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| 「インスタント沼」で主人公ハナメ役を演じる麻生久美子。「時効警察」の三日月しずかは常識人が次第に“時効管理課”の人々の奇妙さに染まっていくお話だったが、今回のハナメは元気で行動的だけど、最初から“ちょっと変?”な女性です |
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| 風間杜夫とともに、すごい髪型になっていた加瀬亮。「三木聡監督はリハ段階では自由にやらせてくれる。撮りたいものがハッキリしていて、迷いのない、いい監督だなと思います」とコメント。ちなみに加瀬は学生時代にロケ現場の近くにある店でアルバイトしていたそうだ |
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| ロケセットの奥でキャストの表情や間の置き方を細かくチェックしていた三木聡監督。前作「転々」で新しい方向性への予感を感じさせていたが、オリジナル脚本作である「インスタント沼」でどんな新境地を見せてくれるのだろうか? |
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| 横浜市の黄金町に建てられたロケセット「電球商会」の外観。三木監督は「子供の頃、近くの井土ケ谷という街に住んでいたので、ここらへんはボクにとって庭みたいなところ。街そのものや暮らしている人たちにパワーがある」と語っている |
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| 「電球商会」の内観。ヘンテコな骨董品が山積み状態。人によっては価値があるが、別の人にとっては無価値な骨董品は、すごく三木監督チックな小道具と言える。右上にある「曼荼羅絵図」は、偶然だが加瀬亮のデビュー作「五条霊戦記」(2000)の美術品だそうだ |
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| もう説明するのも無意味な、インチキ臭い三木ワールドならではの美術品の数々がロケ現場に並んでいた。黒澤明監督の「天国と地獄」(‘63)でアヘン窟として描かれていた黄金町が、ますます妖しい場所に… |
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【STAFF&CAST】 監督・脚本:三木聡 出演:麻生久美子 風間杜夫 加瀬亮 松坂慶子ほか(角川映画、アンプラグド)

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三木監督の地元・横浜で快調にロケ 麻生久美子が、ついに三木映画に主演

お楽しみは、沼の底で静かに進行していた。2007年にビターテイストの「図鑑に載ってない虫」とスィートテイストの「転々」の2作品が公開されたコメディの奇才・三木聡監督。6月には深夜ドラマ「週刊真木よう子」(テレビ東京系)の大トリを飾ったが、いよいよ新作長編映画のプロジェクトが始動した。
タイトルは「インスタント沼」。三木監督らしい、思わず「はぁ〜?」と聞き直したくなる珍名だが、「亀は意外と速く泳ぐ」(2005)、深夜ドラマ「いい感じに電気の消える家」(フジテレビ)など、三木監督の変なタイトルの作品は面白すぎて感動すら覚えてしまうことは、すでに実証済み。変なタイトルになればなるほど、ワクワクしてしまう非常に貴重な監督なのだ。
しかも、今回は「時効警察」(テレビ朝日系)のヒロイン・三日月しずか役でおなじみ麻生久美子の主演作となる。最近の麻生は、「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」での元ヤンキー妻、現在公開中の「純喫茶磯辺」でのヤリ●ン美女、「たみおのしあわせ」でのオヤジキラー…と実に味のあるコメディエンヌぶりを披露。9月20日(土)公開の北野武監督作「アキレスと亀」では主人公・真知寿(柳憂怜)を支える唯一の理解者・幸子役でラブロマンスを演じている。昨年末には入籍し、公私ともに絶好調状態。これは期待するなという方が無理でしょう。
