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2007年10月(第4号)
表ベスト
裏ベスト
選出作品一覧
轟夕起夫's PROFILE
 とどろきゆきお。文筆稼業。1963年5月8日、東京都蒲田出身。O型。著書に「映画監督になる15の方法」(洋泉社)、「轟夕起夫の映画あばれ火祭り」(河出書房新社)、共著に「三池崇史の仕事1991-2003」(太田出版)、編著に「清/順/映/画」(ワイズ出版)など。生涯の1本は勝新太郎監督の「顔役」('71)。

クリティック一覧
(50音順、敬称略)
秋本鉄次(映画評論家)
安藤智恵子(ライター)
稲垣都々世(映画評論家)
宇田川幸洋(映画評論家)
内海陽子(映画評論家)
馬場英美(ライター、エディター)
浦崎浩實(激評家=映画評・劇評)
江崎毅(MovieWalker編集長)
大森さわこ(映画評論家)
加藤久徳(映画ライター)
河原晶子(映画評論家)
黒田邦雄(映画評論家)
佐々木淳(フリーエディター&ライター)
塩田時敏(映画評論家)
品田雄吉(映画評論家)
ジャンクハンター吉田(文筆系会社経営者)
高崎俊夫(編集者)
高橋諭治(映画ライター)
高村英次(映画ライター)
滝本誠(評論家)
田中千世子(映画評論家)
暉峻創三(映画評論家)
轟夕起夫(文筆稼業)
永島浩(映画案内人)
永野寿彦(シネマ・イラストライター)
西脇英夫(映画評論家)
野村正昭(映画評論家)
増當竜也(映画文筆)
まつかわゆま(シネマアナリスト)
松島利行(映画評論家)
三留まゆみ(イラストライター)
皆川ちか(ライター)
みのわあつお(ポップ・カルチャー評論家)
宮城正樹(映画&音楽分析・評論家)
宮崎祐治(イラストレーター)
森直人(ライター)
山田宏一(映画評論家)
横森文(ライター&役者)
渡部実(映画評論家)
暉峻創三(映画評論家) 永島浩(映画案内人)

[2007年10月]轟夕起夫の試写室ランキング
※2007年9月15日(土)までに開催された試写室上映作品からクリティックが選出。
※おすすめコメントの中には、内容について核心に触れているものが含まれている場合があります。
轟夕起夫の2007年9月ベスト 轟夕起夫の2007年11月ベスト
表ベスト
キングダム 見えざる敵
10/13(土)公開

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この作品を選んだクリティック

高橋諭治  高村英次  轟夕起夫  永野寿彦  西脇英夫  まつかわゆま  三留まゆみ

この作品のおすすめコメント
 ラストの2つの台詞で、胸を撃ち抜かれた。正確に記せば、たったひとつの言葉なのだが、それが立場の違う者の口から発せられることに衝撃が走るのだ……と書いたところで未見の方には「いったい何がなにやら」といった感じだろうが、これは久々に骨のあるハリウッド映画である。無差別テロの起こったサウジアラビアに、(同僚を失った)FBI捜査官チームが乗り込むのだが、決して好き放題やって手柄を立てるような作りではない。むしろ、異文化の中で、悪戦苦闘を余儀なくされる展開が続く。終盤の銃撃戦はザ・ハリウッドかもしれないが(ドキュメンタリー・タッチを装う手持ちカメラの効用も含めて)、全てはラストの2つの台詞のため。以上。多言は必要なし。

パンズ・ラビリンス
10/6(土)公開
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この作品を選んだクリティック

安藤智恵子  宇田川幸洋  馬場英美  江崎毅  ジャンクハンター吉田  高崎俊夫  高橋諭治  高村英次  滝本誠  轟夕起夫  西脇英夫  まつかわゆま  松島利行  皆川ちか  宮城正樹  森直人  横森文

この作品のおすすめコメント
 本年度のアカデミー賞にて撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を獲得−−ということは、何はともあれビジュアルで見せる/魅せる映画なのか? いや、違う。監督デル・トロの強烈な思いをビジュアライズした結果が、それらの賞に繋がったのだ。すなわち「目を背けたくなるような現実の前で、人はどのような夢を見るのか」という問題意識。少女が主人公のダーク・ファンタジーの形を借りて、歴史と人間のイマジネーションの関係に斬り込んだ意欲作。ラストは鼻の奥がツンとくる。
[c]2006 ESTUDIOS PICASSO,TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
ここに幸あり
11月中公開
公式サイト

