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2008.6.6(金)更新
【動画・単独インタビュー】
ジュリアン・ムーアが母子のタブーを演じる「美しすぎる母」
トム・ケイリン監督が美しくも哀しい物語の美学を語る!
【動画・単独インタビュー】ジュリアン・ムーアが母子のタブーを演じる「美しすぎる母」トム・ケイリン監督が美しくも哀しい物語の美学を語る!
本作のメガホンをとったトム・ケイリン監督。映画監督、脚本家、プロデューサーと多彩に活躍する一方で、現在、ブラウン大学、イェール大学、カリフォルニア・インスティテュート・オブ・アーツを経て、コロンビア大学芸術学校の映画部門における准教授にも就いているという知性派だ!
【動画・単独インタビュー】ジュリアン・ムーアが母子のタブーを演じる「美しすぎる母」トム・ケイリン監督が美しくも哀しい物語の美学を語る!
アメリカ・オークランドで息子が実の母親を刺し殺したという1972年に実際に起こった事件をモチーフにした衝撃作。劇中、母親役のジュリアン・ムーアが着こなすシャネルやジバンシーなどのビンテージもののファッションも粋!
【動画・単独インタビュー】ジュリアン・ムーアが母子のタブーを演じる「美しすぎる母」トム・ケイリン監督が美しくも哀しい物語の美学を語る!
繊細な息子役に、「グッド・シェパード」のエディ・レッドメイン。母親を愛しつつも憎しみを抱いていくという複雑なキャラクターを体現
【動画・単独インタビュー】ジュリアン・ムーアが母子のタブーを演じる「美しすぎる母」トム・ケイリン監督が美しくも哀しい物語の美学を語る!
■「美しすぎる母」は6月7日(土)よりBunkamuraル・シネマほかにて公開
[c]Lace Curtain, Monfort Producciones and Celluloid Dreams Production
【トム・ケイリン監督 プロフィール】
1962年米シカゴ生まれ。1984年イリノイ大学で絵画の美術学士号を、1987年にザ・スクール・オブ・ジ・アート・インスティトゥート・オブ・シカゴで写真とビデオの美術学修士号を取得。1988年ホイットニー美術館のインディペンデント・スタディ・プログラムで研究生として学ぶ。 1992年に脚本も手掛けた「恍惚」で映画監督デビューし、サンダンス映画祭に公式出品され15ヶ国以上の国で公開され、ベルリン映画祭カリガリ賞、teddy賞、ゴッサム賞オープン・パルム賞、ストックホルム映画祭国際批評家連盟賞、インディペンデント・スピリット賞監督賞と新人作品賞などを受賞。ほかにシンディ・シャーマン監督作「オフィスキラー」(’97)でも脚本を手がけた。一方、プロデューサーとしても、「恍惚」で共同製作。また現在、ブラウン大学、イェール大学、カリフォルニア・インスティテュート・オブ・アーツを経て、コロンビア大学芸術学校の映画部門における准教授にも就いている

【STAFF&CAST】
監督:トム・ケイリン 原作:ナタリー・ロビンズ スティーブン・M・L・アロンソン 出演:ジュリアン・ムーア エディ・レッドメイン(2007スペイン.仏.米/アスミック・エース)97分・R-18
>> 公式サイト

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「原作を読んでから撮影まで、ベークランド
一家に完全に取りつかれていましたね」


 1972年のアメリカ・オークランドで息子が実の母親を刺し殺したという事件があった。トム・ケイリン監督「美しすぎる母」は、その実際にあった事件を映画化し、母と息子の愛憎という禁断のテーマを美しくも哀しく描ききった衝撃作だ。

「ベークランド一家に完全に取りつかれていましたね」
 本作のモデルである上流階級の名門ベークランド一家について、監督はそう語る。

「このストーリーはさまざまな可能性を持ったところから始まって、美しさをはらみつつ進行する悲劇です。原作を読んでいる時もでしたが、実は映画を作っている時も、次に何が起こるのかわからないような感じでした」

