女性が見ても楽しいハードボイルドがいいなと思ったんです

ベストセラー小説の映画化ということで、原作ファンの期待度は高いと思うのですが、そのあたりはいかがですか?
「一番気になったのがそれですね。まず大沢在昌さんの世界というものがあって、映画化にあたって原作の世界観の延長でいくのか、それともゼロから構築するのかという、難しい選択をしなくてはならなかったんです。それで僕は後者を選んだんですよね。大沢さんの原作のファンの人に『なんか違うじゃん』とか言われたら残念ですけど、映像ならではの『天使の牙』になればいいなと。女性が見ても楽しいハードボイルドがいいなと思ったんです。」

西村了監督はこれがデビュー作ですが、やりとりは上手くいきましたか?
「スムーズにいきましたよ。役者さんもプロフェッショナルな方が多いので。僕ら俳優はどんどんそれを盛り上げていこうとしました。とにかく監督が気持ちよくなれるように、芝居も考えましたし。」

皆さんで作り上げた映画という感じなのですね。
「そうですね。試写のときに、役者さんが皆さん喜んで帰られたと聞いて、すごく安心しました。いろんな人の目線で見ても面白いということなので、色々なお客さんが楽しめる作品になっているんじゃないかなと。」

本作の重要なテーマでもある“脳移植”ですが、ご自身が脳移植することになったらどうですか?
「考えたら気が狂いそうになりますね。『自分の愛する人がそういうことになったら?』は考えましたけど。憎めないし、嫌えないですよね。なんでかっていうと、お互い共通した時間を過ごしたり、お互い愛を語り合ったりした“思い出”を持ってしまうと、それは一生ものなんだなと。長い恋愛って、長い“思い出”が作っているんだなと。ものすごく色々考えさせられるテーマですよね。」





(C)「天使の牙」製作委員会


大沢たかおプロフィール
'68年東京都生まれ。94年、テレビドラマ「君といた夏」(フジテレビ系)でデビュー。主な映画出演作品は、「チンピラ」('96)、「異邦人たち」('00)、「リリイ・シュシュのすべて」('01)、「フィラメント」('02)など。今後の公開作品として「荒神」、「解夏」、「花」などが控えている。

大沢たかお 公式サイト
http://www.coreinc.co.jp/

「天使の牙」

S T O R Y
麻薬組織を追う女刑事・明日香(黒谷友香)は、組織のボスの愛人・はつみ(佐田真由美)と共に銃撃を受ける。脳死したはつみの体に明日香の脳が移植され、はつみの体で生きることになった明日香。はつみの姿で組織に潜入し、極秘に捜査を続ける明日香の前に、かつての恋人で刑事の古芳(大沢たかお)が現れる。

S T A F F & C A S T
監督:西村了 原作:大沢在昌(角川文庫) 出演:大沢たかお 佐田真由美 萩原健一 佐野史郎 黒谷友香 西村雅彦(2003ワーナー)119分

予告編

映画はリアクションがダイレクトに返ってくるから、ごまかせない

「天使の牙」以降も公開作が続々と控えていますが、今後は映画にウエイトを置いていくつもりなのでしょうか。
「そんなこともないんですけどね、たまたま続いているだけというか。」

それでは “映画ならではの面白さ”って感じられていますか?
「難しいですね、それが一番大事なんですけどね。やっぱりひとつの作品になるということですかね。ひとつの総合芸術というか、作品として人がお金を払って見る。作品が一人歩きして世界に行ったりとか。みんな2時間見てくれるじゃないですか。せんべい食べながらは見ないですよね。中途半端な芝居してるとボロクソ言いますよね。ガンガンせめてくるじゃないですか。それは、すごいと思います。その恐怖感というか、僕は映画って、やっぱりライブ感があるものだと今は思うんです。一歩間違えると大変なことになるという。いつもお客さんがそばにいるような。」

観客のリアクションをもろに受けるという点で?
「むしろ、観客からの呪縛から逃れられないというか。最後は見る人たちがジャッジするんだなという恐怖感。それがライブ感ということなのか。そんな印象でずっと、僕は、映画の世界と接しているんですけども。すごい責任を感じるんですよね。リアクションがダイレクトに返ってくるんで、ごまかせないというか。もちろんテレビも返ってくるんですけど、ライブ感という意味ではやはり、映画は自分が追い詰められてる感じがしますね。」

さきほど「映画は一人歩きして世界に出ていく」という表現をされていましたが、ご自身は海外での活躍は視野に入れているんでしょうか?
「どうでしょうね。とりあえず、日本の作品でやるべき仕事、やりたい人がいるので、ちゃんとやりたいですよね。僕はやっぱり日本人だし。尊敬する監督、北村(龍平)さんもそうだし、岩井(俊二)さんもそうだし、一緒に仕事しててすごく楽しいんですよね。そういう人たちとはずっと仕事していきたいと思うし、自分がキャスティングされる限りは、俳優としての寿命があるまでは、やりたいと思ってます。やるべきことをやってれば、そういう話が来るかもしれないし、来なくてもそれはそれで。」

大沢さん、英語も堪能ですよね。
「いや、俺、堪能じゃないんですよ。それが誤解を生んで、ものすごい英語の台本とか来ちゃったりするんですよ。断るのが大変で(笑)。やっぱり英語で芝居っていうのは厳しいですよ。日本語でも芝居って言葉って無限大に選択があるじゃないですか。それでも“うまい”“へた”があるのに。それで異国の言葉だったらもう、できるパターンが2通りしかないわけですよ(笑)選択が2通りで芝居とかできないですよね。それはただ、言葉をなぞってるだけで、生ではないですよね。それはなんか、色々課題はありますね。」

さきほど名前が出た監督以外に、お仕事されてみたい監督はいますか?
「いっぱいいますね。ずっとやってみたいのは、やっぱり岩井(俊二)さんとかですけど、今まで仕事をしていない人でいえば、「ウォーターボーイズ」の矢口(史靖)さんとか。この前お会いしたんですけど、すごく素敵な方です。あと、黒沢清さんにはすごく思い入れがありますね。お会いしたこともなくて作品ばかり見てたんですけれども。あ、あとはエドワード・ヤン!仕事してみたいですね。」
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