この作品を選んだクリティック

河原晶子  高崎俊夫  轟夕起夫  渡部実

この作品のおすすめコメント
 それにしても劇中の登場人物たちは、よく酒(ワイン)を飲み、歌い、音楽を奏で、人生を謳歌してやがるなあ〜。突然、大臣の役職を追われ、仕事に家に金、妻に愛人……何もかも失ったオッサンのロング・バケーション。とはいえ、そこは「月曜日に乾杯!」(2002)「素敵な歌と舟はゆく」('99)のイオセリアーニ監督、遊び方、ふざけ方が半端ではない。人間と同等に動物たちがスクリーンを闊歩し、あの名優ミシェル・ピコリが老婆役で登場したりと、やりたい放題。目の散歩、一丁ストレス発散しましょ。
(11月公開作につきランキング集計は次号)

自虐の詩
10/27(土)公開
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この作品を選んだクリティック

秋本鉄次  内海陽子  馬場英美  江崎毅  加藤久徳  轟夕起夫  皆川ちか  宮城正樹  宮崎祐治  松島利行

この作品のおすすめコメント
 観終わったあとの感触は、何とフェリーニ監督の名作「道」('54)。阿部寛の“イサオ”がザンパノで、中谷美紀の“幸江”がジェルソミーナ……というのはちょっと言いすぎか。それよりリチャード・ベースハートが演じていた綱渡り芸人の言葉「どんな物だって、この石ころだって、何かの役に立っている」のスピリッツが通底しているのだ。トリッキーな“ちゃぶ台返し”から始まって、出口はヒューマンなそっち側。意表をつかれた。
[c]2007「自虐の詩」フィルムパートナーズ
サウスバウンド
10/6(土)公開
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この作品を選んだクリティック

江崎毅  宮城正樹  轟夕起夫

この作品のおすすめコメント
 豊川悦司扮する父親、反権力をモットーに生きているアナキスト“上原一郎”とその家族が、東京から沖縄へと移り住み、さまざまな騒動を巻き起こしていくさまを描いていくわけだが、この父親、森田監督の「家族ゲーム」('83)で松田優作がキャラクタライズした家庭教師、価値紊乱者の延長上にあり、“21世紀の家族ゲーム”の行方を垣間見ることもできよう。
裏ベスト
アフロサムライ
10/27(土)公開

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この作品を選んだクリティック

浦崎浩實  田中千世子  轟夕起夫  永野寿彦

この作品のおすすめコメント
 アフロ+サムライ。このタイトルからして勝負あり! 主人公は幼い頃に目の前で父を惨殺され、復讐の旅に出たアフロヘアの侍。その声を担当、完全に破天荒なヒーローになりきっているサミュエル・L・ジャクソンは、謎の男ニンジャニンジャの声も(こちらのキャラではアフロとは対照的に喋りまくる)。闇の剣客道のNO.1に君臨するガンマン、ジャスティス(声はロン・パールマン)との対決は、剣vs.銃。ヒップホップと武士道のミクスチャーの現在形なり。
★ごひいきポント★サミュエル・L・ジャクソン主演でハリウッド実写化企画も進行中だとか。でも本当にできるかどうかはわからない。まずはこのアニメ版を!

エアギター エピソード ゼロ
10/6(土)公開
公式サイト

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轟夕起夫

この作品のおすすめコメント
 07年でも快挙! 聖地フィンランドでの第12回エアギター世界選手権で2年連続チャンピオンになったのは、われらがダイノジ(吉本のお笑い芸人コンビ)の片割れ、大地洋輔クン。しかし嬉しい反面、「ああ〜、エアギターってお笑いなんだ」といっそう勘違いする人もいるかも。本作は、そんな先入観を持ったアナタにこそオススメしたい好ドキュメント。個性的なパフォーマンスだけでなくエアギタリストたちの内面にもググっと迫っていく。キティちゃんを胸にかかげた赤い着物のエアサムライ、韓国系アメリカ人の熱血漢“C・ディディ”は、大地くんの原型を見るよう。
★ごひいきポント★活写されてゆく03年の世界選手権の大会の模様。そんじゃそこらのロックスターにも負けないスピリッツの持ち主たちが登場し、思わず気持ちがアガるアガる。

クワイエットルームにようこそ
10/20(土)公開
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この作品を選んだクリティック

秋本鉄次  馬場英美  轟夕起夫  永島浩  野村正昭  宮城正樹  まつかわゆま  皆川ちか  森直人

この作品のおすすめコメント
 この映画自体がある種の“リハビリ機能”を持っている。つまり、「生きるとはウザくて重いこと」だと確認し、認め合う通過儀礼のような時間。「そんなこと、よく知ってるよ」という人も、そうでない人も、一度は松尾スズキ医院長の“クワイエットルーム”にようこそ。仕事も恋愛もうまく立ち行かなくなったフリーライター(内田有紀)の、閉鎖病棟での絶望と再生の14日間……何事も人ごとではない。
★ごひいきポント★芥川賞候補にもなった自らの小説を、松尾スズキが映画化。良薬は苦し。宮藤官九郎ほか大人計画の面々はもちろん、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶといった極上のアンサンブルが“痛いところ”を突いてきまっせ。

