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2008.8.28(木)更新
【動画・インタビュー】
気鋭のクリエイター3人が放つ、オムニバス映画「TOKYO!」の1篇
「シェイキング東京」をポン・ジュノ監督、香川照之、蒼井優が語る
【動画・インタビュー】気鋭のクリエイター3人が放つ、オムニバス映画「TOKYO!」の1篇「シェイキング東京」をポン・ジュノ監督、香川照之、蒼井優が語る
左から:「シェイキング東京」のポン・ジュノ監督、キャストの蒼井優、香川照之
【動画・インタビュー】気鋭のクリエイター3人が放つ、オムニバス映画「TOKYO!」の1篇「シェイキング東京」をポン・ジュノ監督、香川照之、蒼井優が語る
海外の監督とのコラボレーションは何度も経験している香川照之。「いつも思うんですが、なぜ優れた監督は、言葉が分からないにも関わらず、日本語がわかるのだろうと。多くの優れた海外の監督ってトップ・レベルの耳をもってらっしゃるんです」とポン監督をべた褒め
【動画・インタビュー】気鋭のクリエイター3人が放つ、オムニバス映画「TOKYO!」の1篇「シェイキング東京」をポン・ジュノ監督、香川照之、蒼井優が語る
海外の監督の映画に出演するのは初めてだった蒼井優。「監督とスクリプターの方以外はすべて日本人。でも監督ひとりから生まれるものによって、何十人の人たちが揺さぶられました。多くのことを学ぼう、何かを吸収して伝えようとする監督のパワーがあまりにもすごくて、とても感動しました」
【動画・インタビュー】気鋭のクリエイター3人が放つ、オムニバス映画「TOKYO!」の1篇「シェイキング東京」をポン・ジュノ監督、香川照之、蒼井優が語る
「殺人の追憶」や「グエムル 漢江の怪物」などで知られる実力派ポン・ジュノ監督。「絵コンテでかなり細かく繊細に準備をして臨むんですが、自分が準備して築いてきたものを瞬間壊したいという衝動に駆られることがあります」
【動画・インタビュー】気鋭のクリエイター3人が放つ、オムニバス映画「TOKYO!」の1篇「シェイキング東京」をポン・ジュノ監督、香川照之、蒼井優が語る
東京のとある街。整然と整理整頓された家で、10年以上も引きこもり生活をしている中年男が、ある日ピザ配達人の美少女にひと目ぼれする。そのとき大震が発生する
■「TOKYO!」は、8月16日(土)よりシネマライズ、シネ・リーブル池袋にて公開
【香川照之 プロフィール】
1965年、東京都出身。1989年俳優デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台に出演し、数多くの映画賞を授賞。映画代表作にベルリン国際映画祭でアルフレート・バウワー賞受賞の「独立少年合唱団」、カンヌ映画祭審査員グランプリ受賞作「鬼が来た!」(2000/監督:チャン・ウェン)の主演、日刊スポーツ助演男優賞受賞作「K・T」(2002)、東京国際映画祭グランプリ&優秀男優賞受賞作「故郷の香り」(2003)。そして2006年「ゆれる」では主演、助演を問わず男優賞を受賞。また、「中国魅録『鬼が来た!』撮影日記」を執筆したり、「キネマ旬報」誌連載エッセイ「日本魅録」では2003年度・2005年度・2006年度の3回キネマ旬報読者賞に輝いたりしている。その他、行定勲演出「フール・フォア・ラブ」等舞台でも活躍。近作に「キサラギ」(2007)、「憑神」(2007)。2008年は「ザ・マジックアワー」「ヤーチャイカ」「闘茶 Tea fight」、本作に続いて、「20世紀少年」が8月30日(土)公開、「トウキョウソナタ」が9月27日(土)公開。また、2007年から2010年にかけてのNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」に出演

【蒼井優 プロフィール】
1985年、福岡県生まれ。ミュージカル「アニー」(’99)でデビューし、CMや雑誌のモデルとして活躍。2002年には、十代目・三井リハウスガールに選ばれ注目される。映画は岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」(2001)で鮮烈なデビューを果たし、それ以降「害虫」(2002)、「1980」(2003)、「花とアリス」「海猫」「鉄人28号」(2004)、「亀は意外と速く泳ぐ」「ニライカナイからの手紙」「星になった少年 Shining Boy & Little Randy」「男たちの大和 YAMATO」(2005)と立て続けに出演。2006年に出演した「フラガール」では、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞ほか数多くの映画賞を受賞した。近作に「ハチミツとクローバー」「虹の女神 Rainbow Song」「蟲師」(2006)、「人のセックスを笑うな」(2007)など。現在、主演作「百万円と苦虫女」が公開中。先頃放送されたテレビ・ドラマ「おせん」で老舗料亭の看板娘の奮闘を好演したのも記憶に新しい

