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2008.5.14(水)更新
【合同インタビュー】
「山のあなた 徳市の恋」で草なぎ剛が盲目の按摩役に
ヒロイン、マイコと石井克人監督が語るほっこり裏話
【合同インタビュー】「山のあなた 徳市の恋」で草なぎ剛が盲目の按摩役にヒロイン、マイコと石井克人監督が語るほっこり裏話
「茶の味」(2003)の石井克人監督が清水宏監督の名作「按摩と女」に挑戦! リメイクならぬ、完全カバー・バージョンと謳うだけあり、脚本から、カメラアングルまで、ほぼオリジナルに忠実という試み。監督(写真左)はもちろん、ヒロインを演じたマイコ(写真右)も忠実に再現するべく研究に研究を重ねたそう
【合同インタビュー】「山のあなた 徳市の恋」で草なぎ剛が盲目の按摩役にヒロイン、マイコと石井克人監督が語るほっこり裏話
「美しい風景や日本画が好き」と語った石井克人監督。本作でも美しい日本の情景が映し出されほっこりとした気分にしてくれる
【合同インタビュー】「山のあなた 徳市の恋」で草なぎ剛が盲目の按摩役にヒロイン、マイコと石井克人監督が語るほっこり裏話
オリジナルで高峰三枝子が演じた美千穂役でスクリーン・デビューを飾ったマイコ。整った美貌に長い手足。どちらかといえば洋風な顔立ちなのだが、スクリーンで見せるその表情は純和風。訳あり美女を可憐に演じているぞ
【合同インタビュー】「山のあなた 徳市の恋」で草なぎ剛が盲目の按摩役にヒロイン、マイコと石井克人監督が語るほっこり裏話
山の温泉場で仕事に励む、盲目の按摩の徳市と福市。宿屋から呼び出された徳市は、美千穂という美女の療治をすることになる。やがて、なにかを恐れている彼女の様子を気にかけるうちに、徳市は淡い恋心を覚えてしまう
【合同インタビュー】「山のあなた 徳市の恋」で草なぎ剛が盲目の按摩役にヒロイン、マイコと石井克人監督が語るほっこり裏話
草なぎ剛扮する徳一の相棒、福市役には加瀬亮。新たなチャレンジがしたかったという彼は、オリジナルで日守新一が演じた福市を完全コピーすることに血肉を注いだのだそう
【合同インタビュー】「山のあなた 徳市の恋」で草なぎ剛が盲目の按摩役にヒロイン、マイコと石井克人監督が語るほっこり裏話
堤真一演じる温泉客、真太郎もマイコにほの字(?)。気になる人はぜひ劇場で
(C)2008 フジテレビジョン・J-dream・東北新社・東宝

【石井克人監督 プロフィール】
1966年、新潟県生まれ。武蔵野美術大学在学中に、小栗康平監督の映画の講義に触発され、映像の世界に目覚める。卒業後、CM制作会社に入社し、数多くのCMを手掛ける。94年、「8月の約束」がゆうばり国際・冒険ファンタスティック映画祭のビデオ部門でグランプリを受賞し、一躍注目を浴びる。その後、長編デビュー作となる、「鮫肌男と桃尻女」(’98)、続く「PARTY7」(2000)とヒット作を連発、続く「茶の味」(2003)も高く評価された。また、「Smap Short Films Music Power Go! Go! ダモン君の巻」(2001)、「世にも奇妙な物語 SMAPの特別編 BLACK ROOM」(2001)と、テレビでも話題作を発表したほか、ショートフィルムを集めたDVDマガジン「Grasshoppa!」の創刊や、テレビアニメ「ピロッポ」(2001〜2002)を監督するなど、その活動は、多岐に渡る。他作にオムニバス映画「ナイスの森」(2005)がある

【マイコ プロフィール】
1985年、シアトル生まれ。モデルとして活躍。資生堂のCM「新しい私になって」編に出演し話題となる。本作で映画デビューを果たし、オリジナル「按摩と女」(’38)で高峰三枝子が演じたミステリアスなキャラクターをしっとりと好演し注目を集める。待機作に玉山鉄二共演のラブ・ストーリー「カフーを待ちわびて」(2009年春公開予定)がある。今後の活躍が楽しみな若手注目株だ
>> 公式ブログ「マイコha-n!」

【STAFF&CAST】
監督・編集:石井克人 製作:亀山千広 脚本:清水宏
出演:草なぎ剛 加瀬亮 マイコ 堤真一 広田亮平 津田寛治 三浦友和(2008東宝)94分
■5月24日(土)より、アミューズCQN、名古屋ピカデリーほか全国東宝系にてロードショー
>> 公式サイト
>> 「山のあなた 徳市の恋」上映スケジュール
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盲目の按摩の淡い恋心を草なぎ剛が体現
石井克人監督の新境地とくと見よ!