7月15日、京急線に乗って、ロケ地である横浜市黄金町を訪ねた。神奈川県出身の三木監督は、川崎ロケの「ダメジン」(2006)、三浦半島ロケの「亀は意外と速く泳ぐ」「図鑑に載ってない虫」…と地元ロケがお好きな方だ。かつて特殊飲食店街として各国の美女たちがセクシーさを競い合っていた黄金町は、今なお独特の風情の残る街。さらに夏の暑さと撮影現場の熱気と夕暮れ時の妖しげなムードが混然となって、何ともミステリアス。
配給&宣伝のアンプラグド社からもらったリリースによると、出版社をクビ同然で退職したジリ貧OLのハナメ(麻生)は遠い親戚にあたる電球(風間杜夫)の経営するヘンテコな骨董屋 「電球商会」を訪問。そこでヘンテコな人、ヘンテコな事件に遭遇するらしい。
黄金町駅を降りて歩いていくと、確かにヘンテコな骨董屋の看板セットが見えてきたではないか。 |
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演技派俳優・加瀬亮と風間杜夫の 髪型が、ものすごく大変なことに

骨董屋「電球商会」のロケセット前に到着。ハナメが最初に知り合うモヒカンヘアだけど気のいい青年・ガスを演じる、加瀬亮からコメントがもらえるとのことで、さっそく取材開始。ただしセット内では本番中なので、ボソボソ声で。
加瀬さん、すごいヘアですねぇ(取材記者一同、加瀬亮の直立ヘアを見上げる)。
加瀬「このヘア、セットするのに1時間かかりました(笑)。最初は試行錯誤して2時間かかってましたけど。台本では髪が立っていると書いてあるだけで、現場に来て騙されたって感じですね(苦笑)」
三木作品は「図鑑に載ってない虫」みたいなブラックなコメディもあれば、「転々」のようなホロリとさせるものもありますが、今回の「インスタント沼」はどっちの作風なんでしょう?
加瀬「どっちなんでしょうか(笑)。いやぁ、脚本を読んでも分からないんです。三木監督には正直に『分からない』と伝えたんですが、『別に意味はないから』と言われて。でも、三木監督って面白そうな雰囲気だったんで、『もう、任せた!』って感じです」
クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」(2006)の撮影も大変だったと思いますが、三木監督の演出はどうでしょうか?
加瀬「そうですねぇ。演出がどうというよりも、この現場がガチャガチャしてて大変。選んだロケ地に問題があるんじゃないでしょうか(笑)」
そう話す最中にも、京急線の電車がガタガタと走り、飛行機が上空を飛び、威圧感ある黒塗りの外車がセット前の道路を走り抜ける。下着姿の近所のオジさんがセットを覗き込んでいる。ちなみにセットの中は冷房がなく40度を越えるらしい。しかも加瀬は革ジャン着用だ。
ハナメとガスは、いい感じになるんでしょうか?
加瀬「いい感じなのかなぁ」
ラブストーリーではない?
加瀬「うん、ラブストーリーなんじゃないですかぁ〜(笑)」
暑さのせいで、だんだんアバウトな対応になってないか。三木作品ならではの“ゆるゆるワールド”に感染して、「それでもボクはやってない」(2007)などでシリアスな名演を見せてきた加瀬もゆるゆる化していないか。ある意味、これまでにない彼の新しい一面が楽しめる作品になることは間違いないだろう。
続いて、骨董屋「電球商会」の店主・電球役の風間杜夫さん。役名の通り、夕暮れ時でも額がピカピカ光っているのだ。正直、遠目には「蒲田行進曲」(’82)で銀幕の2枚目スター・銀ちゃんを演じた風間さんだと分からなかった。そのことを伝えたところ、風間さんも「ねぇ」と笑うのだった。
風間「この髪型のインパクト、大きいでしょ? 撮影が深夜に及ぶと、バリカンで額を剃り直すんです(笑)」
さすが、役者魂がそうさせるんですね!
風間「どうなんでしょう? 面白がって、やってますよ(笑)。今回は『電球商会』の電球という役なんで、額を光らせてみたんですけど、三木監督には『イメージ通りです!』と好評でした」
風間さんは、加瀬さん同様に三木作品は初出演ですが、どういう経緯でオファーがあったんでしょうか?