 映画では、新人俳優エディ・レッドメイン演じる息子が、ジュリアン・ムーア扮するエキセントリックな母親に愛情あまって憎悪を抱くようになる過程がゆっくりと描かれ、先の読めない母子関係に最後までドキドキさせられる。
 特にジュリアン・ムーアはまさにタイトル通りの“美しすぎる母”を見事に演じ、監督も彼女の演技を絶賛している。

「今回のジュリアンは今までで最高の演技だと思っています。俳優としての彼女は頭で考えて演技するタイプではなくて、本能で演じるタイプ」

 監督とジュリアンは撮影の1年前からランチを共にしたり、メールや電話でコミュニケーションをとりながら、本作や役柄について話を重ねたそうだ。

「監督が俳優にできるのは、衣装選びやセット選びなど、演技のできる環境を作ってあげること。それは俳優にとってとても大切なことで、ドレスを身に着けて初めて役の気持ちがわかるということもよくあります。今回のジュリアンもそうでした。
 例えば、ジュリアンが空港のシーンで着ている赤いドレス。これはジバンシーの1960年代のビンテージものなんですね。『絶対に空港のシーンで着るべきよね!』と僕とジュリアン2人で納得していたのに、周りの人たちからは『(そんなに貴重なものを)本当に着るんですか!?』みたいな反応もあったんですけど(笑)僕としては『絶対これにします!』ということで着て演じてもらいました。多くの彼女の演技は、本能に基づいたものです。
 もうひとつ、女優ジュリアン・ムーアについて言うならば、今までは『エデンより彼方に』(2002)など内省的な役が多かった。でも同時に彼女は、内側に怒りをためてそれを爆発させるような役も、ナルシスティックな役も演じられる。本作を通してそういった彼女の魅力も見せられたんじゃないかなと思います」
「大切なのは、母子だと観客が思える俳優
をキャスティングすることでした」


 ジュリアン・ムーアのまとうクラシカルな衣装を始め、ファッションひとつひとつが登場人物の内面の変化を感じさせる本作。特に、息子アントニー役のエディ・レッドメインがラスト・シーンで着ている細身のスーツが印象的だ。上質なスーツを着こなすエディの佇まいは本当に美しい。

「アントニーの変身を見せるというのが大切なことで、観客が初めて見る彼は、白いシャツにカーキのパンツですごくカジュアルです。でも、ラストに近いシーンでは、それまでと全然違います。スーツを着ていて、髪の分け目もわざわざ反対にしているんです。彼が変わったということを見せるために。仕草もまったく違うんですよ。ソファの座り方であったり。
 僕としては、まるでミイラのように洋服にくるまれている2人の人間というイメージがあって、(母子に)ああいう格好をさせているんです。悲劇的な儀式の前で正装しているように見えますよね」と監督。

 監督いわく、母子を演じるジュリアンとエディは「実在した2人にとてもよく似ている」とのこと。

「2人とも赤毛でよく似ていて、写真を通してそれぞれキャラクターの役作りをしたと思いますし、実際に最後のシーンの撮影では、2人がソファに座った写真を見たエディのリクエストで、同じようにソファに座って撮影したんです。
 何よりも大切なのは、母子だと観客が思える俳優をキャスティングすることでした。そうじゃないと、終わりが成立しなくなってしまう。それで、観客と同席して映画も見ました。観客の反応から、母子だとみなさんが信じられる配役ができたと確認できたので、とてもよかったです」

 話がベークランド母子のこととなると、俄然言葉に熱を込める監督。映画が完成した今もなお、ベークランド一家に取りつかれているような……。
 上流階級を描いた華やかな映像と、監督ならではの退廃美に彩られた本作。静かな狂気に蝕まれていく母子から最後まで目が離せない。見ればあなたもベークランド一家の物語の虜になってしまうかも? 「美しすぎる母」は、6月7日(土)より公開。

(取材・文/ライター清水千佳)



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