[c]2007「クワイエットルームにようこそ」フィルムパートナーズ
大統領暗殺
10/6(土)公開
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この作品を選んだクリティック

馬場英美  浦崎浩實  轟夕起夫  西脇英夫  まつかわゆま  松島利行  三留まゆみ  宮城正樹

この作品のおすすめコメント
 これは大胆かつ、かなりキワキワな作品だ。たとえ仮定の話とはいえ、「ブッシュ大統領がもし暗殺されたら、アメリカはどのように変貌するのか」をシミュレーションし、具体的にその光景を描き出していくからだ。しかも犯行のときを「07年10月19日、アメリカ中部時間20時13分」と明確に提出。デス・ノートならぬ“デス・ムービー”となる可能性を秘めたヤバイ1本。
★ごひいきポント★不謹慎な題材のようでいて、あの9・11直後の尋常な状態ではなかったアメリカの国民感情をいまいちどマジメに考察もしている。

待つ女
10/6(土)公開
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秋本鉄次  河原晶子  轟夕起夫

この作品のおすすめコメント
 7年の刑に処され服役中の男と、彼の出所をひたすら待ち、週2回の面会の日を楽しみにしている妻(ヴァレリー・ドンゼリ、横顔がとても美しい)。動かしようもない2人の関係を揺さぶるために、初監督ジャン=パスカル・アトゥはひとりの“道化”を導入する−−すなわち、普段は夫を見張る役割の看守を。妻に接近し、カラダを抱き(しかしココロは決して抱けず)、そして夫のほうともある密約を交わす道化者。この“鉄格子越しの三角関係”は、裏切りと愛についての実験報告である。
★ごひいきポント★かつて「会えない時間が愛育てるのさ」と郷ひろみは歌ったが、「よろしく哀愁」なんてもんではない、哀愁悲愁ムービー。

今月公開の作品ではないけれど…
包帯クラブ
9/15(土)公開
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轟夕起夫  まつかわゆま

この作品のおすすめコメント
 クリストという“梱包芸術”で有名なアーティストがいる。妻のジャンヌ=クロードと活動し、たとえばフランスのポン・ヌフ、ドイツの国会議事堂や美術館、シドニーの海岸、マイアミの島々など、さまざまな場所や空間を布で梱包してきた。本作の、石原さとみや柳楽優弥らの手で街のあちらこちらに巻かれた包帯は、傷ついた人々を慰撫しつつ、さながらクリストのように“包帯プレイ”をプロジェクト化していく。その行為の軌跡は、一種のアートだ。

[c]2007「包帯クラブ」製作委員会
そんな無茶な!
9/8(土)公開
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轟夕起夫  三留まゆみ

この作品のおすすめコメント
 オムニバス「そんな無茶な!」の仕掛け人(プロデュース)は、「キル・ビルVol.1」(2003)のチャーリー役、はたまた「牛頭」(2003)「殺し屋1」(2001)の脚本や「東京ゾンビ」(2005)の監督などで知られる佐藤佐吉。この人の姿を初めて見たのは、00年頃テレビ東京の深夜でやっていた「東京ラリレロ映画祭」という奇妙キテレツな番組だった(加藤浩次とMCを担当、いま考えるとすごいツーショット!)。テレ東の深夜枠というのは連綿と、各局以上に風変わりな企画を実現させているのだが、そのへんが「大好物」な方々はぜひ。今後、全国順次公開もあり。

[c]2007 SSM CO., LTD.
屋根の上の赤い女
9/15(土)公開
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高橋諭治  轟夕起夫  森直人

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 大阪芸術大学出身で、冴えない主人公を演じるのが「松ヶ根乱射事件」(2006)の山中崇、キャメラマンが近藤龍人(近作は「天然コケッコー」2007)と、こうも山下敦弘監督との共通項が揃うと、先入観が立ってしまうが、その目指すベクトルはまったく別。岡太地(おかだいち)監督、スラップスティックな乾いたドラマが撮れそう。都内公開は終わってしまったが、文字通り“屋根の上の赤い女”として印象を残すヒロインの神農幸(じんの さち)とともに要チェック。

[c]DAICHI OKA/VIPO
2007年9月 表ベスト 2007年9月 裏ベスト 2007年9月 選出作品一覧
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暉峻創三(映画評論家) 永島浩(映画案内人)
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