風間「三木監督が2月にやったボクの芝居を観に来て、楽屋まで挨拶に来てくれたんです。そのときに準備稿を読ませてもらい、三木監督には『何だか分からない』と言ったんです。三木監督からの返事は『みなさん、そう言いますから』というものでした(笑)。でも、何だか面白そうな気がしたんで、ぜひ出させてくださいと。脚本を何度か読み直すうちに、いい話に思えてきました。ほのぼのする、一種のファンタジーなんでしょうね。三木監督の笑いのセンスも散りばめられていて、面白くなると思いますよ」 |
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テンション高めの麻生久美子、登場! 華麗なるヌンチャク技に期待が高まる

骨董屋のセットの内から、麻生久美子の「テンション、上がるぅ〜!」という叫び声が黄金町に何度も響き渡った。“ゆるゆる”と称される三木作品だが、たったひとつのセリフに対して、微妙なニュアンスや間の取り方を調整しながら何度もリハ&リテイクが繰り返されている。恐るべき、こだわりの三木ワールド。三木監督は暑いセット内に籠ったまま、ほとんど姿を見せない。
完全に日が沈み、とりあえず「テンション、上がるぅ〜!」のシーンを終えた麻生久美子の取材がOKに。おぉ、日本映画界のミューズに生で会える日が来るとは! 姿は見えないけど、三木監督ありがとうございます。
麻生さんは三木監督の映画に“念願”の初主演ということでいいんですよね?
麻生「はい! 念願というか意外な感じなんですけど(笑)。『転々』のときは三日月しずか役でちょっとだけ出演させてもらいましたけど、まさか私を主演に選んでくれるとは思ってもみなかったんで、びっくりしてます。何かの間違いじゃないの?とマネージャーさんに確認してもらいました(笑)」
加瀬さん&風間さんは脚本を読んでも、何だかよく分からないと言ってましたが。
麻生「いやぁ、私もよく分からないです。でも、三木監督の世界観だから、そのまま受け入れるしかないですね(笑)。私はまだお2人に比べれば、三木監督のイメージする世界を理解しやすいとは思うんですけど、でも内容を理解して、役を掘り下げるとかではないです。テンションとかセリフの言い方とか、そういうところに気を遣って、三木監督とは細かく確認し合ってます。多分、いまどき事前リハ、セットリハ、本番…とこんなに時間を費やす現場はないんじゃないかしら。ほんと三木監督は細かいので、大変です。うふっ、うふふふふ」
どうもハナメのテンションを引きずっているらしく、取材中も笑いっぱなしの麻生久美子。体中、アドレナリンが流れまくっているようだ。
「帰ってきた時効警察」では見事な阿波踊りを披露してくれたが、本作でも再び踊ってみせるのか? 役づくりとほとんど関係ない質問だが、笑い袋状態と化している麻生に聞いてみた。
麻生「なんか、阿波踊りを踊るシーンが急遽増えてしまったんです。それがユーウツで(苦笑)。『帰ってきた時効警察』のときは阿波踊りのレッスンビデオを三木監督から渡されて、すっごい練習したんです。でも、もう踊り方忘れちゃったし、そのビデオもどっか消えちゃったし…。あと、今回はヌンチャクを振り回して、自分の頭にぶつけるシーンがあるんです(笑)。ヌンチャクの指導の先生について練習したんですけど、これがまた難しくて。私、運動神経ないから(苦笑)。でも、プロフィール欄に『特技:ヌンチャク』と書けるようになりたいです!」
「インスタント沼」、どんな映画に仕上がるんでしょうね?
麻生「それ、分かんないです。分かんないけど、多分面白い映画になるんじゃないかなぁ〜と思いますよ。今の時点で胸を張って断言できないのが何ですが…(笑)。マジメに頑張りま〜す!」
主要キャスト3人をプチインタビューしたものの、結局「インスタント沼」がどんな映画なのか全体像がつかめないままのロケ取材だった。この日の黄金町ロケは深夜にまで及び、三木監督からの生コメントをもらいそびれてしまった。三木監督が新たに手掛ける「インスタント沼」から、一体どんなドラマと小ネタが飛び出すのか? 2009年の公開まで、お楽しみは大切にとっておくことにしますか。
(取材・文/ライター長野辰次) |
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