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| 映画祭の審査委員長もつとめる山田洋次監督。「大勢のスタッフとキャストが協力し
合って、1本の作品が完成する。そのことこそが映画の持つメッセージではないでしょ
うか」とあいさつ |
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| リニューアルした東京国際映画祭に祝辞を寄せる小泉首相。「うちの近所に映画館が
あり、3本立てをよく観ていました」 |
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夜10:00上映開始というレイトショーだったが、「ハウルの動く城」の上映会場
は大盛況
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●10/25更新
今日的テーマで創られた時代劇と宮崎アニメ。初日は強力2本立て
「最近はもぉ、時代小説にハマってるの。理想の男性像は鬼平ね」−密かに想いを寄せていた女性にそう言われ、その足で図書館へと走った。それまで時代小説なんて一度も読んだことなかったが、彼女と話しを合わせたいがために池波正太郎作品を怒濤のごとく読み始めた。結局、彼女との仲はちっとも進展しなかったけれど、秋の夜長には時代小説をたしなむ習慣だけが残った。池波正太郎→司馬遼太郎を経て、今ではすっかり藤沢周平のファンである。
秋風に誘われて、思わずセンチメンタルな気分にひたってしまう今日この頃。そして、ここは六本木ヒルズ。レッドカーペットによるセレブの入場が終わり、グランドハイアットの大ホールではオープニング・セレモニーの真っ最中である。ステージ上では小泉純一郎首相が幼年期の映画体験を熱く語っている。「よく観たのはアラカンの『鞍馬天狗』にジョニ−・ワイズ・ミューラ−の『ターザン』。次の日は友達と一
緒に“あ〜ぁあ〜”やってましたよ」。会場が沸いたので気をよくして、もう一度「あ〜ぁあ〜」とターザンの雄叫びを真似してみせる小泉首相。映画とともに少年時代の思い出を大切にしていることは良いことだ。できれば冒険活劇「ターザン」だけでなく、「スミス都へ行く」(‘39)や「地上より永遠に」(’53)あたりも、ぜひ思い出し欲しい。
首相の祝辞の後は、オープニング上映作品「隠し剣 鬼の爪」の山田洋次監督に永瀬正敏、松たか子、小澤征悦、光本幸子のキャスト陣がステージへ。主演の永瀬は「世界各国のみなさん、日本映画をゆっくり楽しんでください」。山田作品初出演の松たか子は「小泉首相、コンバンワ。まだまだ客席側に座って映画を勉強したい立ち場なのですが、映画祭の晴れ舞台に呼んでいただき光栄です」とそれぞれ短かめのあいさつ。
さて、会場は同じ六本木ヒルズ内にあるVIRGIN TOHO CINEMASへ。藤沢周平原作、山田洋次監督による本格的時代劇第2弾(‘60年代に『運がよけりゃ』という長屋ものを撮っているので時代劇としては3本目)である「隠し剣 鬼の爪」の上映。山田監督作品のキーワードである“望郷”“落ちこぼれ”“家族(仲間)”“誠実さ”が、前作「たそがれ清兵衛」(’02)はぴったりとハマり、大ヒットした。
しかし、今作で永瀬演じる下級武士・宗蔵が放つ剣は2度とも邪道剣なのだ。正直、山田作品に邪剣、秘剣は似合わない。いや、待てよ。これは逆説的メッセージなのだ。“人と人とが殺し合うことを、だれも美化してはいけない”−このことが山田監督の言いたいことに違いない。ラストシーンも原作の「雪明かり」とは、ひと味違ったものが用意されている。時代劇として観るよりも、普遍的なラブストーリーとして観る
べき作品なのだ。
夜10時からは宮崎駿監督の待望の新作「ハウルの動く城」の上映。監督、ボイスキャストによる舞台あいさつはないが、鈴木敏夫プロデューサーが劇場入口に立って笑顔で観客を迎え入れている。
ストーリーは、とても重層的だ。メルヘンでもあり、反戦映画でもあり、ラブストーリーでもある。これまでの宮崎作品に比べても全く遜色ない出来だが、今までになく苦味も強い。切迫した今の国際情勢を如実に反映した内容だ。
小泉首相は映画を観ずに会場を去ったが、日を改めて「隠し剣」か「ハウル〜」どちらか1本でも観ていただきたい。今の日本を代表する2人の映画監督による最新作は、どちらも現代的メッセージが込められた作品だった。
(取材・文/長野辰次)
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