【ポン・ジュノ監督 プロフィール】
1969年、韓国生まれ。延世大学社会学科卒業後、1995年に16mm短編のインディペンデント映画「White Man」を監督し、シニョン青少年映画祭で奨励賞を受賞。同年、韓国映画アカデミーを第11期生として卒業。卒業作品「支離滅裂」はブラック・コメディで、バンクーバー映画祭、香港映画祭に招待されて注目される。 2000年には、「ほえる犬は噛まない」で、長編監督デビュー。2003年には実際に起こった連続殺人事件を基にした「殺人の追憶」を監督し、韓国で500万人を動員する。さらに「グエムル 漢江の怪物」(2006)は、韓国では歴代記録を塗り替える大ヒットとなった。本作は初の海外監督作となる。今秋よりウォンビンとキム・ヘジャ共演の最新作「MOTHER」の撮影に入る予定

【STAFF&CAST】
監督・脚本:ポン・ジュノ ミシェル・ゴンドリー レオス・カラックス 出演:藤谷文子 加瀬亮 伊藤歩 妻夫木聡 大森南朋 香川照之 蒼井優 竹中直人 荒川良々 山本浩司 ドニ・ラバン ジャン=フランソワ・バルメール(2008仏.日.韓/ビターズ・エンド)110分
>> 公式サイト

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「ここでロケしようなんて思わない
ところでロケをしてる」(蒼井優)


 タイトルどおり、東京という町をフィーチャーした3本構成のオムニバス映画「TOKYO!」。面白いのは、メガホンをとったのが、「ポンヌフの恋人」のレオス・カラックス監督、「エターナル・サンシャイン」(2004)のミシェル・ゴンドリー監督、「殺人の追憶」(2003)のポン・ジュノ監督と、作家性の強い個性派クリエイターたちが、自由な発想で東京を切り取っているところだ。
 そんな「TOKYO!」の中のポン・ジュノ監督作「シェイキング東京」は、ひきこもりの男が宅配ピザ屋の少女に恋をするという異色のラブ・ストーリーだ。タイトルどおり、主人公の男の心の揺れと共に、地震に揺れる東京の町が独特の空気感で描かれている。そこで、ポン・ジュノ監督、香川照之、蒼井優に、撮影秘話を聞いてみた。

 まずは、ポン・ジュノ監督の現場の感想から。これまでに、「鬼が来た!」(2000)や「故郷の香り」(2003)「闘茶 Tea fight」(2008)など、海外の監督作の経験も多い香川は感慨深い表情でこう語った。
「10年間ひきこもってて、表に出ようか出まいか迷ってる画を“寄り”で撮る時に、何パターンも撮りましたが、終わった時に僕自身すごく疲れてて。そしたら監督自身も、体中の穴から肉汁が出てしまいそうな感じでした。監督と役者が同じ感情になることも含め、映画によって国を超えてつながることができるんだな〜と新たに思った一方で、役者に意外性やドキュメント性をもたせることがすごく好きな方だから、時にはリハーサルをしないという趣向が、僕にとってはすごく面白くて刺激的な体験でした」

 リハーサルなしのやり方について、ポン・ジュノ監督はこう説明する。
「リハーサルはいつもやらないというわけではないですが、予測不可能な状態で生まれてくる生々しさが好きで、時々そうすることがありますね。そういう場合、絵コンテを細かく書いて臨むんですが、自分が準備してきたものを瞬間壊したいという衝動に駆られることがあります。今回、短い撮影期間で、何度かそういうことがありました。役者やスタッフの方々は当惑されたかもしれませんが、慣れてくると面白く感じるんじゃないかと」
 すると香川も賛同する。
「まさにそう。失敗できないものをやるために、リハーサルをしなきゃいけないという発想がない。つまり、監督が今見たいものを見せてくれと。衝動を撮りたいと。それを敢えてリハーサルと呼ばなくても、本番と呼べばいいんじゃないかと。それは僕が見てきた中国や台湾、アジアの監督では一般的な感覚で、日本人のほうが特別な感覚かなと」
 蒼井もこう語った。
「現場の流れは、監督が操ってた感じがします。監督は役者の感情や衝動を切り取るのが上手で、いつも動いていて、一定の動きをしてない感じでした。テスト、本テスト、本番、その3つのステップを常に同じリズムで刻む必要がないんだということを、監督に教えてもらったし、それがとても気持ちよかったです」

