今回「This Is The One」は彼女自身が宇多田ヒカルという1人のアーティスト(公)を10年という歳月経験してきて、また、宇多田光という1人の女性(私)が人生の節目的、節目的な体験をしてきて、それをすべて融合して包括的な位置づけとして出来上がった作品といえる。 その意味で<Utada>=<宇多田ヒカル>・・・というよりも<宇多田ヒカル>を内包するカタチとしての<Utada>があり、日本人が求めている<宇多田ヒカル>=<Utada>がそこにはある。
彼女自身も「『EXODUS』での私は、すごく自信が欠落して力み過ぎていて、自然じゃなかった。でも『This Is The One』では成熟していて、より自由で、かつ澱みなく湧き出る自信がある」という言葉カラもその完成度の高さは伺える。
つまり、「EXODUS」という作品は彼女自身とってもリスナーにとっても、ある程度構えなくてはならなかったのに対し、「This Is The One」では自然体の彼女がそこに存在し、リスナーにとってもありのままで素直にその世界に入り込めるように感じる。
そこに全米最大シェアを誇る「i-Tunes music store」で総合チャート19位にランクイン(開設して日本人が100位以内に入るのは初)し、ポップス曲のみでは堂々2位にランクインしたという理由があるのかもしれない。ナチュラルな音楽はそれだけ世界の壁を超え、人々のココロに入っていけるのだろう。
特に、坂本龍一の名曲「Merry Christmas Mr. Lawrence - FYI」は必聴すべき価値あり。時間をかけて、まさに創り上げたという意思を感じる1曲。また、日本版だけのエキストラ・リミックスである「Come Back To Me」を聴き比べるのも面白い。