器と愉しむランチを飴色の空間で

大通りから入り込んだ閑静な住宅街にある和邸宅。ひと目見ただけでは、店だと気づく人は少ないだろう。玄関先に「抖そう庵」と記した小さな表札があるのみ。まさに隠れ家といった趣だ。ここは閑静な住宅街、五軒家町にあるギャラリー&レストラン。このあたりは昭和の始めごろ、別荘地として利用されていた土地だったそうで、「抖そう庵」も、アトリエ兼別荘のような形で使われていた邸宅を、オーナーの加藤まり古さんがその環境を気に入って買い取った。「抖そう庵」という名は、その庵名をそのまま受け継いだものだとか。
一歩入ると、門構えからは想像もつかない空間が続く。薄暗い中ほのかに明かりがともされた玄関口、大きなガラス窓から外の光があふれるギャラリースペース、そして通路の奥に突き当たるのがホール席。ホール席の周囲にある焦げ茶色の柱にふと目をやると、波を打つような模様が彫られている。「それは手斧削りというんですよ。店を始めるのに、もちろん店内は改装してあるんですが、もともとの持ち主が趣味人だったようで、その方が京都のいろいろな建物を見て回って、日本邸宅の枠にとらわれずに、文人好みの家を建てたんだと聞いています。この柱もその方の好みで据えられたんでしょうね」とは加藤さん。テーブル席は大きな窓があるにもかかわらず、昼間も飴色に染まったかのような不思議な場所。大きな窓に目をやると、手入れの行き届いた庭が。そんな空間で味わえるのが、フレンチのランチだ。
ここの厨房を任されているのはフレンチシェフの鈴木喜晴さん。和・洋問わず季節の素材を活かし、フレンチにアレンジした料理を出している。この料理を引き立てるのが、土の温かみを感じさせてくれる器たち。もともとここは「器を愉しんでもらいたい」との思いから加藤さんがギャラリーとしてスタートさせたため、加藤さんがいままで収集してきた器が数多くそろっている。それらを料理と共に愉しめるのだ。彩りよく盛られた料理、絵のように描かれたソース。どの料理も存在感のある作家ものの器に負けず、それでいてけんかもしていない、まさに目を愉しませてくれるひとつの作品のようだ。
ランチは4000円と5500円の2種類。4000円のコースには口取り、スープ、前菜、メイン(魚または肉)、デザートが付く。また、内容は仕入れによってその日ごとに替わり、肉ならカモのポトフ、イベリコ豚のヒレ肉のグリエといったメニューが、魚は三河一色で捕れた旬のものが登場する。これらの皿の中には、季節の野菜もふんだんに盛り込まれる。そして、デザートを食べ終わるころに出される飲み物は、作家の器で愉しむことができる。そんなところからも、最後まで器や空間を愉しむことを忘れさせない心配りが表われている。
「わざわざ足を運んでくれるお客様にすべてを愉しんでもらえる空間を演出していきたいのです」とは加藤さん。
ランチ以外にもティータイムやディナーでの利用もおすすめだ。もちろんここはあくまでギャラリーなので、ランチやディナーの利用以外でも、定期的に行われる展示を見るためだけにふらっと訪れてみるのもいい。

東海大人のウォーカー(5月)
2006年3月25日 発売
名古屋で見つけた 和の家で愉しむ贅沢ランチ 掲載
最終データ更新日:2008年1月25日
*掲載内容は雑誌掲載時のデータをもとに構成しています。 定期的に更新を行っておりますが、 情報が変更になっている場合がありますので詳細はお店へご確認ください。

4000円のランチのうちの3品。この日はヒラメのポアレ、カンパチのマリネ、ホタルイカのマリネとヘルシーなメニュー

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抖そう庵 店舗情報

基本データ
店名 抖そう庵
住所 名古屋市昭和区五軒家町
電話 052-834-1183
※グルメウォーカーを見たとお問い合わせ下さい
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交通アクセス 地下鉄鶴舞線川名駅より徒歩15分
営業時間 ランチ12:00〜14:00、ティー〜16:00、ディナー16:00〜23:00、ギャラリー11:00〜16:00
休日 (日)(変動あり)
駐車場 5台
平均予算 [昼]4000円 [夜]8500円
クレジットカード JCB, VISA, MASTER, AMEX, ダイナース, 他
備考 ディナーのみホール10%、日本間15%のサービス料あり ランチ4000円、5500円/予約がベスト
座席データ
総席数 25席
1人
エリツィン
「エリツィン」
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