 続けて香川は、ロケ地でのエピソードについてもこう熱弁した。
「東京は見慣れた場所ですが、そこを無人にして走ったりしました。それは日本人の監督にはない発想で。ここで人を全部止めて、走らせるか!?って。ここ山手通りだぞ!っていう(笑)。最後のシーンもそうで、横浜でカメラ・ポジションが5叉路みたいになってて、絶対に製作の人が『ノー!』という場所らしいんです。でも『絶対にここだ』と言って。実際、そこで修羅場になってる。でも監督は、あそこにすごくこだわり、ロング・ショットを撮ったということも含め、海外の監督が撮ったんだなあと思った瞬間はたくさんありました」
 ロケ地については、蒼井も同感だった。
「確かにここでロケしようなんて思わないところでロケをしてる。今回もそうだし、レオス・カラックス監督もそうだったみたいで。見慣れた風景を切り取ると、まったく違う風景になる。自分がよく通るところなんだけど、映画の舞台として登場することで、そこに変なずれができて、そこの感覚が奇妙でもあり、心地よくもあり、日本人が撮った映画とはやっぱり違いました」
「台本を自分の名前で読むなんて、通常は
絶対にないはずなんです」(香川照之)


 印象的なのは、香川扮するひきこもりの男の家だ。一般的に想像されるひきこもりの部屋とはまったく違い、すごく整頓されている点が興味深い。この設定について、ポン・ジュノ監督が答えてくえた。
「ひきこもりの部屋と言うと、普通はちらかった煩雑な部屋をイメージされるかもしれません。『嫌われ松子の一生』(2006)に出てくる部屋もそうでしたね。でも、私は本作で、反対のものを描き出したかったんです。あのひきこもりは、非常に高いプライドをもっていて、自分の部屋は芸術の域に達してると表現するくらい、ある意味錯覚をしてるわけです。
 完璧に整理整頓されたあの空間はキャラクターの内面の一部分だったと思います。蒼井優さんが実際にあの家を見て『ここは本当に完璧』と台詞で言いますが、あの完璧な世界をまた夢見るようになり、その後彼女自身もひきこもりになっていきます。自分は、汗だくのヘルメットを被ってピザ配達をしているという現実から思えば、あの空間は完璧なもののように見えたんじゃないかと。あの空間はふたりのキャラクターとも密接に結びついたものでした」

 香川は、役柄が本名で書かれていた点も役作りにひと役かったと言う。
「もともとの台本には1個も固有名詞が出てこないんです。男と女とピザ屋の社長と、ひきこもり1、2、3と書いてあるだけで。だけどポン・ジュノ監督が書かれた台本は、いきなり“香川”“香川”と書いてあったんです。そこでそれを読んだら、本当にそうなるんですよね。僕、偶然かと思って監督に聞いたら、実は、『殺人の追憶』(2003)の犯人役パク・ヘイルも固有名詞がなかったそうで。監督が『彼に対しても同じ書き方をしたことがある』って聞いた時に、この人は役者の動かし方を知ってると思ったんです。最初から“香川、10年引きこもってる”とあったので、作る必要がなくて、『俺、ひきこもり』ってパっと入っちゃったんです」
 ポン・ジュノ監督はそれを聞いて「なんでそうしたか、よく思い出せないんですが」と苦笑い。
 すると香川も「確実に功を奏したと思います。台本を自分の名前で読むなんて絶対にないはずなので」

 また、演出の仕方について、ポン監督は蒼井とのやりとりを例に上げた。
ポン監督「蒼井さんに演技のリクエストをして、それを蒼井さんなりに解釈してまったく違った形で表現されたら、そちらの方がはるかにいいということが何度もありました。たとえば、ヘルメットの匂いをかいで、『本当に最悪!』っていうシーンがありますが、最初はもっと表情をゆがめて強く表現してほしいと注文したんですが、実際に蒼井さんは絶妙に調整して演じてて。それを見て、ああ、あれだ!と思いました」
蒼井「現場でよく監督がやって見せてくださるんです」
ポン監督「そういう時は、絶対にメイキングを撮らせないようにしてました」
香川「監督、うまいんですよ。あの目はどうやってやるんだろう?っていう目でやるんですよね。そういう意味じゃ1カットも監督を超えられなかったんじゃないかと」
ポン監督「ウソダ!(日本語で)」

 確固たるビジョンをもったポン・ジュノ監督のもとで、新鮮な「TOKYO!」を体現したふたり。キャストのふたりが非常に饒舌だった点からも、現場がいかに充実したものだったかが伺えた。3篇から構成されるので、ぜひ他のふたりの監督作を見て、新たな東京の魅力を感じてほしい。

(取材・文/MovieWalker山崎伸子)



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