてるように見える。でも本当は負けてないじゃないですか。いつの間にか、敵のモノも全部もらっちゃってる、みたいな強さがある。それって僕らの中にもあるんですよね。したたかなんです(笑)」

 怒りを出すのではなく、いったん引いてみる。こうした沖縄持っている本質がキチンと根底に流れているこの映画は、まさにウチナーンチュ映画といえる。
沖縄喜劇の女王・仲田幸子
そのド迫力に爆笑必然!


 最後に、この映画でぜひ注目して欲しいのが、沖縄の喜劇の女王、仲田幸子だ。75歳の現役女優として、喜劇・人情劇で絶大な人気を誇る。
井手「超メジャー級の映画にも、出演を拒んできたスーパースターですからね。進行役として映画をまとめられるのは、仲田先生しかいないと必死で交渉しました。で、セリフはごく簡単なひと言なんですが、アドリブでどんどん広がっていって(笑)。カメラ回しっぱなし。で、そろそろいいでしょ、って言って、自分でOKを出して帰られました(笑)」

 その強烈なキャラには誰もが度肝を抜くハズ。今まで見た事がない琉球パワーが満ちあふれているこの映画を、ぜひ体験して欲しい。

(取材・文/ライター&イラストレーター温泉太郎)


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