|
滝本誠's PROFILE |
 |
(画・宇田川新聞) |
|
たきもとまこと。評論家。1949年1月19日、京都府出身。AB型。著書に「きれいな猟奇」(平凡社)、「渋く、薄汚れ ノワール・ジャンルの快楽」(フィルムアート社)、「コーヒーブレイク、デイヴィッド・リンチをいかが」(洋泉社)他がある。
|
|

|
 |

[2008年9月] 滝本誠の試写室ランキング
※2008年8月15日(金)までに試写が実施された作品からクリティックが選出。 ※おすすめコメントの中には、内容について核心に触れているものが含まれている場合があります。 |

 |
| 該当作品なし |
|
 |
 |
 |
 |
 |
| 消えたフェルメールを探して |
|
●9/27(土)公開 |
 |
 |
 |
公式サイト
|

この作品を選んだクリティック

安藤智恵子 滝本誠 |

この作品のおすすめコメント
これも未見だが、絵画盗難というのはミステリーのひとつのジャンルであり、目下、資料集めの最中でもある。
|
|
 |
 |
 |
| プロポジション 血の誓約 |
|
●DVD |
 |
|
 |

この作品を選んだクリティック

滝本誠

この作品のおすすめコメント
このような<痛苦の詩>がドクンドクンと溢れ出る、しかし印象はとても静謐な名品がレイトショー、とか期間限定とかのアリバイ上映すらすることなく、いきなりのDVDスルーとは!と慨嘆したのは昨年の秋であった。
「プロポジション 血の誓約」(2005)は副題も的確。つまり血=死が交換条件である司法との取引を意味し、と同時に血を分けた三兄弟の一人の痛苦の決断をも意味するからだ。映画の舞台は19世紀末のオーストラリア原野地帯。先住民アボリジニを駆逐するかたちでイギリスからの追放者による白人国家オーストラリアが成立していくわけだが、槍が銃に勝てるわけがない。しかもアボリジニは少数だ。人手が足りないために白人たちはアボリジニを苦役に登用し、更なる奥地への侵略、開拓をすすめていった。アメリカにおけるネイティヴ・アメリカンの西部侵略と平行するかたちで。銃と馬が必需の時期、ウエスタン(西部劇)・スタイルはオーストラリアでも有効どころか、ウエスタンそのものであった。ただアメリカと異なり白人の多くは望んでただだだっ広い大陸にやってきたわけではない。その分、階級上位者の故国への癒やしがたい想いからくる祖国の生活様式の遵守も存在する。
開拓団コミュニティにとって無法な殺戮集団でしかないバーンズ兄弟たちは荒野に生き、法の側の家は庭すら祖国を模している。ただ、ことは一筋縄では行かない。バーンズ兄弟の長男アーサーは書物と共に移動する、詩的な無法者、殺人者でもあり語られない彼の過去がクールだ。逃亡先の荒野の岩の高台で風景を凝視し、一夜を過ごしたりする。瞑想ではなく凝視、スピリチュアルな不敵な格闘こそが、彼を癒やすのであろう。このアーサーを演じるダニー・ヒューストンの魅力が無比である。ダニーは、あの天才監督ジョン・ヒューストンの息子だ。彼の後をつけ狙う老いた賞金稼ぎジョン・ハートもまた詩がわかるシャレ者だ。
さてストーリーの開始は、娼館(娼婦たちはチャイナガールだ)にいたところを警察に襲撃され、アーサーの弟、チャーリー(ガイ・ピアース! ピアース主演作にまちがいなし。「ファクトリー・ガール」(2006)のアンディ・ウオーホル役など絶品であった)とまだ少年のマイキーが捕らわれる。治安を司るキャプティン・スタンリー(レイ・ウィン・ストーン)はガイに、弟を救いたければ悪として畏れられ、アボリジニの間で精霊として神話化しつつある兄を殺せ、との提案を行う。この提案(プロポジション)を飲むしかなかったガイは兄を求めて一人で馬を駆って荒野を行く。キャプティンのこの決断、ガイの解放を住民たちは弱腰と非難、部下や住民との亀裂が深まり、また妻(不幸演技が身に付いたエミリー・ワトソン!)との関係もぎくしゃくしたもので、キャプティンは苦悩する。司法の側の心の揺らぎがまた映画の繊細である。キャスティングで驚かされたのは、デイヴィッド・ガルピリルが警察隊の一員(アボリジニとの通訳係)として出演していることだ。彼は十代の1971年、ニコラス・ローグ監督の傑作「WALKABOUT 美しき冒険旅行」('71)でオーストラリアの原野を彷徨う少女と弟の前にあらわれる少年として映画デビュー、アボリジニ初の国際的存在となった。「お前随分老けたな」と、ローグ・マニアから映画評を書くようになった小生はしみじみ見入ったが、同じ時間はこちらにも流れたわけだ。ファッキンな年月の流れよ。
