 |
|
| 本作で監督・脚本・製作・音楽・編集・主演と6足のわらじを履いた才女ジュリー・デルピー。受け答えもウィットに飛んでいて、クレバーさがひしひしと伝わってきた |
|
 |
|
| 鮮やかなコバルトブルーのワンピースとレギンスがパリのエスプリを感じますな |
|
 |
|
| 女流写真家マリオン(ジュリー・デルビー)がベネチア旅行帰りに、アメリカ人の恋人ジャック(アダム・ゴールドバーグ)と共にパリの実家に立ち寄る。すると、ジャックはマリオンの両親の奔放さに引き、さらに元彼といまだに親しくする彼女の様子にやきもきする |
|
 |
|
本作では、カルチャー・ギャップと共に♂♀の感覚のギャップを存分に楽しんで ■「パリ、恋人たちの2日間」は5月24日(土)より恵比寿ガーデンシネマ、新宿ガーデンシネマほかにて公開 |
|
 |
|
【ジュリー・デルピー プロフィール】 1969年、フランス・パリ生まれ。両親は舞台俳優。フランス語、英語、イタリア語を操り、女優・歌手・脚本家として、ヨーロッパやアメリカで多彩に活躍。ジャン=リュック・ゴダール監督「ゴダールの探偵」(’85)、レオス・カラックス監督「汚れた血」(’86)、クシシュトフ・キエシロフスキー監督「トリコロール 白の愛」(’94)、ロジャー・エイバリー監督「キリング・ゾーイ」(’93)など、名だたる監督たちと仕事をした経験は、後の彼女の監督業に大いに影響を及ぼす。ゴダールと働いたことでインスピレーションを受けたジュリーは、1992年から1993年にかけてニューヨーク大学の映画・脚本科で学び、主席で卒業している。1994年には短編「Blah Blah Blah」を監督し、サンダンス映画祭とテルライド映画祭に出品している。他にも、「パッション・ベアトリス」(’87)、「ボイジャー」(’91)、「僕を愛したふたつの国 ヨーロッパ ヨーロッパ」(’90)ほか多くの出演作がある。近年は、主演を果たした「ビフォア・サンセット」(2004)で、イーサン・ホークやリチャード・リンクレイターと共にアカデミー賞脚色賞にノミネートもされた実績を持つ。近作は、ジム・ジャームッシュ監督・脚本の「ブロークン・フラワーズ」(2005)、ラッセ・ハレストレム監督の「The Hoax」(2006)、「The Air I Breathe」(2007)などがある。また、自身の最新監督作「The Countess」(2008)では、ウィリアム・ハート、ビンセント・ギャロ、ダニエル・ブリュールらと共演。その一方で、シンガーソングライターとしても活躍。2000年には、自身の名前がアルバム名の「ジュリー・デルピー」をリリース。その中で3曲を「ビフォア・サンセット」に提供している。本作でも音楽を担当している
STAFF&CAST 監督・製作・脚本・音楽・編集・出演:ジュリー・デルピー [出]アダム・ゴールドバーグ ダニエル・ブリュール アルベール・デルピー マリー・ピレ アレクシア・ランドー(2007仏.独/アルバトロス・フィルム)101分・PG-12

>> 公式サイト |
|
MovieWalker「予告編・動画」一時閉鎖のお知らせ |
|
|
|
|
| MovieWalkerレポート TOPへ |
|
|
|
「今回取り組んだのは、恋人たちの別れという シリアスなものをいかにコミカルに描くか」

