写真家・菅原一剛氏に聞く 夜景写真の撮り方
すごく感動した夜景を見てシャッターを押したら、全然写っていなかった...。そんな経験したことはありませんか?そこで今回は有名雑誌や広告写真から映画まで、あらゆるフィールドで撮影を行ってきた写真家・菅原一剛さんに、夜景写真の撮り方を伺いました。写真を撮ることの本質に迫る、深〜いお話が聞けましたよ。
(すがわらいちごう)1960年神奈川県出身。写真家。数多くの広告写真・CFなども手掛けその活動領域は多岐にわたる。'04年フランス国立図書館に作品10点が収蔵される。また、空の写真に自身のコメントを添えた「菅原一剛の今日の空」をHPにて毎日更新。
基本は「露出補正」「固定する」「ストロボをたかない」
最近のカメラの露出って昔と比べるとよくなってきたと思うんですよね。でも、そのままオートで撮っちゃうと、自分が見えている印象よりも暗くなってしまうことが多いんです。いわゆるアンダーになってしまうんですよね。最近は携帯電話なんかでも露出補正というのが付いているから、プラス1とかプラス2とか、少しオーバー目に撮ってあげたほうが夜景はきれいに撮れると思います。ただ、デジカメはフィルムの一眼レフと違って、カメラによって必要以上に明るく写ってしまうものがあったり、すごい個体差があるからこれが一概にはなんともいえないんですよ。
しかし、デジカメの場合は撮ってすぐに確認ができるので、ちょっと見て暗いなと思ったら、露出をプラス1か2にして、露出補正を使って写すことが容易だと思います。これはコンパクトデジカメでも同じです。
あと、やっぱり夜景を撮るときは、三脚を使うことがおすすめですね。夜景撮影では安定をさせるというのがすごく大事。三脚がない場合でも、どこかに固定するようにしたいですね。あと、アマチュアの方に多いのは、オートで撮っているために夜景に向かってストロボをたいてしまっている方がいますよね。ストロボの光、届きませんからね(笑)。
ストロボはもちろんたかないようにしてください。コンパクトデジカメでも、強制的に発光させないモードが付いているかと思います。
フィルムを使う場合は、1600とか高感度のフィルムで最近はすごくいいのが出ているのでおすすめです。これだと三脚なしでも撮れます。
自分のイメージ通りの写真を撮る
作品で夜景を撮るときは、日没やトワイライトなど夜景の種類によって撮り方が変わってきます。例えば、完全に日が暮れたまったくの夜景に関してはバルブになりますよね。
そういう意味では夜景っていうのは露出を計るのが難しい被写体になりますから、割とカンみたいなところもあると思います。ある程度撮れるようになってからは、もう数を撮っていくしかないと思うんですよね。
そして、写真一般に言えることですが、人によって夜景の見え方、印象って違うんです。
同じ夜景を見てもキラキラしてるって印象を持つ人と、ボワーって印象を持つ人がいるわけですよね。そうすれば、思ったとおりに写っていたほうが撮り手としてはうれしいわけですよ。キラキラ見えてたのが、ボワーって写ってしまうと、あれっ?て思うじゃないですか。逆もまた同じですよね。だから、印象に近づけていくっていうのが写真の撮り方じゃないかと思うんですよね。
僕は「今日の空」っていって、空を毎日撮っているんですが、あれも別にきれいに撮ろうとしているわけではなくて、できるだけ僕が見えたように写そうとしているんです。すごく青く見えるときもあれば、白く見えるときもあるし。気分にもよりますよね。その辺を露出補正でうまく調整していってあげたらいいんじゃないかと思います。
いい写真っていうのは、きれいに撮れているだけじゃないと思うんですよね。だから一般的な夜景の撮り方にあてはめて撮ってしまうと、みんな一緒になってしまうと思うんですよ。札幌の夜景と東京の夜景はもちろん違うし、地元の人とよそから来た人の感じ方も違いますよね。外国の方が東京を撮ると、ぎらぎらした写真になっている場合なんかありますよね。その違いが出ていて初めていい写真といえるんじゃないでしょうか。これは桜にしても紅葉にしても一緒なんですよね。
夜景撮影は写真技術の向上にうってつけ
そういった意味で夜景っていうのは簡単には写りにくいものですから、これを写そうといろいろ練習したり、試行錯誤してみて、自分のイメージに近いものを撮ろうとしていくことが、けっこう他の写真を撮るときにもいい影響を与えるんじゃないでしょうか。露出を変えてみたり、フィルムを変えてみたり。やはり、たくさんとってみた方がいいですよ。
私の写真集の「赤い花」っていう写真集の最後に東京の夕景に近い夜景を載せたんだけど、それは猥雑な雰囲気を出したいめに、墨版を抜いたりいろいろしましたよ。そういう風に最終的には自分のイメージに近づけて撮れるようになれば楽しいと思います。デジタル一眼が好きな人におすすめしたいのが、露出計を買ってマニュアルで撮ってみてくださいっていうことですね。
そして、ぜひ一台はフィルムのカメラを持ってもらいたいですね。デジタルで撮ることがメインであったとしても、感覚が磨けると思います。
実際に撮ってきました
先生の話を聞いて、さっそく編集部近くの東京ドームシティの夜景を撮ってみました。今まで夜景の写真はぶれてしまうし、全体的に明るくなってしまい上手く撮れませんでしたが、ちょっと設定を変えると写り方が全く違って驚きました。





