舞台は義理人情があったかい“築地” 魚河岸の世界に飛び込んだ男の奮闘記

人生の岐路に立たされたエリート商社マンが、義理と人情にあふれた魚河岸の世界に飛び込み奮闘する姿を描いた「築地魚河岸三代目」。公開を前に、大沢たかお、伊原剛志、伊東四朗の3人が、名古屋市中央卸売市場で映画の魅力をアピール。役作りから撮影裏話までたっぷりと語ってくれたぞ!
原作は「ビッグコミック」(小学館)にて連載中の人気コミック。大沢たかおが演じるのは商社マンの赤木旬太郎。ひょんなことから恋人(田中麗奈)の実家である築地魚河岸の仲卸店「魚辰」を手伝うことになる。奇しくも父方の祖父母が築地で仲卸業を営んでいたことを教えてくれた彼。その縁は役作りにも反映されている。
「祖父は70歳まで市場で魚を扱っていました。話を聞くと祖父も祖母もすごくエネルギッシュで、僕はそんなふたりを影で『鉄人』と呼んでいたんです(笑)。やっぱり市場で働いていると、すごくいい目をしていて人情味溢れる素敵な顔になるんですよね。だから話を聞いた時、自分の祖父や祖母のことを思い出しましたし、そういう部分を演じる上で大切にしていました」
一方、築地市場屈指の魚の目利き持ちで「魚辰」を支える英二に扮した伊原剛志は、包丁捌きの練習を重ねたのだとか。
「僕自身は料理が全くできなくて包丁もほとんど触ったことがなかったんですけど、松原信吾監督から『英二には包丁捌きが絶対必要!』と言われましたので、家で必死で練習しました。最終的にはアジの3枚おろしやヒラメの5枚おろしができるようになったので、その包丁捌きを観て欲しいと言いたい所なのですが……、残念ながら今回は背中しか映っていません(笑)。でも続編では、包丁捌きも撮って下さるとのことなので、マイ出刃包丁でも買おうかなと思っているところです」
とユーモアたっぷりにコメント。彼が語るように早くも続編の撮影が決定しているんだそう。
そんな三代目世代のふたりを見守るのが「魚辰」の二代目・徳三郎を演じた伊東四朗だ。
「私は二代目ということなので、このふたりに魚の捌き方や競りの仕方を教えたという設定なのですが、そういうシーンは一切ありません。なので今回は何も仕込まず芝居だけで乗り越えさせていただきました(笑)」 |
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「仕事を超えて居心地のいい現場でした」 (大沢たかお)

物語の舞台となるのは活気みなぎる“築地”。今回は、築地市場の全面協力のもと、実際の市場にて撮影を敢行したのだそう。
「市場で撮影していると『今日、ご飯食べに行こうよ!』とか、普通にみなさん喋りかけて下さるんですよ。まるで家族みたいに受け入れてくれるんですね。それが嬉しくて。嬉しくて。仕事を超えて居心地のいい場所でした」(大沢)
「僕は撮影に入るまで、(一般の人が)築地の市場に入れることすら知らなくて(苦笑)。僕のマネージャーの実家が、築地で魚河岸をしているというので撮影前にいろいろ見させていただきました。その時、そこの二代目から『伊原さん、何か気づきませんか? ここにハエっていないですよね』と言われまして。その時は他にいるだろうと思っていたんですけど。撮影中、一度もハエを見ませんでした。それを聞いたら、日頃から各店が徹底してやっているって話を聞きまして、さすがプロだなって思いましたね」(伊原)
劇中で印象的なのが、市場を行き交うターレー(ターレットトラック)。荷役用の運搬車なのだが、そのエピソードがなんとも微笑ましい。
「ターレー? 随分乗りました。面白かったですよ。あれはね、市場内を走るとすごく速いんですよ。ところが公道とか、銀座の街中を走ろうとするとものすごく遅くて。伊原さんと一緒に乗るシーンもあるんですけど、『遅すぎるんじゃないか?』という話になりまして、その場で担当スタッフとミーティングが始まりました(笑)」(大沢)
「確かにターレーは遅いですよね。でも台本には、突っ走るって書いてあるんですよ。それが結構ウケましたけどね。あと築地でのロケ撮影以外に、セットでも撮っているのですが、見事なまでに築地と同じセットが組まれていたんですよ。どこでセットに変わったのか、お分かりにならなかったでしょ? もうそれこそ見えないところまで本物そっくりに作ってありました。これには私もビックリいたしまして、魚もね全部本物ですから。遠くのも全部。映画を撮る上でこういうこだわりって大切なんだなと思いながら仕事をしておりました」(伊東) |
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「英二には○○しかいないと確信しました」 (伊原剛志) 「ラブシーン?そういえばありましたね」 (伊東四朗)

さて、本作のもうひとつの見どころが三者三様のラブ! 3人にその感想を語ってもらった。
「僕は田中麗奈さんの恋人役をやらせて貰ったんですけど、撮影前までは、素直でかわいらしいイメージのほうが強かったんですね。ところが実際に芝居をしてみると、大人の色気もある素敵な女優さんで。楽しく共演させていただきました」(大沢)
「英二はですね。○○が好きなんですけど、実は○○を演じた△△さんとは、以前にも共演したことあるんです。でも、久々に彼女を見て、やっぱり英二には○○しかいないと確信しました」(伊原)
「そういえばそういうシーンもありましたね。私、すっかり忘れてました。橋の上を歩くシーンがそうなんですけども、きっと相手の女優さんは、あまりの年齢差にガックリきていたんじゃないかな(笑)」(伊東)
とユーモアあふれるコメントで会場を沸かせたお三方。ちなみに英二の相手はネタばれになっちゃうので、伏字に。ぜひ、劇中でご堪能あれ! |
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最後は、大沢たかおが映画をビシっとPR。
「理不尽なことを理不尽と言ったり、自分の大切な人のためになりふり構わず突き進んだりする心は、世代や性別を問わず誰もが持っているもの。でも、それを行動に移せるかといえば、なかなかできなかったりする。でも今回赤木旬太郎という役を通して、ぶつかりあう大切さを痛感しました。そして、元気で明るい映画なので『楽しくわきあいあいと撮影してそう』と思われがちなのですが、人を笑わせるモノというのは意外なほど真剣勝負なんですね。だから細かいことまでリハーサルをしてしっかり確認していたし、徹底してやっていました。それこそ魚ひとつとっても、見えないとこまで本物だったし、市場を舞台にしているのだから魚は常に新鮮に見えないといけないので、スタジオの室温も下げてました。そういう心意気を感じていただければ嬉しいです」 |
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(取材・文/ライター 大西愛) |