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2003.12.5(金)更新
【関西シネマのぞき見隊】
「ばかのハコ船」の山下敦弘監督初期短編作品上映会後に
気になる新作「リアリズムの宿」について直撃インタビュー!!
【関西シネマのぞき見隊】「ばかのハコ船」の山下敦弘監督初期短編作品上映会後に気になる新作「リアリズムの宿」について直撃インタビュー!!
突然のインタビューのお願いにも関わらず快く引き受けて下さった山下敦弘監督。海外での評価も高く“東洋のカウリスマキ”と称されるほど。今後の活躍に期待が掛かる、今最も気になる監督だ
【関西シネマのぞき見隊】「ばかのハコ船」の山下敦弘監督初期短編作品上映会後に気になる新作「リアリズムの宿」について直撃インタビュー!!
撮影は監督自身の部屋で行われ、主演も果たした「断面」。当時、友人と「精神的ホモなところがあるよねー」という会話から発想された。ほとんどセリフがなく、視覚だけで男2人の仲が次第に変わっていくのがよくわかる
【関西シネマのぞき見隊】「ばかのハコ船」の山下敦弘監督初期短編作品上映会後に気になる新作「リアリズムの宿」について直撃インタビュー!!
「ばかのハコ船」のマドカ役でオーディションを受けに来たが、久子役を射止めた小寺智子。「数多くの役者志望者の中で自分なりの個性を全面に出し、得意分野を120%活かせるように勉強して、必要とされる人になれれば」としっかりとしたコメント
【関西シネマのぞき見隊】「ばかのハコ船」の山下敦弘監督初期短編作品上映会後に気になる新作「リアリズムの宿」について直撃インタビュー!!
映画の制作構想を練りながら、宿から宿へと旅をする映画監督(山本浩司・右)と脚本家(長塚圭史・左)が主人公の「リアリズムの宿」
【関西シネマのぞき見隊】「ばかのハコ船」の山下敦弘監督初期短編作品上映会後に気になる新作「リアリズムの宿」について直撃インタビュー!!
主演2人の演技合戦を早くスクリーンで目にしたい!!
「リアリズムの宿」
STAFF&CAST
監督・脚本:山下敦弘 原作:つげ義春 脚本:向井康介 撮影:近藤龍人 音楽:くるり 出演:長塚圭史 山本浩司 尾野真千子 石川真希(2004/ビターズ・エンド)83分

【プロフィール】
山下敦弘 1976年8月29日生まれ愛知県出身。高校在学中より、ビデオカメラにて短編を制作。95年、大阪芸術大学映像学科に進学。長編処女作「どんてん生活」(’99)は2000年ゆうばりファンタスティック映画祭のオフシアター部門のグランプリを受賞。2002年には、東京国際映画祭からの新人監督への助成金を元に長編第2作「ばかのハコ船」(’02)を制作。長編第3作目「リアリズムの宿」の公開を2004年春に控えている。
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思わず笑ってしまう山下監督作品の
初期作品を堪能!


 京都造形芸術大学の人間館映像ホールにて、月1で行われる上映会<CINEMA ENCOUNTER SPACE>。本上映会プログラムの1つ<山下敦弘の短編映画史>を目当てに、秋深まる京都の山中へと向かった11月15日(土)の夕刻。そこで、“青汁”ならぬ“あかじる”という健康飲料の販売で成功を掴もうとするが、うまくいかないカップルを主人公にした「ばかのハコ船」(’02)の山下敦弘監督の初期短編作品が上映されるのだ。「ばかの〜」を観て以来、気になる存在であった監督の初期作品となれば、観に行かずにはいられない!!会場は駅から少し離れており、決して交通の便がよいと言える場所ではないので、この上映会に集まった人々は間違いなく、かなりの山下監督作品好きと言えるはず。“どっ”とした大きな笑いではなく、思わず吹き出したくなるような笑いを引き起こさせる山下監督作品の魅力。観ていて何気なく笑いを誘う、この山下ワールドの原点を探りに行った。

 上映されたのは計4作品。一作目は、中学3年生以来の親友である山本剛史主演(「ばかのハコ船」に尾崎役で出演)で、それまでのシリアス路線から‘笑い’に目覚めたという「夏に似た夜」(’97)。二作目は、当時、芸大の先輩であった熊切和嘉監督作品「鬼畜大宴会」(’97)の助監督を務めていた山下監督が、「鬼畜〜」のスタッフと、みんなを引かせようとウケ狙いで作ったというホラー作「腐る女」(’97)。この作品は終わりが最初の構想と違うものになってしまったので、続編を撮りたいのだとか。そして三作目は、初の長編作となる「どんてん生活」(’99)を撮る前に制作され、長回しで撮ることに挑んだことで長編作品の原点とも言うべき、四季を通して2人の男を描いた密室劇「断面」('98・写真)。最後に四作目は、1晩で撮影を終え、軽いノリで作られたという山下監督作品にはもはや欠かせない、1度見たらその味のある顔が忘れることのできない山本浩司主演の「ヒロシとローラン」(’99)。さらにもう1作品、大阪府守口市でロケが行われ、街のみなさんの協力を得て作られた「よっちゃん」(’03)が予定されていたのだが、残念ながら都合により上映されなかった。しかし、クスクスと笑えてしまう作品が好きな私としては、山下監督のあの絶妙な間合いを存分に味わうことができたので満足だ。特に「断面」は秀逸。退廃的な空気を醸し出しながらもどこか楽観的で、2人の依存し合う男というモチーフもさることながら、次作「どんてん生活」に通ずる点が多く見受けられた。
 上映後、各上映作品について監督のトークが行われた。さらには初めてプロの役者さんを迎えて撮ったので、現場のスタッフのみなさんはかなりテンパっていたという「ばかのハコ船」の撮影現場の映像と共に、あそこまでバカではないけど地に近いものはあったという久子役を演じた小寺智子も加わりトークが行われ、イベントは終了した。
「あまりにもつげさんの原作から話が逸れているということで書き直しを命じられました(笑)」