かつて、レオス・カラックス監督の「汚れた血」(’86)では儚げな美少女、リチャード・リンクレイター監督の「恋人までの距離(ディスタンス)」(’95)では流暢な英語で議論を交わす知的な美女──スクリーンで見る女優ジュリー・デルピーの印象はいつも鮮烈だった。さらに「恋人までの距離(ディスタンス)」のその後を描いた「ビフォア・サンセット」(2004)では、共同脚本を手掛けアカデミー賞にもノミネートされるなど多才さを見せつけた。 だから、彼女が映画監督として「パリ、恋人たちの2日間」を撮ったと聞いてもファンは別に驚かないだろうし、いずれは映画を作る側に回るのも予想できたことかもしれない。
「あくまでも面白おかしいコメディを撮ろうと始まった企画。自分が非常に面白いと思うテーマだし、恋愛をテーマにしてずいぶん前から書こうと思っていたストーリーなの。48時間という2日間の間に恋人たちが別れる──別れというシリアスなものをいかにコミカルに描くかというのが今回私が取り組みたかったこと」とデルピーは語る。
「コメディの中のシニカルな部分や政治的な部分は、自分としては重要視しているもの。普通ラブコメというと、ある種コード化された形があると思うの。例えばエッジの効いたセリフや政治的なコメントは御法度。私はその要素を入れることでラブコメのコードを壊したかった。実際に自分の私生活では政治的なテーマでいろいろな人と話をするのは必要不可欠なことだし、あえてそういう部分を残したのよ」とも。ラブ・コメディへのこだわりを力説した。
「恋人までの距離(ディスタンス)」「ビフォア・サンセット」製作時から本作の企画がずっと頭にあったというデルピー。今回、彼女は監督・脚本・製作・音楽・編集・主演と実に6役をこなしている。その才能にも驚かされるが、映画に向ける情熱やパワーにもすごいものがある。その原動力はどこから来ているのだろうか。
「自分の中では長い間ずっと映画を作りたいという気持ちがあったのに、なかなか実現できなかった。その苦しい体験すべてがエネルギーとなったの。自分の“苦痛”というか、力のなさ、悩み、不安定な感情が溜まってエネルギーに転換されたのかな」 じっくり考えて答えた後で、デルピーはこう付け加えた。 「長い間、女優として活動してきたけれど、どうしても自分の思い通りにならないことがあった。諦めたこともある。私の言う“苦痛”というのはそういうこと。戦争に行って戦ったという“苦痛”ではなくて、自分のしたいことができなかったという“苦痛”なの」 |
|
「男と女は水と油のようなもの。中和して 本当に混ざり合うことはないと思ってるの」

本作はあらかじめ演じる俳優を想定して脚本が書かれたという、いわゆる“アテ書き”して撮られた映画。主人公マリオンの両親役は、デルピーの実の両親が演じている。
「両親の起用はシナリオ段階ですでに想定していたの。両親は、舞台で40年の演技経験がある人たちで、彼らに見合う配役を作ろうと思っていたわ」
また、デルピーと私生活で噂になったこともある相手役のアダム・ゴールドバーグについて、彼女は楽しそうに笑いながら答えてくれた。
「アダムはすごく力量のあるコメディアンと常々思っていたの。本当に哀しげなピエロの役がぴったり。彼がイジメられればイジメられるほど、不幸になればなるほど、見ている人には面白おかしく見えてしまう。ちょっとノイローゼ気味のニューヨークのユダヤ人というか、そういうものを持っている。ウディ・アレンに似ているという人もいるけど、ウディ・アレンよりかっこいいかな(笑)。とてもかわいらしい人」
なお、デルピーによれば、アダムは“自分の体がとても好きな見せたがり”とのこと。それって要するにナルシストってことですか?(笑)
と、ここまでは彼女のウィットに富んだ受け答えのおかげで、笑いの絶えないインタビューだったのだが、話題が男女の愛情について及ぶと一転して、デルピーは真面目な表情に。
「人生は長い長い苦痛の連続だと思う。恋愛や愛情という部分で人間が本当にハッピーになれるのかわからない。私がハッピーだなあと確信を持てるのは仕事を通して。愛情を通してハッピーだなあと思うのは難しい。男と女は水と油のようなもので、中和して本当に混ざり合うことなどないと思っているの。体同士を重ねたときに混ざり合うと思うのかもしれないけど、その時、両方の体にはそれぞれ損傷も与えている。だから、本当に一致するかどうかは疑問よね」
うーむ、辛辣なご意見。しかし、男女の愛についてシビアな彼女だからこそ、シニカルでシャープかつ上質なラブコメを撮れたのかもしれない。
「ハッピーだなあと確信を持てるのは仕事を通して」というデルピーの言葉は、本作にも映画への愛情として表れている。例えば、主人公の飼っている猫の名前はジャン=リュック。これは、ジャン=リュック・ゴダール監督への目配せだと彼女は言うし、ベルナルド・ベルトルッチ監督の「ラストタンゴ・イン・パリ」('72)をアダムが真似するシーンもある。
また、多くの映画では文字ばかりで退屈なエンドロールには、彼女自身による落書きが散りばめられ、最後まで“デルピー印”の作品に仕上がっている。
ちなみに、この落書きについて聞いたところ、インタビュー中にもかかわらず彼女はメモを手に取り、男女が重なり合っている下ネタちっくな絵を描いてみせて、取材陣を大いに笑わせてくれた。素顔の彼女はラブコメのヒロインそのままに、気さくな人柄がうかがえたのだった。
監督としてコメディエンヌとして、ジュリー・デルピーの才能がスクリーンから溢れる「パリ、恋人たちの2日間」。公開は5/24(土)から。
(取材・文/ライター清水千佳) |
|

|
|

|
|

|
|