アボリジニの白人へのプライドはたとえばキャプティンの使用人がいとまをもらうとき、庭の門扉のところで、それまで履いていた靴を脱ぎ捨て、外に広がる茫漠とした原野に裸足で歩き出す行為に鮮明に出ている。このようなアボリジニの描写はこれまでなかった。 弟は公開鞭打ち刑で瀕死の重傷、弟を救い出すため兄二人は刑務所を襲い、次にクリスマスを夫婦で祝うキャプティンの家へ…。弟の死で、もはやプロポジション履行の意味は消えた。しかし…。よくぞ考えついたこのラスト! このようにすばらしいラストはそうはない。全編を貫く精妙ともいえる荒々しさ、暴力の空気に詩が混ざり合うのだ、ラストでは特に強烈に。バンジョーや、少女、あるいはギャングが歌う俗謡、弦楽の響きがこれまた存在のかすれのように組み立てられ、観るものの胸を気づかないうちにナイフでスッと抉る。
誰が書いたのか、オーストラリアの原野と向き合い、乾いた自然に荒々しく抱擁されるが如き感情を? そして未だ語られなかったオーストラリアの側面を? 誰が書いたのか、このスコアを? 映画「プロポジション」の骨であり肉であり血ともいうべき存在がオーストラリアの<パンクな国家遺産>=ニック・ケイブという事実を小生はうかつにも見終えてから知った。ガイ・ピアースの未公開作ということでDVDを購入したからだ。メイキング映像で、監督のジョン・ヒルコットがニックとダチなので、彼に脚本と音楽を依頼したとわかった。ニック・ケイブだったか! これで映画の深々とした詩情、暴力の詩情の理由がはっきりと理解できた。ニックの文学渉猟の幅はおそろしく広い。しかし、歌詞にも小説にも文学の臭みがないのが凄い。つい最近、<ニック・ケイブ&バッド・シーズ>として14枚目のアルバム「ディグ、ラザロ、ディグ!!!」を数年ぶりにリリース、同時に近影が多くの雑誌を飾ったが、チョビ髭顔がいかにもいかがわしい。ドラッグも酒もタバコもやめてしまったらしいが、そんなことは信じがたいいかがわしさがプンプンとして、つまり崇高である。たとえばニックが「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)にカルトな狂信的宗教者として、ダニエル・デイ=ルイスと対立していれば、あの映画はまた別の展開をみせたであろう、そこまで連想を広げさせるまでにいかがわしい。 |

|
 |
 |
 |
 |
 |
|
 |

|
チョン・ジヒョンが初の本格アクションに挑んだ「ラスト・ブラッド」。競演を機に友人として親交を深めた小雪との撮影現場エピソードを披露 [5/27(水)更新] |
|
「重力ピエロ」に出演の吉高由里子が演じるのは、岡田将生扮する春を追いかける謎の美女役だ。彼女が語る原作者・伊坂幸太郎ならではと感じたこととは? [5/27(水)更新] |
|
待望の人気シリーズ続編「ターミネーター4」のジャパンプレミアに、MovieWalkerメンバー50組100名様をご招待! 応募は左の画像をクリック [5/25(月)更新] |
|
第62回カンヌ国際映画祭が、24日午後7時15分(現地時間)から開かれた授賞式をもって閉幕した。気になるパルム・ドール、そして菊池凛子主演作は? [5/25(月)更新] |
|
映画「ROOKIES 卒業」の佐藤隆太、市原隼人ら9名が名古屋に上陸。旬の俳優の登場に報道陣の熱視線が注がれたその熱い爆笑記者会見の模様をお届け! [5/24(日)更新] |


|