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↑第25回城戸賞を受賞した経塚丸雄のオリジナル脚本を竹中直人が演出。監督にとって新しい挑戦となった
←決してひとりでは奏でられないブラームスの「ハンガリア舞曲」を連弾することで、家族の絆を考え直していく過程がていねいにつづられる


家族の心の絆を紡ぎ出す
竹中直人監督待望の最新作
俳優・監督・コメディアン・ミュージシャンと縦横無尽に才気をほとばしらせる竹中直人。彼が主演を兼ねて撮り上げた4作目。「東京日和」などと同様、今回のテーマも“心の絆”だが、本作は妻の不倫をきっかけに崩れ始める家族のドラマ。たとえ離れて暮らすことになっても変わらぬ愛情があることを、ブラームスの「ハンガリア舞曲」の調べに乗せてしっとりと描き出している。ヒロイン・天海祐希のこまやかな演技にも注目。
8軒の借家を持つ佐々木夫妻は、夫の正太郎(竹中直人)が家事をこなし、妻の美奈子(天海祐希)が大手ゼネコン勤務という逆転カップル。真理(冨貴塚桂香)と徹(箕輪裕太)の子供たちと、平穏な日々を送っていた。ところが間近に迫るピアノの発表会で真理との連弾を予定していた美奈子に、若い恋人がいることが発覚してしまう。
監督・出演:竹中直人 製作:宮島秀司ほか プロデューサー:間瀬泰宏ほか 出演:天海祐希 冨貴塚桂香 簑輪裕太 岩松了 塚本晋也 松岡錠司 北村一輝 及川光博 鈴木砂羽 片桐はいり 佐藤康恵
(2001松竹)104分
●渋谷シネパレスほかにて公開

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人間のリアルなユルさをとらえた
温かさが先立つホームドラマ
 “夫婦ゲンカは犬も食わない”というが、夫婦ゲンカを描いた映画を観たいなんて人はそうそういなんじゃないか? しかし、竹中直人が監督・主演を手がけた、今作は妙味。不倫発覚から別居、離婚へといたる過程を、ユーモラスにからめとる。

 まず面白いのは、不倫した側が妻である点。夫は専業主夫で、妻はバリバリのキャリアウーマンという、通常のパターンとは逆転していることだ。竹中直人扮する夫の情けなさがペーソスのみならず、絶妙のユーモアを醸し出す。竹中が作った鼻歌が全編にあふれている点も見逃せない。登場人物が何の気なしに、これを口ずさんでいる姿が、妙にユルーい心地好さを感じさせてくれるのだ。ともすれば緊迫しがちな物語ながら、この余裕。もっとも、どんなにケンカをしていても、人はメシを食うし夜になれば寝るし鼻歌のひとつも歌ってしまう。現実の生活とは、そういうユルーいものだったりするが、この映画はそういう空気を、じつにうまくとらえている。

 そんなリアルなドラマだから、離婚しようとする夫婦とその子供たちの精神的なうつろいもリアルに映える。そういう意味では、夫婦ゲンカの殺伐感より、ホームドラマの温かさが先立つ作品だ。

有馬楽●情報誌ライター。文化人への道は長く険しいオバカ映画ファン




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