 会場に入る前、受付で監督の姿を見掛けて思わずインタビューを申し込んだ私は、上映会終了後、監督にお話を聞くことができた。

Q:今日の上映会を終えて

A:ミスで1本上映できなかったんですけど、気づいたら短編って溜まってるもんだなぁ。あと2本くらいあるんですけど、あまり(人に)観せたくない。

Q:山本浩司さんとの出会いのきっかけは?

A:自主制作時代に他の人の(撮影)現場でちょこちょこ会ってはいたんですけど、(山本さんが)人見知りが激しくって、顔にインパクトがあるけど、何やってる人なのかわかんなくて。気になっていた時、先輩に連れられて山本さんの家に行き、自作自演のSF作品を見せてもらって、その中で普段とは180度違うテンションの高い山本さんを見てファンになってしまって。それで「どんてん生活」に出てもらったんです。撮影してる間も何考えてるかわからなくって、正直。今はすごい、優しい感じ(の人)。あの時は何かあったのかな〜ってくらい怖かった。

 すでに撮影を終えている自主映画監督と脚本家の男2人の旅物語「リアリズムの宿」(2004年春公開予定)。つげ義春原作で、主演はもちろん山本浩司!そして、相方となる脚本家を演じるのは、プロデュース集団阿佐ヶ谷スパイダース主宰の長塚圭史。音楽は、1年4ヶ月ぶりに活動を再開したくるり。期待の新作について質問しました。

Q:数あるつげ義春作品の中から「リアリズムの宿」を選ばれた理由は?

A:何でもいいとは言われたんですけど、(つげ義春原作作品の)中でも「リアリズムの宿」って言うタイトルがよかったんですよね。「全然原作通りじゃなくていいよ」って(話を持ちかけてくれた制作サイドから)聞いてたんで。短い話なんですけど、原作の舞台を現代に置き換えて、話を自分たちで膨らませていくうちに、あまりにもつげさんの原作から話が逸れているということで書き直しを命じられました(笑)。

Q:主演に長塚圭史さんを選ばれたのは?

A:大阪の舞台関係の知り合いが(長塚さんの)携帯番号を知ってるということで。最初いきなり(本人に)電話したら事務所から怒られちゃって(笑)。今まで(長塚さんの)演技を見たことなかったんですけど、東京に1回本人に会いに行って、まだ完全版ではなかったんですけどシナリオを読んでもらって、シナリオにダメ出しされました長塚さんに(笑)。酔っ払って「絶対面白くします」って言って帰ってきて、書き直して、改めて長塚さん本人から「出演します」と連絡を頂いて決まりました。

Q:ここを観て欲しい!という所は?

A:すごい苦しい現場だったけど、みんなそれぞれ頑張ったので、画も撮影もすごいきれいだし、照明も頑張ってくれた。12月の鳥取で撮ったんですけど、その時期はものすごい天気が不安定で、雪も降れば、雨も、ヒョウも降って。けど、いきなり晴れたりとかするようなところで、ある意味(画が)つながってないんですけど、色んな景色が撮れていて。そこらへんが見どころですね。あと、基本的には主演2人の掛け合いですね。地味な話なんですけど、主演2人の演技合戦、キャラを観てもらえたら。

 自主制作映画監督と脚本家という設定は、山下監督と本作でもコンビを組んでいる脚本家の向井康介との関係にも似ており、自身の昔のエピソードなど自己投影をしている部分もあるというほどかなり緊密な作品になっているようだ。つげ義春原作のファンは映像化に対して厳しい評価を下すことで知られており、監督も「(つげ義春の)ファンに怒られるかもしれないけど、まぁ、いいや」と強気(?)な様子。「最近ちょっとしみったれてきてるんで、もっとぼんぼん撮れる監督になりたいなぁと。3本も撮ったので形だけは新人監督じゃなくなってきたんで、もうそろそろちゃんと頑張ってこうと。いや、今までも頑張ってきたんですけどね、それなりには(笑)」とのこと。今後は活動の拠点を大阪から東京に移す予定らしいが、「映画を作れる場所があればどこへでも行く」とこれまた期待せずにはいられないコメント。現在は、兄と妹の話を撮ろうと新たなる作品の準備中だとか。
 言葉通りどんどん新作を劇場へ送り出して欲しい。これからも山下敦弘監督に期待大!

(取材・文/編集部 北川友恵)


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