 小津安二郎、溝口健二といった日本を代表する巨匠らが高く評価しながら、なかなかスポットが当たることがなかった清水宏監督。そんな彼が38年に発表した佳作「按摩と女」を、草なぎ剛を主演に迎え石井克人監督が完全カバーに挑戦した意欲作が「山のあなた 徳市の恋」だ。とある温泉場を舞台に、盲目の按摩・徳市とミステリアスな温泉客・美千穂が繰り広げる淡いロマンスが展開する。そこで本作の公開を前に、石井克人監督とヒロイン、マイコにインタビューを敢行! 製作裏話から、ほっこりエピソードまで心地良く語ってくれた。

 「茶の味」(2003)に引き続き昭和の和テイストの作品となった本作。というのも先輩・長尾直樹監督(「アルゼンチンババア」(2007))のこんな一言がきっかけだったという。
「『清水宏監督の作品にすごく似てるなぁ』と言われたんです。その時は、『それ誰ですか?』と思いましたけど、「簪」(’41)や「按摩と女」を観てびっくり、そこでは僕が撮ってみたかった世界が表現されているんですよ。しかも戦前に撮られていることを知って、なお衝撃で。ぜひこれをカラーで観たいと思ったのが出発点ですね」

 そこで石井監督が選んだ道は、完全カバー映画。脚本やセリフはもちろん、カメラワークや芝居の間、さらにはエキストラの動きまでオリジナルに忠実に撮りあげていった。
「当時の雰囲気みたいなものはそのまま残したいと思ってました。喋っている言葉や会話もすごくキレイだし、温泉場もそのままで。しいていうなら、音楽や音は全部変えたいと思いました。当時の技術では難しいことでも今なら可能ですから。
 いちばん苦労したのがカラーということですね。白黒のオリジナルを観た時から、僕の頭の中ではカラーに置き換えられていたんですけど、それがすごくキレイだったんですね。頭の中に思い描く世界をそのまま表現する。いちばん時間をかけたのは、その部分です」
「草なぎ剛さんは徳市マニアで
終わったシーンを延々練習してました」
(石井克人監督)


 監督がそこまでこだわり抜いた作品で、徳市が惚れてしまう東京から来たいい女、美千穂を演じるのがモデル出身のマイコ。なんと今回が女優デビュー作だというから驚きだ!
「最初は不安もありましたけど。撮影前に日本舞踊やお茶、着付などの所作を勉強したり、演技指導を受けたんですね。監督からは『100回ぐらいオリジナルを観て下さい』と。それでオリジナルを何度も何度も止めながらじっくり観て、当時・高峰三枝子さんが演じていたんですけど、ちょっとした細かい動きまで研究して演じていました。いちばん気をつけたのがイントネーションや間。何度も聞いて練習しました。
 撮影現場では、本当にみなさん良くして下さるので、楽しみながら演じることができました」
 ちなみに監督に聞いたところ、役が決まって1ヶ月ほどで彼女は美千穂になっていたのだそう。

 さて、劇中では旅で疲れた彼女の身体を按摩・徳市が癒す。その役作りは徹底的に行われたようだが、ここは本人に聞いてみるのがいちばん。ズバリ草なぎ剛のマッサージはどうだった?
「草なぎさんは撮影現場でもすごく勉強していました。もちろん気持ち良かったですよ(笑)」
 すると監督がこんなエピソードを。
「草なぎさんはやりだすとすごくのめり込む人なんですよね。もう撮影中は徳市マニアになっていて『OK!じゃあ次○○』と言ってる横で、なぜか、終わったシーンを延々練習している。そのぐらい徳市は好きなキャラクターだったみたいですね。
 冒頭のシーンもね。監督の僕が言うのもなんですが、引き(遠くから)で撮っている時は薄目開けてればいいのに、ちゃんと閉じて演じているんですよ。最初は崖が怖い怖いと言っていましたが、次第に慣れてきて障害物の避け方もなかなかでした」
「髪型は日によって変わっている
そんな部分も気に入ってます」(マイコ)


 舞台は戦前の日本なのに、美千穂は着物も髪型もみんなお洒落。演じた本人も新鮮だったと振り返る。
「着物もアンティークなものだったり、髪型も毎回1時間ぐらいかけてセットしていたんですよ。特に髪型は日によって変えているんですね。私はそういう部分もすごく気に入っていて、今観ても新鮮だと思うんですね。そうそう今回初めて黒髪に染めたんですけど。新鮮でした」(マイコ)

 だが、着物(正確に言えば下駄)ゆえに苦労したシーンもあった。
「下駄で河原を走るシーンがあったんですけど、河原ですから足もとが悪くて足首がいろんな方向へ(笑)。ちょっと苦労してしまいました。でも、自然がキレイなんですよね。癒されましたし、ロケーションに助けられたのは大きかったです」

 撮影中は、草なぎが率先して撮影隊を盛り上げていたという。それがこのエピソード。
「いきなりスタジオの前にラーメン屋さんが現れたことがありました(笑)。草なぎさんが呼んでくれて『みなさん好きなだけ食べて下さい』って。バーベキュー・パーティーの時は香取慎吾さんがわざわざ作りに来てくれて。あれはスタッフ、キャストともにモチベーション上がってましたね」
と石井監督。マイコも嬉しそうに続ける。
「バーベキューは撮影の後半だったんですけど、みんなでおいしく食べて、お酒も飲んで、たくさん話せて楽しかったです。そこで初めてお話する人とかもいましたよ」
 なんとも刺激的な撮影の日々だったに違いない。

 最後はマイコに完成した映画を観た感想と見どころを語ってもらった。
「現代に生きる人たちが忘れかけている人間同士の思いやりや、淡い恋心は、とっても素敵なことだと思うんです。それに今観ても新鮮で美しくって、私自身何度も観たくなる映画になりました。ぜひ映画を観て何か感じてもらえると嬉しいです」

 彼女がそうアピールする「山のあなた 徳市の恋」は、盲目の徳さんがマッサージで温泉客の疲れを癒すように、観るものの心をもじんわりとほぐしてくれる。しかもこの作品“心の入浴料”¥1000均一(一部劇場を除く)と、かなり大盤振る舞い! ぜひ手ぬぐい片手に心の入浴をお試しあれ。

(取材・文/ライター 大西愛)
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